コーシー=シュワルツの不等式
コーシー=シュワルツの不等式
定理《コーシー=シュワルツの不等式》
$2$ 以上の整数 $n,$ 実数 $x_1,$ $\cdots,$ $x_n,$ $y_1,$ $\cdots,$ $y_n$ に対して,
\[ (x_1y_1+\cdots +x_ny_n)^2 \leqq (x_1{}^2+\cdots +x_n{}^2)(y_1{}^2+\cdots +y_n{}^2)\]
が成り立つ.
等号成立は $x_1:\cdots :x_n = y_1:\cdots :y_n$ である場合に限る.
証明
こちらを参照.
高校数学の問題
$2$ 次関数
問題《多変数のコーシー=シュワルツの不等式》
$n$ を $2$ 以上の整数, $x_1,$ $\cdots,$ $x_n,$ $y_1,$ $\cdots,$ $y_n$ を実数とする.
すべての実数 $t$ に対して $t$ の $2$ 次不等式
\[ (tx_1-y_1)^2+\cdots +(tx_n-y_n)^2 \geqq 0\]
が成り立つことから, 不等式
\[ (x_1y_1+\cdots +x_ny_n)^2 \leqq (x_1{}^2+\cdots +x_n{}^2)(y_1{}^2+\cdots +y_n{}^2)\]
が成り立つことを示せ.
また, 等号成立条件を求めよ.
解答例
こちらを参照.
式と証明
問題《コーシー=シュワルツの不等式と三角形の類似重心の特徴付け》
- (A)
- $a,$ $b,$ $c,$ $x,$ $y,$ $z$ を正の数とする. \[ (ax+by+cz)^2 \leqq (a^2+b^2+c^2)(x^2+y^2+z^2)\] が成り立ち, 等号成立は $x:y:z = a:b:c$ のときに限ることを示せ.
- (B)
- $\triangle\mathrm{ABC}$ において, 辺 $\mathrm{BC},$ $\mathrm{CA},$ $\mathrm{AB}$ の中点をそれぞれ $\mathrm P,$ $\mathrm Q,$ $\mathrm R$ とおき, $\angle\mathrm A,$ $\angle\mathrm B,$ $\angle\mathrm C$ の二等分線に関して中線 $\mathrm{AP},$ $\mathrm{BQ},$ $\mathrm{CR}$ と対称な直線と辺 $\mathrm{BC},$ $\mathrm{CA},$ $\mathrm{AB}$ の交点をそれぞれ $\mathrm P',$ $\mathrm Q',$ $\mathrm R'$ とおく.
さらに, $\mathrm S$ を $\triangle\mathrm{ABC}$ の頂点と異なる周上または内部の点とし, 点 $\mathrm S$ と直線 $\mathrm{BC},$ $\mathrm{CA},$ $\mathrm{AB}$ の距離を $x,$ $y,$ $z$ とおく.
また, $a =\mathrm{BC},$ $b =\mathrm{CA},$ $c =\mathrm{AB}$ とおく.
次のことを示せ.
- (1)
- 点 $\mathrm S$ が直線 $\mathrm{AP}'$ 上にあるとき, $y:z = b:c$ が成り立つ.
- (2)
- $\mathrm{BP}':\mathrm{CP}' = c^2:b^2$ が成り立つ.
- (3)
- $3$ 本の直線 $\mathrm{AP}',$ $\mathrm{BQ}',$ $\mathrm{CR}'$ は $1$ 点で交わる.
- (4)
- $x^2+y^2+z^2$ が最小であるとき, $x:y:z = a:b:c$ が成り立ち, $\mathrm S$ は (3) の点に一致する.
解答例
こちらを参照.
問題《ラグランジュの恒等式とコーシー=シュワルツの不等式》
$n$ を $2$ 以上の整数, $x_1,$ $\cdots,$ $x_n,$ $y_1,$ $\cdots,$ $y_n$ を実数とする.
「ラグランジュの恒等式」
\[\left(\sum_{k = 1}^nx_k{}^2\right)\left(\sum_{k = 1}^ny_k{}^2\right) = \left(\sum_{k = 1}^nx_ky_k\right) ^2+\sum_{k = 1}^{n-1}\sum_{l = k+1}^n(x_ky_l-x_ly_k)^2\]
を使って, 不等式
\[\left(\sum_{k = 1}^nx_k{}^2\right)\left(\sum_{k = 1}^ny_k{}^2\right) \geqq \left(\sum_{k = 1}^nx_ky_k\right) ^2\]
が成り立つことを示せ.
また, 等号成立条件を求めよ.
解答例
こちらを参照.
ベクトル
問題《コーシー=シュワルツの不等式》
$a,$ $b,$ $c,$ $x,$ $y$ を正の数とする.
次のことを示せ.
- (1)
- $(ax+by)^2 \leqq (a^2+b^2)(x^2+y^2)$ が成り立つ.
- (2)
- $a^2+b^2 = c^2$ のとき, $a\sqrt x+b\sqrt y \leqq c\sqrt{x+y}$ が成り立つ.
(参考: $1995$ 東京大)
解答例
こちらを参照.
微分法 (理系)
問題《平方根の和と和の平方根に関する不等式》
$a,$ $b$ を正の数とする.
すべての正の数 $x,$ $y$ に対して
\[ a\sqrt x+b\sqrt y \leqq c\sqrt{x+y}\]
が成り立つような実数 $c$ の最小値を, $a,$ $b$ を用いて表せ.
(参考: $1995$ 東京大)
解答例
こちらを参照.
積分法 (理系)
問題《定積分のコーシー=シュワルツの不等式》
$a \leqq x \leqq b$ で定義された連続関数 $f(x),$ $g(x)$ について, $\{tf(x)+g(x)\} ^2$ ($t$: 実数) の定積分を考えることで,
\[\left\{\int_a^bf(x)g(x)\,dx\right\} ^2 \leqq \int_a^bf(x)^2\,dx\int_a^bg(x)^2\,dx\]
が成り立つことを示せ.
解答例
こちらを参照.