本格数学クイズ (不等式)
不等式
クイズ《積の和の最大値》
$2$ 人 $1$ チームでゲームを行う.
全員が $1$ 番から $n$ 番までの合計 $n$ 枚の番号札を持ち, チームごとに $n$ 回に分けて $2$ 人同時に番号札を $1$ 枚ずつ場に出して, $2$ 枚の番号の積の合計をチームの得点とする.
このゲームの得点として考えられる値は最大でいくらか.
ただし, それぞれの番号札は $1$ 回しか使えないものとする.
(有名問題)
答え
$\dfrac{1}{6}n(n+1)(2n+1).$
解説
$\{ a_1,\cdots,a_n\} = \{ 1,\cdots,n\}$ とする.
数列 $\{ ka_k\}$ の和 $S = \displaystyle\sum_{k = 1}^nka_k$ の最大値を求めればよい.
$(a_k-k)^2 = a_k{}^2-2ka_k+k^2$ であるから,
\[ ka_k = \frac{1}{2}\{ a_k{}^2+k^2-(a_k-k)^2\}\]
が成り立つ.
$k = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると
\[\begin{aligned}
S &= \sum_{k = 1}^nka_k \\
&= \frac{1}{2}\left\{\sum_{k = 1}^na_k{}^2+\sum_{k = 1}^nk^2-\sum_{k = 1}^n(a_k-k)^2\right\} \\
&= \sum_{k = 1}^nk^2-\frac{1}{2}\sum_{k = 1}^n(a_k-k)^2 \\
&= \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-\frac{1}{2}\sum_{k = 1}^n(a_k-k)^2
\end{aligned}\]
が得られるから, $S$ は $a_k = k$ $(1 \leqq k \leqq n)$ のとき最大値
\[\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\]
をとる.
参考
$x_1 \geqq \cdots \geqq x_n,$ $y_1 \geqq \cdots \geqq y_n,$ $\{\sigma (1),\cdots,\sigma (n)\} = \{ 1,\cdots,n\}$ のとき,
\[\sum_{k = 1}^nx_ky_{n-k+1} \leqq \sum_{k = 1}^nx_ky_{\sigma (k)} \leqq \sum_{k = 1}^nx_ky_k\]
が成り立ち, さらに $x_n \geqq 0,$ $y_n \geqq 0$ であれば
\[\begin{aligned}
(x_1+y_1)\cdots (x_n+y_n) &\leqq \{ x_1+y_{\sigma (1)}\}\cdots\{ x_n+y_{\sigma (n)}\} \\
&\leqq (x_1+y_n)\cdots (x_n+y_1)
\end{aligned}\]
が成り立つことが知られている.
これらの不等式は「並べ替え不等式」 (rearrangement inequalities) として知られている.
クイズ《》
A, B の $2$ 人が $2$ 回ずつ $1$ から $n$ までの数をランダムに選ぶ.
A の平均と B の平均の積
A が引いたカードを横の長さ, B が引いたカードを縦の長さとする長方形を作る.
$2$ かい
(有名問題)