有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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微分法の不等式への応用

微分法の不等式への応用

 不等式 $f(x) \geqq g(x)$ を示すには, 関数 $h(x) = f(x)-g(x)$ の最小値が $0$ 以上であることを示せばよい. $h(x) \geqq 0$ を示すには, $h(x)$ の増減を調べる方法が有用である.

問題《$\log x/x$ の極限》

 次のことを示せ. $2 < e < 4$ は, 証明なしに用いてよい.
(1)
$x < 2^x$ $(x \geqq 1)$ が成り立つ.
(2)
$\lim\limits_{x \to \infty}\dfrac{x}{e^x} = 0$ である.
(3)
$\lim\limits_{t \to \infty}\dfrac{\log t}{t} = 0$ である.

解答例

(1)
$f(x) = 2^x-x$ $(x \geqq 1)$ とおく. $x > 1$ において, $e < 4$ から \[\begin{aligned} f'(x) &= 2^x\log 2-1 \\ &> 2\log 2-1 = \log\frac{4}{e} > \log 1 = 0 \end{aligned}\] となるので, $f(x)$ は単調増加である. よって, $f(x)$ の連続性により, $x \geqq 1$ において \[ f(x) \geqq f(1) = 2-1 = 1 > 0\] が成り立つ. よって, $x < 2^x$ $(x \geqq 1)$ が成り立つ.
(2)
(1) の結果により $x \geqq 1$ において \[ 0 < \frac{x}{e^x} < \frac{2^x}{e^x} = \left(\frac{2}{e}\right) ^x\] が成り立ち, $0 < \dfrac{2}{e} < 1$ から $x \to \infty$ のとき右辺は $0$ に収束するので, \[\lim\limits_{x \to \infty}\frac{x}{e^x} = 0\] である.
(3)
$t = e^x$ とおくと, $x = \log t$ であり, $x \to \infty$ のとき $t \to \infty$ となるから, \[\lim\limits_{t \to \infty}\dfrac{\log t}{t} = 0\] が成り立つ.

背景

 一般に,「ロピタルの定理」と呼ばれる, 次の定理の成り立つことが知られている: $a$ が実数または $\pm\infty$ のいずれかを表すとする. 関数 $f(x),$ $g(x)$ が $3$ つの条件
  • $\lim\limits_{x \to a}f(x) = \lim\limits_{x \to a}g(x) = 0,$ $\pm\infty$
  • $a$ の近くで $f(x),$ $g(x)$ は微分可能で, $\lim\limits_{x \to a}\dfrac{f'(x)}{g'(x)}$ が存在する
  • $a$ の近く($x \neq a$)で $g'(x) \neq 0$
を満たすとき, \[\lim\limits_{x \to a}\frac{f(x)}{g(x)} = \lim\limits_{x \to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}\] が成り立つ. この定理を使うと, 本問の極限は \[\begin{aligned} \lim\limits_{x \to \infty}\frac{x}{e^x} &= \lim\limits_{x \to \infty}\frac{1}{e^x} = 0, \\ \lim\limits_{t \to \infty}\frac{\log t}{t} &= \lim\limits_{t \to \infty}\frac{\dfrac{1}{t}}{1} = 0 \end{aligned}\] と計算できる.

問題《指数関数の近似と相加・相乗平均の不等式》

 $n$ を $1$ より大きい整数とする.
(1)
すべての実数 $x$ に対して, 不等式 $x \leqq e^{x-1}$ が成り立つことを示せ. また, 等号成立条件を求めよ.
(2)
正の数 $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ が $x_1+\cdots +x_n = n$ を満たすとき, $x_1\cdots x_n \leqq 1$ が成り立つことを示せ. また, 等号成立条件を求めよ.
(3)
正の数 $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ に対して $a = \dfrac{x_1+\cdots +x_n}{n}$ とおくとき, \[ x_1\cdots x_n \leqq a^n\] が成り立つことを示せ. また, 等号成立条件を求めよ.
(参考: 2007 横浜市立大)

