チェビシェフ多項式
チェビシェフ多項式
定理《チェビシェフ多項式の存在》
$n$ を正の整数とする.
- (1)
- $\cos n\theta$ はある整数係数 $n$ 次多項式 $T_n(x)$ を用いて $\cos n\theta = T_n(\cos\theta )$ と表すことができる.
- (2)
- $\sin n\theta$ はある整数係数 $n-1$ 次多項式 $U_{n-1}(x)$ を用いて $\sin n\theta = \sin\theta\,U_{n-1}(\cos\theta )$ と表すことができる.
証明
こちらを参照.
定義《チェビシェフ多項式》
(1) の多項式 $T_n(x)$ を第一種チェビシェフ多項式,
(2) の多項式 $U_{n-1}(x)$ を第二種チェビシェフ多項式と呼び,
これらをあわせてチェビシェフ多項式 (Chebyshev polynomial) と呼ぶ.
例《チェビシェフ多項式》
チェビシェフ多項式を次数の低い順に書き出していくと, 次のようになる.
\[\begin{aligned}
T_1(x) &= x, & U_1(x) &= 2x, \\
T_2(x) &= 2x^2-1, & U_2(x) &= 4x^2-1, \\
T_3(x) &= 4x^3-3x, & U_3(x) &= 8x^3-4x, \\
T_4(x) &= 8x^4-8x^2+1, & U_4(x) &= 16x^4-12x^2+1, \\
T_5(x) &= 16x^5-20x^3+5x, & U_5(x) &= 32x^5-32x^3+6x, \\
\vdots\quad& & \vdots\quad&
\end{aligned}\]
高校数学の問題
三角関数
問題《正五角形の対角線の長さ》
- (1)
- 実数 $\theta$ に対して $\cos 3\theta = 4\cos ^3\theta -3\cos\theta$ が成り立つことを示せ.
- (2)
- $a = \cos\dfrac{2\pi}{5}$ の値を求めよ.
- (3)
- $1$ 辺の長さが $1$ の正五角形の対角線の長さを求めよ.
解答例
こちらを参照.
問題《正七角形調和》
正七角形 $\mathrm{ABCDEFG}$ において $a = \mathrm{GA},$ $b = \mathrm{GB},$ $c = \mathrm{GC}$ とおき, $\theta = \dfrac{\pi}{7}$ とおく.
- (1)
- $\triangle\mathrm{GAB}$ と $\triangle\mathrm{GBC}$ に着目して, $b = 2a\cos\theta$ と $c = a(4\cos ^2\theta -1)$ を示せ.
- (2)
- $\sin 3\theta$ と $\sin 4\theta$ を $\cos\theta$ の多項式と $\sin\theta$ の積の形に表せ.
- (3)
- $\cos\theta$ を解に持つ $3$ 次方程式を $1$ つ求めよ.
- (4)
- $a^{-1} = b^{-1}+c^{-1}$ が成り立つことを示せ.
解答例
こちらを参照.
問題《チェビシェフ多項式の存在》
$n$ を正の整数とする.
すべての実数 $\theta$ に対して
\[\begin{cases}
\cos n\theta = T_n(\cos\theta ) & \cdots [\mathrm A], \\
\sin n\theta = \sin\theta\,U_{n-1}(\cos\theta ) & \cdots [\mathrm B]
\end{cases}\]
を満たす整数係数の $n$ 次多項式 $T_n(x),$ $n-1$ 次多項式 $U_{n-1}(x)$ が存在することを示せ.
(参考: $1996$ 京都大)
解答例
こちらを参照.
問題《チェビシェフ多項式の性質》
$T_0(x) = 1,$ $T_1(x) = x$ と漸化式
\[ T_{n+2}(x) = 2xT_{n+1}(x)-T_n(x)\]
により多項式 $T_n(x)\ (n \geqq 0)$ を定める.
- (1)
- すべての非負整数 $n,$ 実数 $\theta$ に対して \[ T_n(\cos\theta ) = \cos n\theta \quad \cdots [\text P]\] が成り立つことを数学的帰納法で示せ.
- (2)
- $m$ を正の整数とする. $T_m(x) = 0$ の実数解を余弦の値で表せ.
- (3)
- $T_n(x)$ を $x$ の関数とみなすとき, $n$ が偶数のとき $T_n(x)$ は偶関数であり, $n$ が奇数のとき $T_n(x)$ は奇関数であることを示せ.
- (4)
- $n \geqq 2$ で, $n$ の正の約数 $m$ について $\dfrac{n}{m}$ が奇数であるとする. このとき, $T_m(x)$ は $T_n(x)$ を割り切ることを示せ.
(参考: $2002$ 九州大)
解答例
こちらを参照.
微分法 (文系・理系共通)
問題《チェビシェフ多項式に関する最大値》
- (1)
- 関数 $\left| x^3-\dfrac{3}{4}x\right|$ の $-1 \leqq x \leqq 1$ における最大値 $M_0$ を求めよ.
- (2)
- $a,$ $b,$ $c$ を実数とする. 関数 $|x^3+ax^2+bx+c|$ の $-1 \leqq x \leqq 1$ における最大値 $M$ は $M_0$ 以上であることを示せ.
解答例
こちらを参照.
問題《チェビシェフ多項式にまつわる方程式》
$a$ を実数の定数とする.
- (A)
- $4x^3-3x = a$
- (B)
- $8x^4-8x^2+1 = a$
解答例
こちらを参照.
積分法 (理系)
問題《チェビシェフ多項式の直交性》
すべての正の整数 $n$ に対して
\[ T_n(\cos\theta ) = \cos n\theta, \quad \sin\theta\,U_n(\cos\theta ) = \sin (n+1)\theta\]
を満たす $n$ 次多項式 $T_n(x),$ $U_n(x)$ が存在する (こちらを参照).
正の整数 $m,$ $n$ に対して,
\[\begin{aligned}
I &= \lim_{a \to -1+0}\lim_{b \to 1-0}\int_a^b\frac{T_m(x)T_n(x)}{\sqrt{1-x^2}}\,dx, \\
J &= \int_{-1}^1U_m(x)U_n(x)\sqrt{1-x^2}\,dx
\end{aligned}\]
の値を求めよ.
ただし, $J$ は
\[ J = \lim_{a \to -1+0}\lim_{b \to 1-0}\int_a^bU_m(x)U_n(x)\sqrt{1-x^2}\,dx\]
と考えるとよい.
解答例
こちらを参照.