有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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本格数学クイズ (解析幾何学)

三角法

クイズ《オイラーの不等式》

 円柱に $3$ 枚の薄い長方形の板を貼り付けて三角柱を作り, これを回転させることで新しい円柱を作る. 新しい円柱の半径が最小になるようにするとき, その半径はもとの円柱の半径の何倍になるか.
(オリジナル)
$2023/10/13$$2023/10/20$

答え

 $2$ 倍.

解説

 求める値は, 単位円を外接円にもつ $\triangle\mathrm{ABC}$ の内接円の半径 $r$ の最大値の逆数に等しい. この三角形において, 外心を $\mathrm O$ とおき, $a = \mathrm{BC},$ $b = \mathrm{CA},$ $c = \mathrm{AB}$ とおく.
(i)
$\triangle\mathrm{ABC}$ が鋭角三角形の場合. $\mathrm O$ は $\triangle\mathrm{ABC}$ の内部にある. $\triangle\mathrm{OCA},$ $\triangle\mathrm{OAB}$ において底辺を $\mathrm{OA}$ としたときの高さの和は $a$ 以下であるから, \[\triangle\mathrm{OCA}+\triangle\mathrm{OAB} \leqq \frac{a}{2}\] が成り立つ. 同様に \[\begin{aligned} \triangle\mathrm{OAB}+\triangle\mathrm{OBC} &\leqq \frac{b}{2}, \\ \triangle\mathrm{OBC}+\triangle\mathrm{OCA} &\leqq \frac{c}{2} \\ \end{aligned}\] が成り立つから, 辺々を加えると \[\begin{aligned} r(a+b+c) = 2\triangle\mathrm{ABC} &\leqq \frac{a+b+c}{2} \\ r &\leqq \frac{1}{2} \end{aligned}\] が得られる.
(ii)
$\triangle\mathrm{ABC}$ が直角三角形, 鈍角三角形の場合. $\mathrm O$ は $\triangle\mathrm{ABC}$ の辺上または外部にあり, $\triangle\mathrm{ABC}$ の内接円は半径 $1$ の半円の内部に収まるから,
$2r < 1$ つまり $r < \dfrac{1}{2}$
が成り立つ.
(i), (ii) から, \[ r \leqq \frac{1}{2}\] が成り立つ. ゆえに, 三角形の内接円の半径に対する外接円の半径の比の最小値は $2$ である.

参考

 三角形の外接円の半径 $R,$ 内接円の半径 $r$ に対して, $R \geqq 2r$ が成り立つ. この不等式は「オイラーの不等式」として知られている.

クイズ《球に入る最大の正多面体》

 球状のカプセルにできるだけ体積の大きい正多面体の模型を入れたい. どの正多面体の模型を入れればよいか.
(有名問題)
$2024/09/20$$2024/09/21$

答え

 正十二面体.

