黄金比
黄金比
定義《黄金比》
比 $1:\dfrac{1+\sqrt 5}{2}$ を黄金比 (golden ratio) と呼び,
\[\frac{1+\sqrt 5}{2} = 1.6180339887\cdots\]
を黄金数 (golden number) と呼ぶ.
定理《黄金長方形》
短辺と長辺の比が, 長辺から短辺を引いた差と短辺の比に等しいような長方形の辺の比は黄金比である.
証明
こちらを参照.
定義《黄金長方形》
辺の長さの比が黄金比になる長方形を黄金長方形 (golden rectangle) と呼ぶ.
定理《正五角形と黄金比》
正五角形の辺と対角線の長さの比は黄金比である.
証明
こちらを参照.
定理《フィボナッチ数列の隣接項の比》
フィボナッチ数列の隣り合う項の比は黄金比に収束する.
証明
こちらを参照.
高校数学の問題
$2$ 次関数
問題《黄金長方形》
$1 = \mathrm{AB} < \mathrm{AD}$ なる長方形 $\mathrm{ABCD}$ から正方形 $\mathrm{ABFE}$ を切り取ってできる長方形 $\mathrm{DEFC}$ がもとの長方形 $\mathrm{ABCD}$ と相似になるとき,
辺 $\mathrm{AD}$ の長さ $x$ を求めよ.
ただし, $\mathrm E,$ $\mathrm F$ はそれぞれ辺 $\mathrm{AD},$ $\mathrm{BC}$ 上の点である.
解答例
こちらを参照.
三角関数
問題《正五角形の対角線の長さ》
- (1)
- 実数 $\theta$ に対して $\cos 3\theta = 4\cos ^3\theta -3\cos\theta$ が成り立つことを示せ.
- (2)
- $a = \cos\dfrac{2\pi}{5}$ の値を求めよ.
- (3)
- $1$ 辺の長さが $1$ の正五角形の対角線の長さを求めよ.
解答例
こちらを参照.
関数と極限
問題《黄金長方形にまつわる無限等比級数》
$\varphi = \dfrac{1+\sqrt 5}{2}$ のとき, 無限等比級数 $\displaystyle\sum_{n = 0}^\infty (\varphi -1)^{2n}$ の和を求めよ.
解答例
こちらを参照.
式と曲線
問題《黄金らせん》
$a\,(\neq 1)$ を正の数とし, 極方程式
\[ r = a^\theta\]
で定まる曲線を $C$ とおく.
- (1)
- $\alpha$ を実数, $k$ を正の数とする.
次のことを示せ.
- $C$ を極の周りに角 $\alpha$ だけ回転することは, 極を中心に $a^\alpha$ 倍に拡大することに他ならない.
- $C$ を極を中心に $k$ 倍に拡大することは, 極の周りに角 $\log_ak$ だけ回転することに他ならない.
- $C$ と $C$ 自身は $1:k$ の比 (任意の比) で相似である.
- (2)
- 各整数 $n$ に対して, $C$ の $\dfrac{(n-1)\pi}{2} \leqq \theta \leqq \dfrac{n\pi}{2}$ の部分と $\dfrac{n\pi}{2} \leqq \theta \leqq \dfrac{(n+1)\pi}{2}$ の部分が $1:\dfrac{1+\sqrt 5}{2}$ の比で相似であるとする. このとき, $a$ の値を求めよ.
解答例
こちらを参照.
微分法 (理系)
問題《逐次代入法》
関数 $f(x) = 1+\dfrac{1}{x}$ $(x > 0)$ を用いて, 数列 $\{ a_n\}$ を
\[ a_1 = 1, \quad a_{n+1} = f(a_n)\]
で定める.
- (1)
- $f(x) = x$ はただ $1$ つの実数解 $\alpha$ をもつ. $\alpha$ の値を求めよ.
- (2)
- \[ x < \alpha \Longrightarrow f(x) > \alpha, \quad x > \alpha \Longrightarrow f(x) < \alpha\] が成り立つことを示せ.
- (3)
- $1 \leqq a_{2n-1} < \alpha < a_{2n}$ が成り立つことを示せ.
- (4)
- $\alpha -a_{2n+1} < \alpha ^{-2}(\alpha -a_{2n-1})$ が成り立つことを示せ (ヒント: $f(x)$ と区間 $[a_{2n-1},\alpha ],$ $[\alpha,a_{2n}]$ に平均値の定理の定理を適用).
- (5)
- 数列 $\{ a_{2n-1}\},$ $\{ a_{2n}\}$ はともに $\alpha$ に収束することを示せ.
(類題: $2022$ 大阪大)
解答例
こちらを参照.