有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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本格数学クイズ (さまざまな解析学)

$2$ 次関数

クイズ《紙を折った部分の面積の最小値》

 $1$ 辺の長さが $1$ の正方形の紙 $\mathrm{ABCD}$ を, 頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ 上にくるように折るとき, 折り返した部分の面積が最小になるのはどのような折り方をした場合か. また, その最小値はいくらか.
(有名問題)
$2026/04/17$$2026/04/17$

答え

 頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ の中点にくる場合, 最小値は $\dfrac{3}{8}.$

解説

 辺 $\mathrm{AB}$ 上の点 $\mathrm P$ と辺 $\mathrm{CD}$ 上の点 $\mathrm Q$ を結ぶ線分で折った後に頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ 上の点 $\mathrm R$ に移るとして, $x = \mathrm{AR},$ $y = \mathrm{BP},$ $z = \mathrm{CQ}$ とおく.
このとき, \[\mathrm{BP} = \mathrm{RP}, \quad \mathrm{BQ} = \mathrm{RQ}\] である. $\triangle\mathrm{APR},$ $\triangle\mathrm{BCQ},$ $\triangle\mathrm{DQR}$ に三平方の定理を適用すると, \[\begin{aligned} \mathrm{AP}^2+\mathrm{AR}^2 &= \mathrm{PR}^2, \\ \mathrm{BC}^2+\mathrm{CQ}^2 &= \mathrm{BQ}^2 = \mathrm{RQ}^2 = \mathrm{DQ}^2+\mathrm{DR}^2 \end{aligned}\] から \[ (1-y)^2+x^2 = y^2, \quad 1^2+z^2 = (1-z)^2+(1-x)^2\] となるので, \[ y = \frac{x^2+1}{2}, \quad z = \frac{x^2-2x+1}{2}\] である. よって, 折り返した部分の台形 $\mathrm{PBCQ}$ の面積 $S$ は, \[\begin{aligned} S &= \frac{1}{2}(y+z)\cdot 1 \\ &= \frac{1}{2}\left(\frac{x^2+1}{2}+\frac{x^2-2x+1}{2}\right) \\ &= \frac{1}{2}(x^2-x+1) \\ &= \frac{1}{2}\left( x-\frac{1}{2}\right) ^2+\frac{3}{8} \end{aligned}\] と表される. $0 \leqq x \leqq 1$ であるから, $S$ は $x = \dfrac{1}{2}$ のとき最小値 $\dfrac{3}{8}$ をとる. ゆえに, $S$ が最小になるのは頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ の中点にくる場合で, その最小値は $\dfrac{3}{8}$ である.

無理数論

クイズ《無理数の無理数乗》

 無理数の無理数乗として表される有理数は存在するか. 存在する場合にはその一例を挙げ, 存在しない場合にはその理由を説明せよ.
(有名問題, 参考: $2020$ 横浜市立大)
$2025/04/18$$2025/04/18$

答え

 存在する, $\sqrt 2^{\sqrt 2}$ または $(\sqrt 2^{\sqrt 2})^{\sqrt 2}.$

解説

 $a = \sqrt 2^{\sqrt 2}$ とする.
(i)
$a$ が有理数であるとき (実際は偽). $\sqrt 2$ は無理数であるから, $a$ が無理数の無理数乗として表される有理数の一例を与える.
(ii)
$a$ が無理数であるとき (実際は真). \[ a^{\sqrt 2} = (\sqrt 2^{\sqrt 2})^{\sqrt 2} = (\sqrt 2)^{\sqrt 2\cdot\sqrt 2} = (\sqrt 2)^2 = 2\] が無理数の無理数乗として表される有理数の一例を与える.

