有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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写像

写像

 非負整数全体の集合を $\mathbb N,$ 整数全体の集合を $\mathbb Z$ で表す.

定義《対応, 写像》

 $A,$ $B$ を集合とし, $f$ を $A\times B$ の部分集合とする.
(1)
$A$ の各元 $a$ に対して $(a,b) \in f$ を満たす $B$ の元 $b$ が存在するとき, $f$ を定義域 $A$ から終域 $B$ への対応と呼ぶ. 定義域, 終域を明記するとき, $f$ を $f:A\to B$ で表す.
(2)
$A$ の各元 $a$ に対して $(a,b) \in f$ を満たす $B$ の元 $b$ がただ $1$ つ存在するとき, $f$ を写像と呼ぶ. また, このような $B$ の元 $b$ を $f$ による $a$ のと呼んで $f(a)$ で表し, $a$ は $b$ に対応するという. 対応の規則を明記するとき, $f$ を $f:a\mapsto b$ または単に $a\mapsto b$ で表す. 定義域, 終域, 対応の規則をすべて明記するとき, $f$ を \[\begin{array}{crcl} f:\!\!\!\!\! & A & \!\!\!\to\!\!\! & B \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & b \end{array}\] で表す.
 $B$ の元 $c$ で $A$ の各元 $a$ に対して $f(a) = c$ を満たすものが存在するとき, $f$ を $c$ に値をとる定値写像と呼ぶ.

例《写像》

(1)
$A$ を集合とする. $S$ が $A$ の部分集合であるとき, $S$ の各元 $s$ を $s$ 自身にうつす $S$ から $A$ への写像 \[\begin{array}{crcl} i:\!\!\!\!\! & S & \!\!\!\to\!\!\! & A \\ {} & s & \!\!\!\mapsto\!\!\! & s \end{array}\] を包含写像と呼ぶ. 特に, $A$ の各元 $a$ を $a$ 自身にうつす $A$ から $A$ 自身への写像 \[\begin{array}{crcl} \mathrm{id}_A:\!\!\!\!\! & A & \!\!\!\to\!\!\! & A \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & a \end{array}\] を恒等写像と呼ぶ.
(2)
$n$ を正の整数とする. 写像 \[\begin{array}{crcl} f:\!\!\!\!\! & \mathbb Z & \!\!\!\to\!\!\! & \mathbb Z \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & na \end{array}\] について, $f$ の定義域, 終域はいずれも $\mathbb Z$ である. また, $f(0) = 0,$ $f(1) = n,$ $f(-1) = -n$ である.
(3)
非負整数全体の集合, または正の整数全体を定義域とする写像を数列, または点列と呼ぶ.

定義《恒等式, 方程式》

 $f:A\to B,$ $g:A\to B$ を定義域, 終域が等しい写像とする.
(1)
$f,$ $g$ が $A$ の各元 $x$ に対して \[ f(x) = g(x)\] を満たすとき, $f,$ $g$ は等しいといい, $f = g$ と表す. このような等式を恒等式と呼ぶ.
(2)
恒等式であるとは限らない等式 \[ f(x) = g(x) \quad \cdots [\ast ]\] を方程式と呼び, $f(\alpha ) = g(\alpha )$ を満たす $A$ の元 $\alpha$ を方程式 $[\ast ]$ のと呼び, $x = \alpha$ は $[\ast ]$ の解であるという. $[\ast ]$ のすべての解を求めることを方程式 $[\ast ]$ を解くという.
 また, $g$ が $c$ に値をとる定値写像であるとき, 方程式 $[\ast ]$ を \[ f(x) = c\] で表す.