解説

 $1$ 辺の長さが $1$ の正十二面体 $P_{12},$ 正二十面体 $P_{20}$ の外接球に占める体積の割合を比較する (正四面体, 正六面体, 正八面体の外接球に占める体積の割合がこれらより小さいことは以下と同様の計算からわかるが, 長くなるため証明は割愛する). $\varphi = \dfrac{1+\sqrt 5}{2}$ とおく.
(1)
$P_i$ の外接球の半径 $R_i$ を求める.
  • $P_{12}$ には $1$ 辺の長さが $\varphi$ の立方体 (頂点を $1$ つ飛ばしに結んで得られる) が内接するから, 最長対角線の長さ $d_{12}$ は \[ d_{12} = \sqrt{\varphi ^2+\varphi ^2+\varphi ^2} = \varphi\sqrt 3\] である. よって, 外接球の半径 $R_{12}$ は \[ R_{12} = \frac{d_{12}}{2} = \frac{\varphi\sqrt 3}{2} = \frac{\sqrt 3+\sqrt{15}}{4}\] である.
  • $P_{20}$ の最長対角線は隣り合う $2$ 辺の長さが $1,$ $\varphi$ の長方形の対角線と一致するから, 最長対角線の長さ $d_{20}$ は \[ d_{20} = \sqrt{1^2+\varphi ^2} = \sqrt{1+\frac{3+\sqrt 5}{2}} = \sqrt{\frac{5+\sqrt 5}{2}} = \sqrt{\varphi\sqrt 5}\] である. よって, 外接球の半径 $R_{20}$ は \[ R_{20} = \frac{d}{2} = \frac{\sqrt{\varphi\sqrt 5}}{2} = \frac{\sqrt{10+2\sqrt 5}}{4}\] である.
(2)
$P_i$ の内接球の半径 $r_i$ を求める.
  • $P_{12}$ の頂点と面の中心の距離 $l_{12}$ は面の外接球の半径に等しく \[ l_{12} = \frac{1}{2\sin 36^\circ} = \frac{2}{\sqrt{10-2\sqrt 5}}\] であるから, 内接球の半径 $r_{12}$ は三平方の定理により \[\begin{aligned} r_{12} &= \sqrt{R_{12}{}^2-l_{12}{}^2} = \sqrt{\frac{9+3\sqrt 5}{8}-\frac{5+\sqrt 5}{10}} \\ &= \sqrt{\frac{25+11\sqrt 5}{40}} = \frac{1}{2}\sqrt{\frac{25+11\sqrt 5}{10}} \end{aligned}\] である.
  • $P_{20}$ の頂点と面の中心の距離 $l_{20}$ は面の外接球の半径に等しく \[ l_{20} = \frac{1}{2\sin 60^\circ} = \frac{1}{\sqrt 3}\] であるから, 内接球の半径 $r_{20}$ は三平方の定理により \[\begin{aligned} r_{20} &= \sqrt{R_{20}{}^2-l_{20}{}^2} = \sqrt{\frac{10+2\sqrt 5}{16}-\frac{1}{3}} \\ &= \sqrt{\frac{14+6\sqrt 5}{48}} = \sqrt{\frac{(3+\sqrt 5)^2}{48}} \\ &= \frac{3+\sqrt 5}{4\sqrt 3} = \frac{3\sqrt 3+\sqrt{15}}{12} \end{aligned}\] である.
(3)
$P_i$ の体積 $V_i$ を求める.
  • $P_{12}$ は底面積が $\dfrac{\sqrt{25+10\sqrt 5}}{4},$ 高さが $r_{12}$ の正五角錐 $12$ 個に分けられるから, その体積 $V_{12}$ は \[\begin{aligned} V_{12} &= 12\cdot\left(\frac{1}{3}\cdot\frac{\sqrt{25+10\sqrt 5}}{4}\cdot\frac{1}{2}\sqrt{\frac{25+11\sqrt 5}{10}}\right) \\ &= \frac{1}{2}\sqrt{\frac{(25+10\sqrt 5)(25+11\sqrt 5)}{10}} = \frac{1}{2}\sqrt{\frac{1175+525\sqrt 5}{10}} \\ &= \frac{1}{2}\sqrt{\frac{470+210\sqrt 5}{4}} = \frac{\sqrt{(15+7\sqrt 5)^2}}{4} = \frac{15+7\sqrt 5}{4} \\ &= \frac{\varphi ^4\sqrt 5}{2} \end{aligned}\] である.
  • $P_{20}$ は底面積が $\dfrac{\sqrt 3}{4},$ 高さが $r_{20}$ の正三角錐 $20$ 個に分けられるから, その体積 $V_{20}$ は \[\begin{aligned} V_{20} &= 20\cdot\left(\frac{1}{3}\cdot\frac{\sqrt 3}{4}\cdot\frac{3\sqrt 3+\sqrt{15}}{12}\right) = \frac{15+5\sqrt 5}{12} \\ &= \frac{5\varphi ^2}{6} \end{aligned}\] である.
(4)
以上から, 正十二面体, 正二十面体の外接球に占める体積の割合はそれぞれ \[\begin{aligned} V_{12}\div\frac{4}{3}\pi R_{12}{}^3 &= \frac{\varphi\sqrt 5}{\pi\sqrt 3} \quad \cdots [1], \\ V_{20}\div\frac{4}{3}\pi R_{20}{}^3 &= \frac{\sqrt{\varphi\sqrt 5}}{\pi} \quad \cdots [2] \end{aligned}\] であることがわかり, \[ [1]\div [2] = \sqrt{\frac{\varphi\sqrt 5}{3}} = \sqrt{\frac{5+\sqrt 5}{6}} > 1\] により前者の方が大きいので, 正十二面体の模型を入れればよい.

