1 辺の長さが
1 の線分を
2 点で折り曲げ, 端点をつなぐことにより,
3 辺の長さが
a, b, c の三角形を作る.
次のことを示せ.
- (1)
- 三角形の形状によらず, a, b, c<21 である.
- (2)
- a=b のとき, a=b>41 である.
- (3)
- a, b>1−21 のとき, 長さが a, b の辺が挟む角は鋭角である.
標準素朴2019/08/102022/04/19
解答例
- (1)
- 三角形ができるためには
a<b+c
であることが必要である.
この不等式に a+b+c=1 から得られる c=1−a−b を代入すると
a<b+(1−a−b)
となるから, 2a<1 つまり a<21 が成り立つ.
同様に, b, c<21 も成り立つ.
- (2)
- a=b のとき, c<a+b に c=1−2a を代入すると
1−2a<a+a
となるから, 4a>1 よって a=b>41 が成り立つ.
- (3)
- a, b>1−21 のとき, 1−a, 1−b<21 と c=1−a−b から
a2+b2−c2=(a2+b2)−(1−a−b)2=(a2+b2)−(1+a2+b2−2a−2b+2ab)=−1+2a+2b−2ab=1−2(1−a−b+ab)=1−2(1−a)(1−b)>1−2⋅21⋅21=0
となり, c2<a2+b2 となるので, 長さが a, b の辺が挟む角は鋭角である.
1 辺の長さが
1 の正三角形に
1 辺と
2 つの頂点が接するような正方形の
1 辺の長さ, 面積を求めよ.
基本素朴2022/10/072022/10/07
解答例
1 辺の長さが
1 の正三角形は,
1 辺の長さが
x の正方形,
1 辺の長さが
x の正三角形, および正三角形を二等分した形の直角三角形
2 個に分けられる (図は省略).
この直角三角形において斜辺の長さは
1−x, 60∘ の角の対辺の長さは
x であるから,
sin60∘=1−xx つまり 1−xx=23 |
が成り立つ.
よって,
2x=3(1−x) つまり (2+3)x=3 |
から, 求める正方形の
1 辺の長さは
x=2+33=3(2−3)=23−3,
面積は
x2=(23−3)2=21−123
である.
1 辺の長さが
1 の正五角形
ABCDE において, 対角線
AC, BD の交点を
P とおく.
- (1)
- ∠CAD, ∠ACD の大きさを求めよ.
- (2)
- △ACD, △DCP は相似であることを示せ.
- (3)
- 線分 CP, 対角線 AC の長さを求めよ.
- (4)
- cos18∘, sin18∘, tan18∘ の値を求めよ.
- (5)
- cos36∘, sin36∘, tan36∘ の値を求めよ.
標準素朴2022/05/062022/05/07
解答例
- (1)
- ∠ABC=(5−2)×180∘÷5=108∘
で, △ABC は BA=BC なる二等辺三角形であるから,
∠BAC=∠BCA=(180∘−108∘)÷2=36∘
である.
△ABC≡△DEA≡△EAB から
∠EAD=∠BCA=36∘,∠EAB=∠ABC=108∘
であるので,
∠CAD=∠EAB−∠BAC−∠EAD=108∘−36∘−36∘=36∘
である.
さらに, △ABC≡△BCD から
∠BCD=∠ABC=108∘
であるので,
∠ACD=∠BCD−∠BCA=108∘−36∘=72∘
である.
- (2)
- 明らかに
∠DCP=∠ACD=72∘
であり, △ABC≡△BCD から
∠CDP=∠CDB=∠BCA=36∘=∠CAD
であるので, △ACD, △DCP は相似である.
- (3)
- x=CP とおく.
∠PAD=∠PDA=36∘, ∠DPC=∠DCP=72∘ から,
AP=PD=CD=1
である.
よって, (2) の結果から
AC:CD(1+x):1(1+x)xx2+x−1=DC:CP=1:x=12=0
が成り立つので, x>0 に注意すると
CPAC=x=2−1+5,=1+x=21+5
が得られる.
- (4)
- 頂点 D から対角線 AC に下ろした垂線の足を H とおく.
直角三角形 CDH に着目すると,
sin18∘=CDCH=CDCP÷2=1x÷2=21⋅2−1+5=4−1+5
が得られる.
