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Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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複素数平面上の変換

複素数平面上の変換

問題《反転と円円対応》

 α\alpha00 でない複素数とする.
(1)
22O(0),\mathrm O(0), A(α)\mathrm A(\alpha ) を結ぶ線分の垂直二等分線は zα+zˉαˉ=1\dfrac{z}{\alpha}+\dfrac{\bar z}{\bar \alpha} = 1 で表されることを示せ.
(2)
複素数平面上の原点 O\mathrm O と異なる点 P(z)\mathrm P(z) と半直線 OP\mathrm{OP} 上の点 Q(w)\mathrm Q(w)OPOQ=1\mathrm{OP}\cdot\mathrm{OQ} = 1 を満たすとする.
ww を用いて zz を表せ.
P\mathrm P が円周 zα=r|z-\alpha | = r 上を動くとする. 点 Q\mathrm Q は, α=r|\alpha | = r のとき原点を通らない直線を描き, αr|\alpha| \neq r のとき原点を通らない円周を描くことを示せ.
(参考: 20162016 北海道大)
標準定理2018/12/282018/12/282022/06/092022/06/09

解答例

(1)
複素数平面上の点 P(z)\mathrm P(z) に対して
P\mathrm P が線分 OA\mathrm{OA} の垂直二等分線上にある     \iff OP=AP\mathrm{OP} = \mathrm{AP}
    \iff z=zα|z| = |z-\alpha |     \iff z2=zα2|z|^2 = | z-\alpha |^2
    \iff zzˉ=(zα)(zα)z\bar z = (z-\alpha )\overline{(z-\alpha )}
    \iff zzˉ=(zα)(zˉαˉ)z\bar z = (z-\alpha )(\bar z-\bar\alpha )
    \iff zzˉ=zzˉαˉzαzˉ+ααˉz\bar z = z\bar z-\bar\alpha z-\alpha\bar z+\alpha\bar\alpha
    \iff αˉz+αzˉ=ααˉ\bar\alpha z+\alpha\bar z = \alpha\bar\alpha     \iff zα+zˉαˉ=1\dfrac{z}{\alpha}+\dfrac{\bar z}{\bar\alpha} = 1
であるから, 線分 OA\mathrm{OA} の垂直二等分線は方程式 zα+zˉαˉ=1\dfrac{z}{\alpha}+\dfrac{\bar z}{\bar \alpha} = 1 で表される.
(2)
Q\mathrm Q は半直線 OP\mathrm{OP} 上にあるから, 00 以上のある実数 kk に対して z=kwz = kw となる. OPOQ=1\mathrm{OP}\cdot\mathrm{OQ} = 1 から 1=zw=kww=kw2 1 = |z||w| = |kw||w| = k|w|^2 であるので, k=1w2k = \dfrac{1}{|w|^2} が成り立つ. よって, z=1w2w=wwwˉ=1wˉ[A] z = \frac{1}{|w|^2}w = \frac{w}{w\bar w} = \frac{1}{\bar w} \quad \cdots [\text A] が成り立つ.
zα=r|z-\alpha | = r[A][\text A] を代入すると 1wˉα=r\left|\frac{1}{\bar w}-\alpha\right| = r となるから, r2=1wˉα2=(1wˉα)(1wˉα)=(1wˉα)(1wαˉ)=1wˉwαˉwˉαw+α2\begin{aligned} r^2 &= \left|\frac{1}{\bar w}-\alpha\right| ^2 = \left(\frac{1}{\bar w}-\alpha\right)\overline{\left(\frac{1}{\bar w}-\alpha\right)} \\ &= \left(\frac{1}{\bar w}-\alpha\right)\left(\frac{1}{w}-\bar\alpha\right) \\ &= \frac{1}{\bar ww}-\frac{\bar\alpha}{\bar w}-\frac{\alpha}{w}+|\alpha |^2 \end{aligned} となる. 両辺に wwˉw\bar w を掛けて整理すると, (α2r2)wwˉαˉwαwˉ+1=0[B] (|\alpha |^2-r^2)w\bar w-\bar\alpha w-\alpha\bar w+1 = 0 \quad \cdots [\text B] となる.
(i)
α=r|\alpha | = r の場合. [B]    αˉw+αwˉ=1 [\text B] \iff \bar\alpha w+\alpha\bar w = 1 となるから, (1) の結果により, 点 Q\mathrm Q の軌跡は 220,0, αˉ1\bar\alpha ^{-1} を結ぶ線分の垂直二等分線である. よって, 点 Q\mathrm Q は原点を通らない直線を描く.
(ii)
αr|\alpha | \neq r の場合. d=α2r2d = |\alpha |^2-r^2 とおくと [B]    wwˉαˉdwαdwˉ+ααˉd2=α2d21d    (wαd)(wˉαˉd)=r2d2    (wαd)(wαd)=r2d2    wαd2=r2d2    wαd=rd\begin{aligned} [\text B] &\iff w\bar w-\frac{\bar\alpha}{d}w-\frac{\alpha}{d}\bar w+\frac{\alpha\bar\alpha}{d^2} = \frac{|\alpha |^2}{d^2}-\frac{1}{d} \\ &\iff \left( w-\frac{\alpha}{d}\right)\left(\bar w-\frac{\bar\alpha}{d}\right) = \frac{r^2}{d^2} \\ &\iff \left( w-\frac{\alpha}{d}\right)\overline{\left( w-\frac{\alpha}{d}\right)} = \frac{r^2}{d^2} \\ &\iff \left| w-\frac{\alpha}{d}\right| ^2 = \frac{r^2}{d^2} \\ &\iff \left| w-\frac{\alpha}{d}\right| = \frac{r}{|d|} \end{aligned} となるから, 点 Q\mathrm Q の軌跡は点 αα2r2\dfrac{\alpha}{|\alpha |^2-r^2} を中心とする半径 rα2r2\dfrac{r}{||\alpha |^2-r^2|} の円周である. よって, 点 Q\mathrm Q は原点を通らない円周を描く.