定義《合成写像, 逆写像, 写像の制限, 延長》

(1)
$f:A\to B,$ $g:B\to C$ を写像とする. 写像 \[\begin{array}{crcl} g\circ f:\!\!\!\!\! & A & \!\!\!\to\!\!\! & C \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & g(f(a)) \end{array}\] を $f$ と $g$ の合成写像または単に合成と呼ぶ.
(2)
写像 $f:A\to B$ について, \[ g\circ f = \mathrm{id}_A, \quad f\circ g = \mathrm{id}_B\] つまり \[ g(f(a)) = a\ (a \in A), \quad f(g(b)) = b\ (b \in B)\] を満たす写像 $g:B\to A$ が存在するとき, $g$ を $f$ の逆写像と呼び, $f^{-1}$ で表す.
(3)
$S$ を $A$ の部分集合とする. 包含写像 $i:S\to A$ と写像 $f:A\to B$ の合成 $f\circ i:S\to B$ を $f:A\to B$ の $S$ への制限と呼び, $f|_S$ で表す. また, $g = f|_S$ のとき, $f$ を $g$ の $A$ への延長と呼ぶ.

例《合成写像, 逆写像, 写像の制限, 延長》

(1)
$\mathbb Z$ から $\mathbb Z$ への写像 \[ f:a \mapsto 2a, \quad g:a \mapsto a+1\] について, \[ g\circ f:a \mapsto 2a+1, \quad f\circ g:a \mapsto 2(a+1)\] である. また, 各整数 $a$ に対して $2a+1$ は奇数, $2(a+1)$ は偶数であるから, これらの合成写像は一致しない.
 この例が示すように, 定義域と終域が同じ写像 $f:A\to A,$ $g:A\to A$ について, $g\circ f$ と $f\circ g$ が一致するとは限らない.
(2)
$\mathbb Z$ から $\mathbb Z$ への写像 \[ f:a \mapsto a+1\] は, 逆写像 \[ g:a \mapsto a-1\] をもつ.
(3)
写像 \[\begin{array}{crcl} f:\!\!\!\!\! & \mathbb Z & \!\!\!\to\!\!\! & \mathbb N \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & |a| \end{array}\] の $\mathbb N$ への制限は恒等写像 $\mathrm{id}_{\mathbb N}$ で, 逆に $f$ は $\mathrm{id}_{\mathbb N}$ の延長である.

命題《写像の合成の性質》

 $f:A\to B,$ $g:B\to C,$ $h:C\to D$ を写像とする.
(1)
$h\circ (g\circ f) = (h\circ g)\circ f$ が成り立つ (結合法則).
(2)
$f\circ\mathrm{id}_A = \mathrm{id}_B\circ f = f$ が成り立つ.
(3)
$f$ の逆写像は, 存在するならば, ただ $1$ つに定まる.

証明

(1)
$A$ の各元 $a$ に対して $2$ つの値 \[\begin{aligned} (h\circ (g\circ f))(a) &= h((g\circ f)(a)) = h(g(f(a)), \\ ((h\circ g)\circ f)(a) &= (h\circ g)(f(a)) =h(g(f(a)) \end{aligned}\] は等しいから, $h\circ (g\circ f) = (h\circ g)\circ f$ が成り立つ.
(2)
$A$ の各元 $a$ に対して \[\begin{aligned} (f\circ\mathrm{id}_A)(a) = f(\mathrm{id}_A(a)) &= f(a), \\ (\mathrm{id}_B\circ f)(a) = \mathrm{id}_B(f(a)) &= f(a) \end{aligned}\] であるから, $f\circ\mathrm{id}_A = \mathrm{id}_B\circ f = f$ が成り立つ.
(3)
$g$ と $g'$ が $f$ の逆写像であるとすると \[\begin{aligned} g &= g\circ\mathrm{id}_B &&(\because (2)) \\ &= g\circ (f\circ g') && \\ &= (g\circ f)\circ g' &&(\because (1)) \\ &= \mathrm{id}_A\circ g' && \\ &= g' &&(\because (2)) \end{aligned}\] となるから, $f$ の逆写像は高々 $1$ つしか存在しない.