参考

 正四面体, 正六面体, 正八面体, 正十二面体, 正二十面体の外接球に占める体積の割合はそれぞれ \[\begin{aligned} \frac{2\sqrt 3}{9\pi} &= 0.12251\cdots, \\ \frac{2\sqrt 3}{3\pi} &= 0.36755\cdots, \\ \frac{1}{\pi} &= 0.31830\cdots, \\ \frac{\varphi\sqrt{15}}{3\pi} &= 0.66490\cdots, \\ \frac{\sqrt{\varphi\sqrt 5}}{\pi} &= 0.60546\cdots \end{aligned}\] である.

クイズ《三角柱の側面の勾配》

 三角柱のブロックを横にして平らな床で転がすと, 側面が床につく度に斜面の勾配が整数になった. このとき, 各勾配の値はいくらか.
(オリジナル)
$2023/10/06$$2023/10/06$

答え

 $1,$ $2,$ $3.$

解説

 内角の大きさが $\alpha,$ $\beta,$ $\gamma$ $(\alpha \leqq \beta \leqq \gamma )$ である直角三角形でない三角形において $\tan\alpha,$ $\tan\beta,$ $\tan\gamma$ が整数であるとして, それらの値を求めればよい.
(1)
まず, $\tan\alpha,$ $\tan\beta,$ $\tan\gamma$ が満たす関係式を求める. $\alpha +\beta +\gamma = \pi$ であるから, 加法定理により \[\begin{aligned} \tan\gamma &= \tan (\pi -\alpha -\beta ) = -\tan (\alpha +\beta ) \\ &= -\frac{\tan\alpha +\tan\beta}{1-\tan\alpha\tan\beta} \end{aligned}\] が成り立つ. 分母を払って整理すると, \[\begin{aligned} (\tan\alpha\tan\beta -1)\tan\gamma &= \tan\alpha +\tan\beta \\ \tan\alpha\tan\beta\tan\gamma &= \tan\alpha +\tan\beta +\tan\gamma \quad \cdots [1] \end{aligned}\] が得られる.
(2)
次に, $\tan\alpha,$ $\tan\beta,$ $\tan\gamma$ の値を求める. 仮定 $\alpha \leqq \beta \leqq \gamma$ により \[ 3\alpha \leqq \alpha +\beta +\gamma = \pi\] であるから, $0 < \alpha \leqq \dfrac{\pi}{3}$ である. よって, \[ 0 < \tan\alpha \leqq \sqrt 3\] であり, $\tan\alpha$ は整数であるから, \[\tan\alpha = 1\] である. この値を $[1]$ に代入して整理すると, \[\begin{aligned} &\tan\beta\tan\gamma = \tan\beta +\tan\gamma +1 \\ &\tan\beta\tan\gamma -\tan\beta -\tan\gamma +1 = 2 \\ &(\tan\beta -1)(\tan\gamma -1) = 2 \end{aligned}\] が得られる. $\tan\beta,$ $\tan\gamma$ が整数であること, $\dfrac{\pi}{4} \leqq \beta \leqq \gamma,$ $\beta +\gamma = \dfrac{3}{4}\pi$ から $\beta,$ $\gamma$ は鋭角であって $1 \leqq \tan\beta \leqq \tan\gamma$ であることに注意すると, \[ (\tan\beta -1,\tan\gamma -1) = (1,2)\] つまり \[ (\tan\beta,\tan\gamma ) = (2,3)\] がわかる. ゆえに, 求める値は $1,$ $2,$ $3$ である.