解答例

(1)
$f(x) = e^{x-1}-x$ とおく. このとき, $f'(x) = e^{x-1}-1$ から, \[ f'(x) \leqq 0 \iff x \leqq 1, \quad f'(x) \geqq 0 \iff x \geqq 1\] である. よって, $f(x)$ は $x = 1$ で極小かつ最小となるので, $f(x) \geqq f(1) = 0$ から $e^{x-1}-x \geqq 0$ つまり $x \leqq e^{x-1}$ が成り立ち, 等号成立は $x = 1$ の場合に限る.
(2)
(1) から, \[ x_1\cdots x_n \leqq e^{x_1-1}\cdots e^{x_n-1} = e^{x_1+\cdots +x_n-n} = e^0 = 1\] が成り立ち, 等号成立は $x_1 = \cdots = x_n = 1$ の場合に限る.
(3)
$a = \dfrac{x_1+\cdots +x_n}{n}$ から $\dfrac{x_1}{a}+\cdots +\dfrac{x_n}{a} = n$ であるので, (2) から
$\dfrac{x_1}{a}\cdots\dfrac{x_n}{a} \leqq 1$ つまり $x_1\cdots x_n \leqq a^n$
が成り立ち, 等号成立は $\dfrac{x_1}{a} = \cdots = \dfrac{x_n}{a} = 1,$ つまり $x_1 = \cdots = x_n$ の場合に限る.

問題《関数の増減と相加・相乗平均の不等式》

 $n$ を正の整数とする.
(1)
$s,$ $p$ を正の数とする. 関数 \[ f(x) = \frac{s+x}{n+1}-(px)^{\frac{1}{n+1}} \quad (x > 0)\] の最小値を求めよ.
(2)
正の数 $a_1,$ $\cdots,$ $a_n$ に対して \[\frac{a_1+\cdots +a_n}{n} \geqq (a_1\cdots a_n)^{\frac{1}{n}} \quad \cdots [\ast ]\] が成り立つことを数学的帰納法で示せ.

解答例

(1)
与式を $x$ で微分すると \[ f'(x) = \frac{1}{n+1}-p^{\frac{1}{n+1}}\cdot\frac{1}{n+1}x^{-\frac{n}{n+1}} = \frac{x^{\frac{n}{n+1}}-p^{\frac{1}{n+1}}}{(n+1)x^{\frac{n}{n+1}}}\] となるから, $f(x)$ は $x = p^{\frac{1}{n}}$ のとき極小かつ最小の値 \[\begin{aligned} f(p^{\frac{1}{n}}) &= \frac{s+p^{\frac{1}{n}}}{n+1}-(p^{1+\frac{1}{n}})^{\frac{1}{n+1}} \\ &= \frac{s+p^{\frac{1}{n}}}{n+1}-p^{\frac{1}{n}} = \frac{s-np^{\frac{1}{n}}}{n+1} \end{aligned}\] をとる.
(2)
(i)
$n = 1$ のとき, $[\ast ]$ は明らかに成り立つ.
(ii)
$n = k$ ($k$: 正の整数)のとき $[\ast ]$ が成り立つとする. このとき, $s = a_1+\cdots +a_k,$ $p = a_1\cdots a_k$ に (1) の結果を適用すると, \[\begin{aligned} &\frac{s+x}{k+1}-(px)^{\frac{1}{k+1}} \geqq \frac{s-kp^{\frac{1}{k}}}{k+1} \\ &= \frac{k}{k+1}\left\{\frac{a_1+\cdots +a_k}{k}-(a_1\cdots a_k)^{\frac{1}{k}}\right\} \geqq 0 \end{aligned}\] となる. そこで, $x = a_{k+1}$ を代入すると, \[\begin{aligned} &\frac{s+a_{k+1}}{k+1}-(pa_{k+1})^{\frac{1}{k+1}} \geqq 0 \\ &\frac{a_1+\cdots +a_k+a_{k+1}}{k+1} \geqq (a_1\cdots a_ka_{k+1})^{\frac{1}{k+1}} \end{aligned}\] が得られる.
(i), (ii) から, すべての正の整数 $n$ に対して $[\ast ]$ が成り立つ.