定義《単射, 全射, 全単射》

(1)
写像 $f:A\to B$ が $A$ の各元 $a,$ $a'$ に対して \[ f(a) = f(a') \Longrightarrow a = a'\] つまり \[ a \neq a' \Longrightarrow f(a) \neq f(a')\] を満たすとき, $f$ を単射と呼ぶ.
(2)
写像 $f:A\to B$ について, $B$ の各元 $b$ が \[ b = f(a) \quad (a \in A)\] の形に表せるとき, $f$ を全射と呼ぶ.
(3)
全射でも単射でもある写像を全単射と呼ぶ. 特に, 集合 $A$ から $A$ への全単射を $A$ 上の置換と呼び, $\mathrm{id}_A$ を $A$ 上の恒等置換とも呼ぶ.

例《単射, 全射, 全単射》

(1)
(i)
包含写像 $i:S\to A$ は単射である.
(ii)
写像 \[\begin{array}{crcl} f:\!\!\!\!\! & \mathbb Z & \!\!\!\to\!\!\! & \mathbb Z \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & 2a \end{array}\] は単射であるが, 全射ではない. 各偶数は $2a$ ($a$: 整数) の形に表せるが, 例えば $2a = 1$ を満たす整数は存在しないからである.
(2)
(i)
写像 $f:A\to B$ の終域 $B$ を集合 \[ f(A) = \{ f(a) \mid a \in A\}\] ($f$ の像と呼ぶ) に置き換えた写像 \[\begin{array}{crcl} g:\!\!\!\!\! & A & \!\!\!\to\!\!\! & f(A) \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & f(a) \end{array}\] は全射である.
(ii)
写像 \[\begin{array}{crcl} f:\!\!\!\!\! & \mathbb Z & \!\!\!\to\!\!\! & \mathbb N \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & |a| \end{array}\] は全射であるが, 単射ではない. 絶対値が正の整数 $a$ になる整数は $a,$ $-a$ の $2$ つあるからである.
(3)
(i)
恒等写像 $\mathrm{id}_A:A\to A$ は全単射である.
(ii)
写像 \[\begin{array}{crcl} f:\!\!\!\!\! & \mathbb Z & \!\!\!\to\!\!\! & \mathbb Z \\ {} & a & \!\!\!\mapsto\!\!\! & -a \end{array}\] は全単射である. 実際, 整数 $a,$ $a'$ に対して $-a = -a'$ ならば $a = a'$ が成り立つことから $f$ は単射で, 各整数 $a$ は $a = -b$ $(b = -a \in \mathbb Z)$ と表せることから $f$ は全射である. また, \[ f(f(a)) = f(-a) = -(-a) = a \quad (a \in \mathbb Z)\] が成り立つから,
$f\circ f = \mathrm{id}_{\mathbb Z}$ つまり $f^{-1} = f$
である.

 写像が単射, 全射, 全単射であることを判定するには, 次の命題が有用である.

命題《単射, 全射, 全単射の判定法》

 写像 $f:A\to B$ について,
(1)
ある写像 $g:B\to C$ に対して $g\circ f$ が単射 $\Longrightarrow$ $f$ は単射
(1)'
ある写像 $g:B\to A$ に対して $g\circ f = \mathrm{id}_A$ $\Longrightarrow$ $f$ は単射
(2)
ある写像 $g:Z\to A$ に対して $f\circ g$ が全射 $\Longrightarrow$ $f$ は全射
(2)'
ある写像 $g:B\to A$ に対して $f\circ g = \mathrm{id}_B$ $\Longrightarrow$ $f$ は全射
(3)
$f$ は全単射 $\iff$ $f$ の逆写像が存在
が成り立つ. また, 写像 $f:A\to B,$ $g:B\to C$ について,
(4)
$f,$ $g$ が全単射 $\Longrightarrow$ $g\circ f$ は全単射, $(g\circ f)^{-1} = f^{-1}\circ g^{-1},$
$f$ が全単射 $\Longrightarrow$ $f^{-1}$ は全単射, $(f^{-1})^{-1} = f$
が成り立つ.