参考

  • 集合 SS の各要素に SS11 つの要素を対応させる規則を SS 上の「変換」と呼ぶ. 例えば, 実数全体 R\mathbb R を定義域とする実数値関数は R\mathbb R 上の「変換」である. また, 複素数平面における平行移動, 回転移動, 対称移動はすべて複素数平面上の「変換」である. さらに, 複素数平面上の各点を定点からの距離がもとの定数倍になるような点にうつす対応も「相似変換」または「拡大・縮小変換」と呼ばれる「変換」である.
  • 平面上の点 O\mathrm O を中心とする半径 rr の円周 CC について, O\mathrm O と異なる点 P\mathrm POPOQ=r2\mathrm{OP}\cdot\mathrm{OQ} = r^2 なる半直線 OP\mathrm{OP} 上の点 Q\mathrm Q に対応させる「変換」を円周 CC に関する「反転」と呼び, 点 O\mathrm O「反転の中心」, rr「反転の半径」と呼ぶ. また, 点 P\mathrm P が図形 FF 上を動くとき, 点 Q\mathrm Q の軌跡を FF「反形」と呼ぶ.
  • 複素数平面 (原点を除く部分) において,「反転」w=1zˉw = \dfrac{1}{\bar z} は, 実軸に関する対称移動と「変換」w=1zw = \dfrac{1}{z} の「合成変換」である. 前者の「変換」が円周を円周にうつし, 後者の「変換」が円周を円周または直線にうつすことから,「反転」w=1zˉw = \dfrac{1}{\bar z} は円周を円周または直線にうつす.