問題《ベルヌーイの不等式の一般化と応用》

 次のことを示せ.
(1)
$r$ を負の数とするとき, \[ (1+x)^r \geqq 1+rx \quad (x > -1) \quad \cdots [1]\] が成り立つ.
(2)
$a_1\cdots a_n = 1$ を満たす $n$ 個の正の数 $a_1,$ $\cdots,$ $a_n$ に対して \[ a_1+\cdots +a_n \geqq n \quad \cdots [2]\] が成り立つ.
(3)
正の数 $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ に対して \[ x_1+\cdots +x_n \geqq n(x_1\cdots x_n)^{\frac{1}{n}} \quad \cdots [3]\] が成り立つ.

解答例

(1)
$f(x) = (1+x)^r-(1+rx)$ とおく. このとき, \[ f'(x) = r(1+x)^{r-1}-r = r\{ (1+x)^{r-1}-1\}\] である. $r < 0$ であるから, $x > -1$ において \[\begin{aligned} f'(x) \geqq 0 &\iff (1+x)^{r-1}-1 \leqq 0 \\ &\iff (1+x)^{r-1} \leqq 1 \iff 1+x \geqq 1 \\ &\iff x \geqq 0, \\ f'(x) \leqq 0 &\iff -1 < x \leqq 0 \end{aligned}\] が成り立つ.
$x$$-1$$\cdots$$0$$\cdots$
$f'(x)$$-$$0$$+$
$f(x)$$\searrow$$0$$\nearrow$
よって, $f(x)$ の $x > -1$ における最小値は $f(0) = 0$ であるから, $f(x) \geqq 0\ (x > -1)$ つまり $[1]$ が成り立つ.
(2)
(i)
$n = 1$ のとき, $[2]$ は明らかに成り立つ.
(ii)
$n = k$ ($k$: 正の整数)のとき, $[2]$ が成り立つとする. $n = k+1$ のとき, $a_1\cdots a_ka_{k+1} = 1$ から $a_1\cdots a_k = a_{k+1}{}^{-1}$ であるので, \[\begin{aligned} &a_1+\cdots +a_k+a_{k+1} \\ &\geqq k(a_1\cdots a_k)^{\frac{1}{k}}+a_{k+1} \\ &= ka_{k+1}{}^{-\frac{1}{k}}+a_{k+1} \\ &= k\left\{ 1+\left( a_{k+1}-1\right)\right\} ^{-\frac{1}{k}}+a_{k+1} \\ &\geqq k\left\{ 1+\left( -\frac{1}{k}\right) (a_{k+1}-1)\right\} +a_{k+1} \\ &= k+1 \end{aligned}\] が成り立つ. 第 $2$ の不等号は, $x = a_{k+1}-1\ (> -1),$ $r = -\dfrac{1}{k}\ (< 0)$ に $[1]$ を適用することで得られる.
(i), (ii) から, すべての正の整数 $n$ に対して $[2]$ が成り立つ.
(3)
$G_n = (x_1\cdots x_n)^{\frac{1}{n}},$ $a_k = \dfrac{x_k}{G_n}$ とおくと, $a_1\cdots a_n = 1$ となるから, $[2]$ により, \[\begin{aligned} \frac{x_1}{G_n}+\cdots +\frac{x_n}{G_n} &\geqq n \\ x_1+\cdots +x_n &\geqq nG_n \end{aligned}\] つまり $[3]$ が成り立つ.

背景

 不等式 $[2]$ は「ベルヌーイの不等式」(Bernoulli's inequality)と呼ばれ, よく知られている $r$ が正の整数の場合だけでなく, $r \leqq 0,$ $r \geqq 1$ の場合にも成り立つ.