証明

(1)
$g\circ f$ が単射になるような写像 $g:B\to C$ の存在を仮定する. このとき, $A$ の元 $a,$ $a'$ に対して $f(a) = f(a')$ であるとすると, \[ (g\circ f)(a) = g(f(a)) = g(f(a')) = (g\circ f)(a')\] となるから, $a = a'$ となる. よって, $f$ は単射である.
(1)'
恒等写像は単射であるから, (1)' の仮定を満たせば (1) の仮定を満たすので, 求める主張が成り立つ.
(2)
$f\circ g$ が全射になるような写像 $g:Z\to A$ の存在を仮定する. このとき, $B$ の各元 $b$ に対して \[ b = (f\circ g)(z) = f(g(z))\] を満たす $Z$ の元 $z$ が存在し, $a = g(z)$ とおくと $b = f(a),$ $a \in A$ となる. よって, $f$ は全射である.
(2)'
恒等写像は全射であるから, (2)' の仮定を満たせば (2) の仮定を満たすので, 求める主張が成り立つ.
(3)
$(\Longrightarrow )$ を示す. $f$ が全単射であるとする. このとき, $f$ は全射であるから, $B$ の各元 $b$ に対して \[ b = f(a)\] を満たす $A$ の元 $a$ が存在する. さらに, $f$ は単射であるから, この $a$ は一意的に定まる. そこで, $B$ の各元 $b$ にこのような $A$ の元 $a$ を対応させることで写像 $g:B\to A$ を定める. このとき, \[ f(g(b)) = f(a) = b\] となるから, $f\circ g = \mathrm{id}_B$ が得られる. また, $A$ の各元 $a$ に対して $b = f(a)$ とおくと, $g$ に定め方により \[ g(f(a)) = g(b) = a\] となるから, $g\circ f = \mathrm{id}_A$ も成り立つ. したがって, $g$ は $f$ の逆写像である.
 $(\Longleftarrow )$ は, (1)', (2)' により成り立つ.
以上により, $(\iff )$ が成り立つ.
(4)
$f,$ $g$ を全単射とする. このとき, \[\begin{aligned} (f^{-1}\circ g^{-1})\circ (g\circ f) &= f^{-1}\circ (g^{-1}\circ g)\circ f \\ &= f^{-1}\circ\mathrm{id}_B\circ f \\ &= f^{-1}\circ f \\ &= \mathrm{id}_A, \\ f^{-1}\circ f &= f\circ f^{-1} = \mathrm{id}_A \end{aligned}\] が成り立つ. よって, $g\circ f,$ $f^{-1}$ は, それぞれ逆写像 $f^{-1}\circ g^{-1},$ $f$ をもつから, 全単射である.

集合の像, 逆像

定義《集合の像, 逆像》

 $f:A\to B$ を写像とする.
(1)
$f$ の定義域 $A$ の部分集合 $S$ に対して, $f$ による $S$ の元 $a$ の値 $f(a)$ 全体の集合を $f$ による $S$ の像と呼び, $f(S)$ で表す. つまり, \[ f(S) = \{ f(a) \mid a \in S\}\] と定める. 特に, 定義域の像 $f(A)$ を $f$ の値域と呼ぶ.
(2)
$f$ の終域 $B$ の部分集合 $T$ に対して, $T$ に値をとる $A$ の元全体の集合を $f$ による $T$ の逆像と呼び, $f^{-1}(T)$ で表す. つまり, \[ f^{-1}(T) = \{ a \in A \mid f(a) \in T\}\] と定める.

命題《集合の像, 逆像の性質》

 $f:A\to B$ を写像とし, $S,$ $S_1,$ $S_2,$ $S_i$ $(i \in I)$ を $A$ の部分集合, $T,$ $T_1,$ $T_2,$ $T_j$ $(j \in J)$ を $B$ の部分集合とする. このとき,
(1)
$S_1 \subset S_2$ $\Longrightarrow$ $f(S_1) \subset f(S_2)$ 
(2)
$f\left(\bigcup_{i \in I}S_i\right) = \bigcup_{i \in I}f(S_i)$ 
(3)
$f\left(\bigcap_{i \in I}S_i\right) \subset \bigcap_{i \in I}f(S_i)$ 
(4)
$f^{-1}(f(S)) \supset S$ であり,
$f$ が単射 $\Longrightarrow$ $f^{-1}(f(S)) = S$
(1)'
$T_1 \subset T_2$ $\Longrightarrow$ $f^{-1}(T_1) \subset f^{-1}(T_2)$ 
(2)'
$f^{-1}\left(\bigcup_{j \in J}T_j\right) = \bigcup_{j \in J}f^{-1}(T_j)$ 
(3)'
$f^{-1}\left(\bigcap_{j \in J}T_j\right) = \bigcap_{j \in J}f^{-1}(T_j)$ 
(4)'
$f(f^{-1}(T)) = T\cap f(A)$ であり,
$f$ が全射 $\Longrightarrow$ $f(f^{-1}(T)) = T$
が成り立つ.