参考

 $2^{\sqrt 2}$ のような実数が無理数であるかどうかは, 長い間未解決であった. 次の「ゲルフォント=シュナイダーの定理」(A. Gel'fond, T. Schneider, $1934$ 年) が示されたことにより, $2^{\sqrt 2},$ $\sqrt 2^{\sqrt 2}$ などの実数が無理数であることが明らかになった: $0$ でも $1$ でもない「代数的数」$\alpha$ と, 有理数でない「代数的数」$\beta$ に対して, $\alpha ^\beta$ は「超越数」である. ただし, ある有理数係数多項式 $f(x)$ に対して $f(x) = 0$ の解である複素数を「代数的数」(algebraic number) と呼び,「代数的数」でない複素数を「超越数」(transcendence number) と呼ぶ. 例えば, $\sqrt 2$ は「代数的数」, $2^{\sqrt 2},$ $2^{\frac{1}{2}+\sqrt 2}$ は「超越数」である. また, $(\sqrt 2^{\sqrt 2})^{\sqrt 2}$ は無理数の無理数乗として表される有理数の一例を与える.

クイズ《$2$ つの整数の整数乗が等しくなる条件》

 $a,$ $b$ を $1$ より大きい整数とする. $a$ を整数乗した値と $b$ を整数乗した値が等しくなるのはどのような場合か.
(参考: $2023$ 共通テスト, $2005$ お茶の水女子大)
$2025/05/16$$2025/05/16$

答え

 ある整数 $c,$ $m,$ $n$ ($c > 1;$ $m,$ $n$: 互いに素) に対して $a = c^n,$ $b = c^m$ となるとき.

解説

\[ a^m = b^n \quad \cdots [1]\] を満たす整数 $m,$ $n$ が存在するための必要十分条件を求める. $[1]$ は $a^{\frac{m}{n}} = b$ と同値であるから, $m,$ $n$ が互いに素な正の整数であるとしても一般性を失わない.
(1)
このような正の整数 $m,$ $n$ の存在を仮定する. このとき, 素因数分解の一意性により, $[1]$ の両辺は同じ素因数をもつから, 相異なる素数 $p_1,$ $\cdots,$ $p_r$ がそのすべてであるとする. $a,$ $b$ は正の整数 $i_1,$ $\cdots,$ $i_r,$ $j_1,$ $\cdots,$ $j_r$ を用いて \[\begin{aligned} a &= p_1{}^{i_1}\cdots p_r{}^{i_r} \quad \cdots [2], \\ b &= p_1{}^{j_1}\cdots p_r{}^{j_r} \quad \cdots [3] \end{aligned}\] と表される. これらを $[1]$ に代入すると \[ p_1{}^{i_1m}\cdots p_r{}^{i_rm} = p_1{}^{j_1n}\cdots p_r{}^{j_rn}\] となるから, 素因数分解の一意性により \[ i_1m = j_1n, \quad \cdots, \quad i_rm = j_rn\] が得られる. $m,$ $n$ は互いに素であるから, ある正の整数 $k_1,$ $\cdots,$ $k_r$ に対して \[\begin{aligned} i_1 = k_1n, \quad &\cdots, \quad i_r = k_rn, \\ j_1 = k_1m, \quad &\cdots, \quad j_r = k_rm \end{aligned}\] が成り立つ. これらを $[2],$ $[3]$ に代入すると, $c = p_1{}^{k_1}\cdots p_r{}^{k_r}$ として, \[\begin{aligned} a &= p_1{}^{k_1n}\cdots p_r{}^{k_rn} = (p_1{}^{k_1}\cdots p_r{}^{k_r})^n = c^n, \\ b &= p_1{}^{k_1m}\cdots p_r{}^{k_rm} = (p_1{}^{k_1}\cdots p_r{}^{k_r})^m = c^m \end{aligned}\] が得られる.
(2)
逆に, ある整数 $c,$ $m,$ $n$ ($c > 1;$ $m,$ $n$: 互いに素) に対して $a = c^n,$ $b = c^m$ となるとき, \[ a^m = b^n = c^{mn}\] が成り立つ.
 以上から, 求める条件は, ある整数 $c,$ $m,$ $n$ ($c > 1;$ $m,$ $n$: 互いに素) に対して $a = c^n,$ $b = c^m$ となることである.

参考

 $1$ より大きい整数 $a,$ $b$ に対して, 次の条件は同値である.
(i)
$\log_ab$ は有理数である.
(ii)
ある整数 $c,$ $m,$ $n$ ($c > 1;$ $m,$ $n$: 互いに素) に対して $a = c^n,$ $b = c^m$ となる.