よって,
cos18∘=1−sin218∘=1−(4−1+5)2=4242−(−1+5)2=416−(6−25)=410+25
であり, 辺々を割ると
tan18∘=cos18∘sin18∘=4−1+5÷410+25=(10+25)2(−1+5)10+25=10+25(−1+5)10+25=(10+25)(10−25)(−1+5)(10−25)10+25=80(−20+125)10+25=20(−5+35)10+25=20(−5+35)2(10+25)=20(70−305)(10+25)=20400−1605=525−105
が得られる.
- (5)
- 点 P から対角線 AD に下ろした垂線の足を K とおく.
直角三角形 AKP に着目すると,
cos36∘=APAK=APAD÷2=1(1+x)÷2=21⋅21+5=41+5
が得られる.
よって,
sin36∘=1−cos236∘=1−(41+5)2=4242−(1+5)2=416−(6+25)=410−25
であり, 辺々を割ると
tan36∘=cos36∘sin36∘=410−25÷41+5=(5+1)(5−1)(5−1)10−25=4(5−1)2(10−25)=4(6−25)(10−25)=480−325=5−25
が得られる.
∠A>90∘, AB=AC=1 なる三角形
ABC と, 互いに合同な
2 つの正方形
PQRS, ATUV がある.
頂点
P, T は辺
AB 上に, 辺
QR と頂点
U は辺
BC 上に, 頂点
S は辺
AC 上にあるとする.
∠ABC=θ, x=BC, y=AP とおく.
- (1)
- 正方形 PQRS に着目することで, cosθ, sinθ を用いて x, y を表す式を導け.
- (2)
- 正方形 ATUV に着目することで, cosθ, sinθ を用いて y を表す式を導け.
- (3)
- x を解にもつ整数係数 3 次方程式を 1 つ求めよ.
実戦素朴2022/01/242022/01/28
解答例
正方形
PQRS, ATUV の
1 辺の長さを
l とおく.
- (1)
- 点 A から BC, PS に下ろした垂線の足をそれぞれ M, N とおく.
直角三角形 ABM に着目すると
x=2cosθ⋯[1]
が得られる.
直角三角形 APN, PBQ に着目すると
l=2ycosθ=(1−y)sinθ⋯[2]
から
y=sinθ+2cosθsinθ⋯[3]
が得られる.
- (2)
- 直角三角形 UBT に着目すると, [2] から
tanθ=1−ll=1−2ycosθ2ycosθ,
よって
tanθ(1−2ycosθ)tanθ−2ysinθ=2ycosθ=2ycosθ,
つまり
y=2(sinθ+cosθ)tanθ=2cosθ(sinθ+cosθ)sinθ⋯[4]
が得られる.
- (3)
- [2], [4] から
sinθ+2cosθsinθ2cosθ(sinθ+cosθ)=2cosθ(sinθ+cosθ)sinθ=sinθ+2cosθ(∵sinθ=0)
が得られ, 整理した
sinθ(2cosθ−1)=2cosθ(1−cosθ)
の両辺を 2 乗すると cos2θ+sin2θ=1 から
(1−cos2θ)(2cosθ−1)2=4cos2θ(1−cosθ)2
が得られる.
[1] から cosθ=2x であるので,
(1−4x2)(x−1)2(4−x2)(x−1)2=x2(1−2x)2=x2(2−x)2
つまり
x2(2−x)2+(x2−4)(x−1)2x2(x−2)2+(x+2)(x−2)(x−1)2(x−2){x2(x−2)+(x+2)(x−1)2}(x−2){x2(x−2)+(x+2)(x2−2x+1)}(x−2)(2x3−2x2−3x+2)=0=0=0=0=0
であり, 三角形の成立条件により x=2 であることから
2x3−2x2−3x+2=0
である.
参考
- 正三角形の他に, 内接する最大の正方形が 3 通りの方法で配置できるような三角形 (鈍角二等辺三角形) がただ 1 つ存在する.
この三角形を「カラビの三角形」(Calabi's triangle) と呼ぶ.
上記の問題の三角形は, 二等辺三角形の対称性により内接する最大の正方形が 3 通りの方法で配置できるから,「カラビの三角形」である.
- 「カラビの三角形」における等辺に対する底辺の長さの比 x は, 3 次方程式
2x3−2x2−3x+2=0
の 3 つの実数解のうち最大の解であり,「カルダーノの公式」(こちらを参照) により
x=31(1+3−423+43237i+3−423−43237i)
と表され,「カラビの三角形定数」と呼ばれる.
その近似値は
x=1.55138⋯
であり (こちらを参照),「カラビの三角形」の鋭角, 鈍角の大きさの近似値はそれぞれ
39.13202⋯∘,101.73594⋯∘
である.