クイズ《傾きの関係式》

 ある街に $3$ つの坂があり, 最も緩い坂の斜度は他の $2$ つの坂の斜度の差に等しいという. 鉛直方向に $1$ m 上るために水平方向に進まなければならない距離が最もきつい坂で $x$ m, $2$ 番目にきつい坂で $(x+1)$ m であるとき, この距離は最も緩い坂で何 m になるか.
(オリジナル)
$2024/09/27$$2024/09/27$

答え

 $(x^2+x+1)$ m.

解説

 最もきつい坂の斜度を $\alpha,$ $2$ 番目にきつい坂の斜度を $\beta$ とおく. このとき, \[\tan\alpha = \frac{1}{x}, \quad \tan\beta = \frac{1}{x+1}\] が成り立つ. 条件から最も緩い坂の斜度は $\alpha -\beta$ であり, その傾きは \[\begin{aligned} \tan (\alpha -\beta ) &= \frac{\tan\alpha -\tan\beta}{1+\tan\alpha\tan\beta} = \frac{\dfrac{1}{x}-\dfrac{1}{x+1}}{1+\dfrac{1}{x}\cdot\dfrac{1}{x+1}} \\ &= \frac{(x+1)-x}{x(x+1)+1} = \frac{1}{x^2+x+1} \end{aligned}\] である. ゆえに, 鉛直方向に $1$ m 上るために水平方向に進まなければならない距離は最も緩い坂で $(x^2+x+1)$ m である.

参考

 $\tan x$ $\left( -\dfrac{\pi}{2} < x < \dfrac{\pi}{2}\right)$ の逆関数を $\arctan x$ で表すとき, \[\arctan\frac{1}{x} = \arctan\frac{1}{x+1}+\arctan\frac{1}{x^2+x+1}\] が成り立つ. この公式はオイラーによって発見された.

クイズ《正接の和の最小値》

 大きな鋭角三角形のオブジェを作る. 三角形の各頂点から反時計周りに辺に沿って $1$ だけ進んだ点から進行方向に対して垂直な方向に辺にぶつかるまで支柱を伸ばす. $3$ 本の支柱の長さの和を最小にするには, オブジェをどうような形にすればよいか.
(オリジナル)
$2024/05/17$$2024/05/17$

答え

 正三角形.

解説

 鋭角三角形の $3$ つの角の大きさを $A,$ $B,$ $C$ とおく. このとき, $3$ 本の支柱の長さは $\tan A,$ $\tan B,$ $\tan C$ と表されるから, \[ L = \tan A+\tan B+\tan C\] の最小値を求める. 仮定によりこれらの値は正であるから, 相加・相乗平均の不等式により, \[\frac{L}{3} \geqq \sqrt[3]{\tan A\tan B\tan C}\] よって \[ L^3 \geqq 27\tan A\tan B\tan C\] が成り立つ. 前問で示した通り \[\tan A\tan B\tan C = \tan A+\tan B+\tan C\] であるから,
$L^3 \geqq 27L,$ $L^2 \geqq 27,$ つまり $L \geqq 3\sqrt 3$
が成り立つ. 等号成立は, $\tan A = \tan B = \tan C,$ つまり $A = B = C$ のときに限る.
 よって, 支柱の長さを最小にするには, 正三角形にすればよい.