証明

(1)
$S_1 \subset S_2$ とする. $b \in f(S_1)$ とすると, $b$ は \[ b = f(a) \quad (a \in S_1)\] の形に表せ, 仮定によりこれは \[ b = f(a) \quad (a \in S_2)\] の形に表せるとも言えるから, $b \in f(S_2)$ となる. よって, $f(S_1) \subset f(S_2)$ が成り立つ.
(2)
$B$ の元 $b$ が \[ b = f(s) \quad \left( s \in \bigcup_{i \in I}S_i\right)\] の形に表されることと, ある $i \in I$ に対して \[ b = f(s_i) \quad (s_i \in S_i)\] の形に表されることは同値であるから, 求める等式が成り立つ.
(3)
$B$ の元 $b$ が \[ b = f(s) \quad \left( s \in \bigcap_{i \in I}S_i\right)\] の形に表されれば, $b$ は任意の $i \in I$ に対して \[ b = f(s) \quad (s \in S_i)\] の形に表されるから, 求める包含関係が成り立つ.
(4)
$S$ の各元 $s$ に対して $f(s) \in \{ f(s)\}$ よって \[ s \in f^{-1}(\{ f(s)\}) \subset f^{-1}(f(S))\] であるから, $S \subset f^{-1}(f(S))$が成り立つ.
 $f$ が単射であるとする. このとき, $f^{-1}(f(S))$ の各元 $a$ に対して, $f(a) \in f(S)$ から \[ f(a) = f(s)\] を満たす $S$ の元 $s$ が存在し, $f$ の単射性により $a = s$ が成り立つから, $a \in S$ である. よって, $f^{-1}(f(S)) \subset S$ が成り立つから, 前半の結果とあわせると $f^{-1}(f(S)) = S$ が得られる.
(1)'
$T_1 \subset T_2$ とする. $a \in f^{-1}(T_1)$ とすると, $a$ は \[ f(a) \in T_1\] を満たし, 仮定によりこれは \[ f(a) \in T_2\] も満たすから, $a \in f^{-1}(T_2)$ となる. よって, $f^{-1}(T_1) \subset f^{-1}(T_2)$ が成り立つ.
(2)'
$A$ の元 $a$ が \[ f(a) \in \bigcup_{j \in J}T_j\] を満たすことと, ある $j \in J$ に対して \[ f(a) \in T_j\] を満たすことは同値であるから, 求める等式が成り立つ.
(3)'
$A$ のある元 $a$ が \[ f(a) \in \bigcap_{j \in J}T_j\] を満たすことと, 任意の $j \in J$ に対して \[ f(a) \in T_j\] を満たすことは同値であるから, 求める等式が成り立つ.
(4)'
$b \in f(f^{-1}(T))$ とすると, $f^{-1}(T)$ のある元 $a$ について \[ b = f(a) \in T\cap f(A)\] となる. よって, $f(f^{-1}(T)) \subset T\cap f(A)$ である.
 逆に, $b \in T\cap f(A)$ とすると, $A$ のある元 $a$ について \[ b = f(a), \quad a \in f^{-1}(T)\] となり, $b \in f(f^{-1}(T))$ となる. よって, $T\cap f(A) \subset f(f^{-1}(T))$ である.
 以上から, $f(f^{-1}(T)) = T\cap f(A)$ が成り立つ.
 さらに, $f$ が全射であるとき, $f(A) = B$ であるから, $f(f^{-1}(T)) = T$ が成り立つ.