$2$ 次関数
$2$ 次関数
定義≪$2$ 次関数≫
実数の定数 $a,$ $b,$ $c\ (a \neq 0)$を用いて $f(x) = ax^2+bx+c$ の形に表される関数を $x$ の $2$ 次関数(quadratic function)と呼ぶ.
定理≪$2$ 次関数の最大・最小≫
$2$ 次関数 $f(x) = a(x-p)^2+q$ ($a,$ $p,$ $q$: 定数, $a \neq 0$)の定義域に $x = p$ が含まれるとき,
- (1)
- $a > 0$ であるならば, $f(x)$ は $x = p$ において最小値をとる.
- (2)
- $a < 0$ であるならば, $f(x)$ は $x = p$ において最大値をとる.
証明
$x^2 \geqq 0$ と $x^2 = 0 \iff x = 0$ から従う.
問題≪コの字型のレールの断面積の最大値≫
横幅が $L$ の長方形の金属板を, 両端から長さの等しい位置 $2$ か所で直角に折り曲げて, 断面が長方形状のレールを作る.
このとき, レールの溝の断面積の最大値を求めよ.
解答例
折り曲げる部分の長さを $x,$ 溝の断面積を $y$ とおく.
底の幅は $L-2x$ で, $x > 0,$ $L-2x > 0$ であるから,
\[ 0 < x < \frac{L}{2}\]
である.
\begin{align*}
y &= x(L-2x) \\
&= -2x^2+Lx \\
&= -2\left( x-\frac{L}{4}\right) ^2+\frac{L^2}{8}
\end{align*}
であるから, $y$ は $x = \dfrac{L}{4}$ のとき最大値 $\dfrac{L^2}{8}$ をとる.

問題≪紙を折った部分の面積の最小値≫
$1$ 辺の長さが $1$ の正方形の紙 $\mathrm{ABCD}$ を, 頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ 上にくるように折り返すとき,
折り返した部分の面積が最小になるのはどのような折り方をした場合か答えよ.
また, その場合の面積を求めよ.
解答例
辺 $\mathrm{AB}$ 上の点 $\mathrm P$ と辺 $\mathrm{CD}$ 上の点 $\mathrm Q$ を結ぶ線分で折り返した後に頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ 上の点 $\mathrm R$ に移るとして,
$x = \mathrm{AR},$ $y = \mathrm{BP},$ $z = \mathrm{CQ}$ とおく.
このとき,
\[\mathrm{BP} = \mathrm{RP}, \quad \mathrm{BQ} = \mathrm{RQ}\]
である.
$\triangle\mathrm{APR},$ $\triangle\mathrm{BCQ},$ $\triangle\mathrm{DQR}$ に三平方の定理を適用すると,
\begin{align*}
\mathrm{AP}^2+\mathrm{AR}^2 &= \mathrm{PR}^2, \\
\mathrm{BC}^2+\mathrm{CQ}^2 &= \mathrm{BQ}^2 = \mathrm{RQ}^2 = \mathrm{DQ}^2+\mathrm{DR}^2
\end{align*}
から
\[ (1-y)^2+x^2 = y^2, \quad 1^2+z^2 = (1-z)^2+(1-x)^2\]
となるので,
\[ y = \frac{x^2+1}{2}, \quad z = \frac{x^2-2x+1}{2}\]
である.
よって, 折り返した部分の台形 $\mathrm{PBCQ}$ の面積 $S$ は,
\begin{align*}
S &= \frac{1}{2}(y+z) \\
&= \frac{1}{2}\left(\frac{x^2+1}{2}+\frac{x^2-2x+1}{2}\right) \\
&= \frac{1}{2}(x^2-x+1) \\
&= \frac{1}{2}\left( x-\frac{1}{2}\right) ^2+\frac{3}{8}
\end{align*}
と表される.
$0 \leqq x \leqq 1$ であるから, $S$ は $x = \dfrac{1}{2}$ のとき最小値 $\dfrac{3}{8}$ をとる.
ゆえに, $S$ が最小になるのは頂点 $\mathrm B$ が辺 $\mathrm{AD}$ の中点にくる場合で, その最小値は $\dfrac{3}{8}$ である.