問題《11 次分数変換と円円対応》

 α0,\alpha \neq 0, α<1,|\alpha | < 1, λ=1|\lambda | = 1 なる複素数 α,\alpha, λ\lambda に対して, w=λzααˉz1w = \lambda\dfrac{z-\alpha}{\bar\alpha z-1} は単位円 z1|z| \leqq 1 を単位円 w1|w| \leqq 1 にうつすことを示せ.
標準先例2019/09/182019/09/182022/06/092022/06/09

解答例

 w=λzααˉz1 [1]w = \lambda\dfrac{z-\alpha}{\bar\alpha z-1}\ \cdots [1] とおく. このとき, (αˉz1)w=λ(zα)(\bar\alpha z-1)w = \lambda (z-\alpha ) から, (αˉwλ)z=wαλ(\bar\alpha w-\lambda )z = w-\alpha\lambda となる.
 ここで, 仮に αˉwλ=0\bar\alpha w-\lambda = 0 とすると, w=λαˉw = \dfrac{\lambda}{\bar\alpha} から 0=λαˉαλ=λαˉ(1α2)0 = \dfrac{\lambda}{\bar\alpha}-\alpha\lambda = \dfrac{\lambda}{\bar\alpha}(1-|\alpha |^2) となり, α2=1|\alpha |^2 = 1 つまり α=1|\alpha | = 1 となってしまう.
 よって, αˉwλ0\bar\alpha w-\lambda \neq 0 であり, z=wαλαˉwλz = \dfrac{w-\alpha\lambda}{\bar\alpha w-\lambda} であるから, z1    z21    wαλαˉwλ21    wαλ2αˉwλ2    (wαλ)(wˉαˉλˉ)(αˉwλ)(αwˉλˉ)    w2αˉλˉwαλwˉ+α2α2w2αˉλˉwαλwˉ+1(λ=1)    (1α2)w21α2    w21(α<1)    w1\begin{aligned} &|z| \leqq 1 \iff |z|^2 \leqq 1 \\ &\iff \left|\frac{w-\alpha\lambda}{\bar\alpha w-\lambda}\right| ^2 \leqq 1 \\ &\iff |w-\alpha\lambda |^2 \leqq |\bar\alpha w-\lambda |^2 \\ &\iff (w-\alpha\lambda )(\bar w-\bar\alpha\bar\lambda ) \leqq (\bar\alpha w-\lambda )(\alpha\bar w-\bar\lambda ) \\ &\iff |w|^2-\bar\alpha\bar\lambda w-\alpha\lambda\bar w+|\alpha |^2 \\ &\qquad\quad \leqq |\alpha |^2|w|^2-\bar\alpha\bar\lambda w-\alpha\lambda\bar w+1 \quad (\because |\lambda | = 1) \\ &\iff (1-|\alpha |^2)|w|^2 \leqq 1-|\alpha |^2 \\ &\iff |w|^2 \leqq 1 \quad (\because |\alpha | < 1) \\ &\iff |w| \leqq 1 \end{aligned} が成り立つ. ゆえに, [1][1] は単位円 z1|z| \leqq 1 を単位円 w1|w| \leqq 1 にうつす.

参考

  • αδβγ0,\alpha\delta -\beta\gamma \neq 0, (γ,δ)(0,0)(\gamma,\delta ) \neq (0,0) なる複素数 α,\alpha, β,\beta, γ,\gamma, δ\delta を用いて w=αz+βγz+δ[] w = \dfrac{\alpha z+\beta}{\gamma z+\delta} \quad \cdots [*] の形に表される変換は11 次分数変換」または「メビウス変換」と呼ばれる.
  • (i)
    γ0\gamma \neq 0 のとき, [][*] は, w=αγ+βγαδγ2z+δγ w = \frac{\alpha}{\gamma}+\frac{\dfrac{\beta\gamma -\alpha\delta}{\gamma ^2}}{z+\dfrac{\delta}{\gamma}} と変形でき, 平行移動,「反転」, 回転移動と相似変換, 平行移動の合成と一致する.
    (ii)
    γ=0\gamma = 0 のとき, [][*] は, w=αδ(z+βα) w = \frac{\alpha}{\delta}\left( z+\frac{\beta}{\alpha}\right) と変形でき, 平行移動, 回転移動と相似変換の合成と一致する.
    平行移動, 回転移動, 相似変換は円周を円周にうつし, 前問で見たように「反転」は円周を円周または直線にうつすから, (i), (ii) いずれの場合にも「11 次分数変換」は円を円または直線にうつす. このことは「円円対応」と呼ばれる.

