有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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本格数学クイズ (不等式)

不等式

クイズ《積の和の最大値》

 $2$ 人 $1$ チームでゲームを行う. 全員が $1$ 番から $n$ 番までの合計 $n$ 枚の番号札を持ち, チームごとに $n$ 回に分けて $2$ 人同時に番号札を $1$ 枚ずつ場に出して, $2$ 枚の番号の積の合計をチームの得点とする. このゲームの得点として考えられる値は最大でいくらか. ただし, それぞれの番号札は $1$ 回しか使えないものとする.
(有名問題)
$2024/06/21$$2024/06/22$

答え

 $\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1).$

解説

 $\{ a_1,\cdots,a_n\} = \{ 1,\cdots,n\}$ とする. 数列 $\{ ka_k\}$ の和 $S = \displaystyle\sum_{k = 1}^nka_k$ の最大値を求めればよい. $(a_k-k)^2 = a_k{}^2-2ka_k+k^2$ であるから, \[ ka_k = \frac{1}{2}\{ a_k{}^2+k^2-(a_k-k)^2\}\] が成り立つ. $k = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} S &= \sum_{k = 1}^nka_k \\ &= \frac{1}{2}\left\{\sum_{k = 1}^na_k{}^2+\sum_{k = 1}^nk^2-\sum_{k = 1}^n(a_k-k)^2\right\} \\ &= \sum_{k = 1}^nk^2-\frac{1}{2}\sum_{k = 1}^n(a_k-k)^2 \\ &= \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-\frac{1}{2}\sum_{k = 1}^n(a_k-k)^2 \end{aligned}\] が得られるから, $S$ は $a_k = k$ $(1 \leqq k \leqq n)$ のとき最大値 \[\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\] をとる.

参考

 $x_1 \geqq \cdots \geqq x_n,$ $y_1 \geqq \cdots \geqq y_n,$ $\{\sigma (1),\cdots,\sigma (n)\} = \{ 1,\cdots,n\}$ のとき, \[\sum_{k = 1}^nx_ky_{n-k+1} \leqq \sum_{k = 1}^nx_ky_{\sigma (k)} \leqq \sum_{k = 1}^nx_ky_k\] が成り立ち, さらに $x_n \geqq 0,$ $y_n \geqq 0$ であれば \[\begin{aligned} (x_1+y_1)\cdots (x_n+y_n) &\leqq \{ x_1+y_{\sigma (1)}\}\cdots\{ x_n+y_{\sigma (n)}\} \\ &\leqq (x_1+y_n)\cdots (x_n+y_1) \end{aligned}\] が成り立つことが知られている. これらの不等式は「並べ替え不等式」 (rearrangement inequalities) として知られている.

クイズ《》

 A, B の $2$ 人が $2$ 回ずつ $1$ から $n$ までの数をランダムに選ぶ. A の平均と B の平均の積 A が引いたカードを横の長さ, B が引いたカードを縦の長さとする長方形を作る. $2$ かい
(有名問題)
$2024/08/16$$2024/08/16$

答え

 

解説