クイズ《楕円に内接する三角形》

 楕円に内接する三角形について, 楕円に占める三角形の面積の割合は最大でいくらになるか.
(オリジナル)
$2024/04/26$$2024/04/27$

答え

 $\dfrac{3\sqrt 3}{4\pi} = 0.41349\cdots.$

解説

 平行移動, 回転移動により, 楕円 $C:\dfrac{x^2}{p^2}+\dfrac{y^2}{q^2} \leqq 1$ $(p,\ q > 0)$ について考えれば十分である. $C$ は単位円 $C_0:x^2+y^2 \leqq 1$ を $x$ 軸方向に $p$ 倍, $y$ 軸方向に $q$ 倍に拡大した図形である. よって, $C$ に内接する三角形 $T$ を $x$ 軸方向に $p^{-1}$ 倍, $y$ 軸方向に $q^{-1}$ 倍に拡大した三角形が $T_0$ で, $T$ の面積が $S,$ $T_0$ の面積が $S_0$ であるとき, $T$ が $C$ に占める面積の割合は \[\frac{S}{\pi pq} = \frac{pqS_0}{\pi pq} = \frac{S_0}{\pi}\] で, $T_0$ が $C_0$ に占める面積の割合に等しい. そこで, $C_0$ に内接する三角形 $\mathrm{ABC}$ の面積 $S_0$ の最大値を求める. $a = \mathrm{BC},$ $b = \mathrm{CA},$ $c = \mathrm{AB}$ とおく. 正弦定理により \[\sin A = \frac{a}{2} \quad \cdots [1]\] であるから, \[ S = \frac{1}{2}bc\sin A = \frac{abc}{4}\] が成り立つ. 相加・相乗平均の関係 \[\sqrt[3]{xyz} \leqq \frac{x+y+z}{3} \quad \cdots [2]\] を $x = a^3,$ $y = b^3,$ $z = c^3$ (いずれも正の数) に適用すると, \[ abc = \sqrt[3]{a^3b^3c^3} \leqq \frac{a^3+b^3+c^3}{3} \quad \cdots [3] \] が得られる. $[2]$ の等号成立条件は $x = y = z$ であるから, $[3]$ で等号が成立するのは $a = b = c$ の場合に限る. $a = b = c$ のとき, $3$ 点 $\mathrm A,$ $\mathrm B,$ $\mathrm C$ は正三角形をなし, $[1]$ から $a = 2\sin 60^\circ = \sqrt 3$ であるので, \[ abc = \dfrac{3a^3}{3} = a^3 = 3\sqrt 3\] が成り立つ. したがって, これが $abc$ の最大値で, $S$ の最大値は \[\frac{3\sqrt 3}{4}\] である. ゆえに, 求める最大値は \[\frac{3\sqrt 3}{4}\div\pi = \frac{3\sqrt 3}{4\pi}\] である.

参考

 楕円に内接する $n$ 角形について, 楕円に占める $n$ 角形の面積の割合は, $n$ 角形が正 $n$ 角形を対称軸を基準に拡大・縮小したものであるとき, 最大で $\dfrac{n}{2\pi}\sin\dfrac{2\pi}{n}$ になる.

式と曲線

クイズ《棒の継ぎ目の軌跡》

 長さが $a,$ $b$ $(a \neq b)$ の棒を $1$ 本につなぎ, 新たな棒を作る. これを両端が L 字型の壁を伝うように動かすとき, 棒の継ぎ目はどのような軌跡を描くか.
(有名問題)
$2024/08/30$$2024/08/30$

答え

 長軸, 短軸が $2a,$ $2b$ の楕円の周を対称軸で $4$ 等分した曲線.

解説

 L 字型の壁の隅を原点, 壁を $x$ 軸 $(x \geqq 0),$ $y$ 軸 $(y \geqq 0)$ とする. 新たな棒の一端を $\mathrm P(p,0),$ 他端を $\mathrm Q(0,q),$ 棒の継ぎ目を $\mathrm R(x,y)$ とおき, $\mathrm{PR} = b,$ $\mathrm{QR} = a$ とする. このとき, $\mathrm{PQ} = a+b$ から, \[ p^2+q^2 = (a+b)^2 \quad \cdots [1]\] が成り立つ. 点 $\mathrm R$ は長さが $a+b$ の線分 $\mathrm{PQ}$ を $b:a$ に内分するから, \[ x = \frac{a}{a+b}p, \quad y = \frac{b}{a+b}q\] が成り立つ. よって, \[ p = \frac{a+b}{a}x, \quad q = \frac{a+b}{b}y \quad \cdots [2]\] であるから, $[1]$ に $[2]$ を代入すると \[\frac{(a+b)^2}{a^2}x^2+\frac{(a+b)^2}{b^2}y^2 = (a+b)^2\] となり, 点 $\mathrm R$ の軌跡の方程式 \[\frac{x^2}{a^2}+\frac{y^2}{b^2} = 1 \quad (x \geqq 0,\ y \geqq 0)\] が得られる.