問題《ケイリー変換》

 複素数平面上の点 zz が実軸の上方 (実軸上の点は含まない) を動くとき, 点 w=ziz+iw = \dfrac{z-i}{z+i} が動く範囲を求めよ.
基本先例2019/09/132019/09/132022/06/092022/06/09

解答例

 実軸は 22i,i, i-i を結ぶ線分の垂直二等分線 zi=z+i|z-i| = |z+i| と一致する. よって, w=ziz+iw = \dfrac{z-i}{z+i} であるとき,
zz が実軸の上方    \iff zi<z+i|z-i| < |z+i|
    \iff ziz+i<1\left|\dfrac{z-i}{z+i}\right| < 1
    \iff w<1|w| < 1
が成り立つから, 複素数平面上の点 zz が実軸の上方を動くとき, 点 ww が動く範囲は単位円の内部 (周上の点は含まない) である.

参考

 「変換」f(z)=ziz+if(z) = \dfrac{z-i}{z+i}「ケイリー変換」(Cayley transformation) と呼ばれ,「複素解析学」で重要な役割を果たす.

問題《複比の 11 次変換による不変性とその応用》

 相異なる複素数 z1,z_1, z2,z_2, z3,z_3, z4z_4 に対して, 比 (z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)\frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)}(z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) で表す. 次のことを示せ.
(1)
f(z)=k(zα)f(z) = k(z-\alpha ) (kk: 00 でない実数, α\alpha: 複素数) のとき, (f(z1),f(z2);f(z3),f(z4))=(z1,z2;z3,z4) (f(z_1),f(z_2);f(z_3),f(z_4)) = (z_1,z_2;z_3,z_4) が成り立つ.
(2)
複素数平面において, 点 z1,z_1, z2,z_2, z3z_3 が単位円周上にあるとする. このとき, 点 z4z_4 が単位円周上にあることと (z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) が実数であることは同値である.
(3)
複素数平面において, 点 z1,z_1, z2,z_2, z3z_3 が円周 CC 上にあるとする. このとき, 点 z4z_4 が円周 CC 上にあることと (z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) が実数であることは同値である.
(参考: 19991999 京都大)
標準定理2023/07/122023/07/122023/08/032023/08/03

解答例

(1)
f(z)=k(zα)f(z) = k(z-\alpha ) のとき, (f(z1),f(z2);f(z3),f(z4))={f(z3)f(z1)}{f(z4)f(z2)}{f(z3)f(z2)}{f(z4)f(z1)}={k(z3α)k(z1α)}{k(z4α)k(z2α)}{k(z3α)k(z2α)}{k(z4α)k(z1α)}=k2(z3z1)(z4z2)k2(z3z2)(z4z1)=(z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)=(z1,z2;z3,z4)\begin{aligned} &(f(z_1),f(z_2);f(z_3),f(z_4)) \\ &= \frac{\{ f(z_3)-f(z_1)\}\{ f(z_4)-f(z_2)\}}{\{ f(z_3)-f(z_2)\}\{ f(z_4)-f(z_1)\}} \\ &= \frac{\{ k(z_3-\alpha )-k(z_1-\alpha )\}\{ k(z_4-\alpha )-k(z_2-\alpha )\}}{\{ k(z_3-\alpha )-k(z_2-\alpha )\}\{ k(z_4-\alpha )-k(z_1-\alpha )\}} \\ &= \frac{k^2(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{k^2(z_3-z_2)(z_4-z_1)} = \frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)} \\ &= (z_1,z_2;z_3,z_4) \end{aligned} が成り立つ.
(2)
z1,z_1, z2,z_2, z3z_3 が単位円周上にあるとする. このとき, 各番号 kk (1k3)(1 \leqq k \leqq 3) に対して, zkzk=zk2=1z_k\overline{z_k} = |z_k|^2 = 1 から, zk=zk1[1]\overline{z_k} = z_k{}^{-1} \quad \cdots [1] が成り立つ.
(i)
z4z_4 が単位円周上にあるとする. このとき, k=4k = 4 に対しても [1][1] が成り立つ. よって, (z1,z2;z3,z4)= (z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1) =(z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)=(z31z11)(z41z21)(z31z21)(z41z11)=(z1z3)(z2z4)(z2z3)(z1z4)=(z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)=(z1,z2;z3,z4)\begin{aligned} \overline{(z_1,z_2;z_3,z_4)} &= \overline{\ \frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)}\ } \\ &= \frac{(\overline{z_3}-\overline{z_1})(\overline{z_4}-\overline{z_2})}{(\overline{z_3}-\overline{z_2})(\overline{z_4}-\overline{z_1})} \\ &= \frac{(z_3{}^{-1}-z_1{}^{-1})(z_4{}^{-1}-z_2{}^{-1})}{(z_3{}^{-1}-z_2{}^{-1})(z_4{}^{-1}-z_1{}^{-1})} \\ &= \frac{(z_1-z_3)(z_2-z_4)}{(z_2-z_3)(z_1-z_4)} \\ &= \frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)} \\ &= (z_1,z_2;z_3,z_4) \end{aligned} が成り立つから, (z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) は実数である.
(ii)
(z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) が実数であるとする. このとき, (z1,z2;z3,z4)=(z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) = \overline{(z_1,z_2;z_3,z_4)} から, (z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)= (z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1) =(z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)=(z31z11)(z4z21)(z31z21)(z4z11)=(z1z3)(z2z41)(z2z3)(z1z41)\begin{aligned} \frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)} &= \overline{\ \frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)}\ } \\ &= \frac{(\overline{z_3}-\overline{z_1})(\overline{z_4}-\overline{z_2})}{(\overline{z_3}-\overline{z_2})(\overline{z_4}-\overline{z_1})} \\ &= \frac{(z_3{}^{-1}-z_1{}^{-1})(\overline{z_4}-z_2{}^{-1})}{(z_3{}^{-1}-z_2{}^{-1})(\overline{z_4}-z_1{}^{-1})} \\ &= \frac{(z_1-z_3)(z_2\overline{z_4}-1)}{(z_2-z_3)(z_1\overline{z_4}-1)} \end{aligned} よって z4z2z4z1=z2z41z1z41(z4z2)(z1z41)=(z4z1)(z2z41)\begin{aligned} \frac{z_4-z_2}{z_4-z_1} &= \frac{z_2\overline{z_4}-1}{z_1\overline{z_4}-1} \\ (z_4-z_2)(z_1\overline{z_4}-1) &= (z_4-z_1)(z_2\overline{z_4}-1) \end{aligned} が成り立つ. 展開して整理すると (z1z2)(z421)=0 (z_1-z_2)(|z_4|^2-1) = 0 となるから, z42=1|z_4|^2 = 1 つまり z4=1|z_4| = 1 が成り立つ. これは点 z4z_4 が単位円周上にあることを意味する.
(i), (ii) から, 点 z4z_4 が単位円周上にあることと (z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) が実数であることは同値である.
(3)
CC が点 α\alpha を中心とする半径 rr の円周であるとし, f(z)=1r(zα) f(z) = \dfrac{1}{r}(z-\alpha ) とおく. このとき, 点 zzCC 上にあることと, 点 f(z)f(z) が単位円周 C0C_0 上にあることは同値である. また, (1) により (f(z1),f(z2);f(z3),f(z4))=(z1,z2;z3,z4) (f(z_1),f(z_2);f(z_3),f(z_4)) = (z_1,z_2;z_3,z_4) であるから,
z4Cz_4 \in C    \iff f(z4)C0f(z_4) \in C_0
    \iff (f(z1),f(z2);f(z3),f(z4))(f(z_1),f(z_2);f(z_3),f(z_4)) は実数 ((2))(\because (2))
    \iff (z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) は実数
が成り立つ.

参考

  • 複素数平面上の相異なる 44z1,z_1, z2,z_2, z3,z_3, z4z_4 に対して, 比 (z3z1)(z4z2)(z3z2)(z4z1)\frac{(z_3-z_1)(z_4-z_2)}{(z_3-z_2)(z_4-z_1)}「複比」または「非調和比」(cross ratio) と呼び, (z1,z2;z3,z4)(z_1,z_2;z_3,z_4) で表す. 「複比」の概念は「射影幾何学」で重要な役割を果たす.
  • 「複比」は, 平行移動, 回転移動や相似変換, 変換 f(z)=1zf(z) = \dfrac{1}{z} に関して不変である (各自確認されたい). 「11 次分数変換」はそれらの合成であるから (こちらを参照),「複比」は「11 次分数変換」に関して不変である. (2) は「複比」が変換 f(z)=1zf(z) = \dfrac{1}{z} に関して不変であることの帰結である.

問題《ジューコフスキー変換》

 a,a, rr を正の数とする. 点 zz が原点を中心とする半径 rr の円周上を動くとき, w=z+a2zw = z+\dfrac{a^2}{z} を満たす点 ww の軌跡を,
(i) a=ra = r のとき  (ii) ara \neq r のとき
22 つの場合に分けて求めよ.
標準先例2019/05/022019/05/022022/06/092022/06/09

解答例

 z=r(cosθ+isinθ)z = r(\cos\theta +i\sin\theta ) (r>0, 0θ<2π)(r > 0,\ 0 \leqq \theta < 2\pi ) とおく. このとき, w=z+a2z=r(cosθ+isinθ)+a2r(cosθisinθ)=(r+a2r)cosθ+i(ra2r)sinθ=r2+a2rcosθ+ir2a2rsinθ[1]\begin{aligned} w &= z+\frac{a^2}{z} = r(\cos\theta +i\sin\theta )+\frac{a^2}{r}(\cos\theta -i\sin\theta ) \\ &= \left( r+\frac{a^2}{r}\right)\cos\theta +i\left( r-\frac{a^2}{r}\right)\sin\theta \\ &= \frac{r^2+a^2}{r}\cos\theta +i\frac{r^2-a^2}{r}\sin\theta \quad \cdots [1] \end{aligned} となる.
(i)
a=ra = r のとき. [1]    w=2acosθ [1] \iff w = 2a\cos\theta から ww は実数であり, 1cosθ1-1 \leqq \cos\theta \leqq 1 から 2aw2a-2a \leqq w \leqq 2a であるので, 点 ww222a,-2a, 2a2a を結ぶ線分を描く.
(ii)
ara \neq r のとき. w=x+yiw = x+yi (x,x, yy: 実数) とおく. このとき, [1][1] から x=r2+a2rcosθ,y=r2a2rsinθ x = \frac{r^2+a^2}{r}\cos\theta, \quad y = \frac{r^2-a^2}{r}\sin\theta となる. cos2θ+sin2θ=1\cos ^2\theta +\sin ^2\theta = 1 を使って θ\theta を消去すると, [1]    x2(r2+a2r)2+y2(r2a2r)2=1 [1] \iff \frac{x^2}{\left(\dfrac{r^2+a^2}{r}\right) ^2}+\frac{y^2}{\left(\dfrac{r^2-a^2}{r}\right) ^2} = 1 となる. よって, 点 ww
(±(r2+a2r)2(r2a2r)2,0)\left(\pm\sqrt{\left(\dfrac{r^2+a^2}{r}\right) ^2-\left(\dfrac{r^2-a^2}{r}\right) ^2},0\right) つまり (±2a,0)(\pm 2a,0)
を焦点とする長軸の長さ 2(r2+a2)r,\dfrac{2(r^2+a^2)}{r}, 短軸の長さ 2r2a2r\dfrac{2|r^2-a^2|}{r} の楕円の周を描く.

参考

 w=z+a2zw = z+\dfrac{a^2}{z} (aa: 正の定数) の形の関係式によって zzww に対応させる複素数平面上の「変換」を「ジューコフスキー変換」(Joukowski transformation, Zhukovsky —) と呼ぶ. この「変換」は流体力学において翼の揚力に関する理論に応用されており, 飛行機の翼の設計に役立てられている. 例えば, 中心が原点から少し離れた円周は「ジューコフスキー変換」w=z+1zw = z+\dfrac{1}{z} によって, 図のような曲線に「変換」される.
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最終更新日: 2024 年 12 月 13 日