問題《ヤングの不等式とその応用》

(1)
$r$ を $0 < r < 1$ なる実数とする. $x > 0$ のとき, $r(x-1),$ $x^r-1$ の大小を比較せよ.
(2)
$p,$ $q$ を $p > 1,$ $q > 1,$ $\dfrac{1}{p}+\dfrac{1}{q} = 1$ なる実数とする. $a > 0,$ $b > 0$ のとき, $\dfrac{a}{p}+\dfrac{b}{q},$ $a^{\frac{1}{p}}b^{\frac{1}{q}}$ の大小を比較せよ.
(3)
$n$ を $2$ 以上の整数とする. $n$ 個の正の数 $x_1,$ $\cdots,$ $x_n$ に対して, $A_n = \dfrac{x_1+\cdots +x_n}{n},$ $G_n = (x_1\cdots x_n)^{\frac{1}{n}}$ とおくと, \[ A_{k+1} = \frac{kA_k+x_{k+1}}{k+1}, \quad G_{k+1} = G_k{}^{\frac{k}{k+1}}x_{k+1}{}^{\frac{1}{k+1}}\] が成り立つ. このことと数学的帰納法, (2) の結果を使って, \[ A_n \geqq G_n\] が成り立つことを示せ.
(参考: 2017 一橋大, 2019 九州歯科大)

解答例

(1)
\[ f(x) = r(x-1)-(x^r-1) \quad (x > 0)\] とおく. これを $x$ で微分すると \[ f'(x) = r-rx^{r-1} = \frac{r(x^{1-r}-1)}{x^{1-r}}\] となるから, \[ f'(x) \leqq 0 \iff x \leqq 1, \quad f'(x) \geqq 0 \iff x \geqq 1\] である. よって, $f(x)$ は $x = 1$ において極小かつ最小の値をとるから, \[ f(x) \geqq f(1) = 0\] が成り立つ. ゆえに, \[ r(x-1) \geqq x^r-1 \quad \cdots [1]\] であり, 等号は $x = 1$ のとき成り立つ.
(2)
$p > 1$ から $0 < \dfrac{1}{p} < 1$ であり, $a > 0,$ $b > 0$ のとき $\dfrac{a}{b} > 0$ であることに注意して, $r = \dfrac{1}{p},$ $x = \dfrac{a}{b}$ を $[1]$ に代入すると, \[\begin{aligned} &\frac{1}{p}\left(\frac{a}{b}-1\right) \geqq \left(\frac{a}{b}\right) ^{\frac{1}{p}}-1 \\ &\frac{1}{p}(a-b) \geqq a^{\frac{1}{p}}b^{-\frac{1}{p}}b-b \\ &\frac{a}{p}+\left( 1-\frac{1}{p}\right) b \geqq a^{\frac{1}{p}}b^{1-\frac{1}{p}} \\ &\frac{a}{p}+\frac{b}{q} \geqq a^{\frac{1}{p}}b^{\frac{1}{q}} \quad \cdots [2] \end{aligned}\] が得られる. 等号は $\dfrac{a}{b} = 1$ つまり $a = b$ のとき成り立つ.
(3)
(i)
$a = x_1,$ $b = x_2,$ $p = q = 2$ に $[2]$ を適用すると, \[ A_2 = \frac{x_1}{2}+\frac{x_2}{2} \geqq x_1{}^{\frac{1}{2}}x_2{}^{\frac{1}{2}} = G_2\] が得られる.
(ii)
$n = k$ ($k$: 正の整数)のとき, 不等式が成り立つとする. このとき, $a = G_k{}^{\frac{k}{k+1}},$ $b = x_{k+1}{}^{\frac{1}{k+1}},$ $p = \dfrac{k+1}{k},$ $q = k+1$ とおくと, $[2]$ から \[\begin{aligned} A_{k+1} &= \frac{kA_k+x_{k+1}}{k+1} \\ &\geqq \frac{kG_k+x_{k+1}}{k+1} = \frac{G_k}{\dfrac{k+1}{k}}+\frac{x_{k+1}}{k+1} \\ &= \frac{a^p}{p}+\frac{b^q}{q} \\ &\geqq ab = G_{k+1} \end{aligned}\] が得られる.
(i), (ii) から, $2$ 以上のすべての整数 $n$ に対して $A_n \geqq G_n$ が成り立つ.

背景

 (2) の不等式を「ヤングの不等式」(Young's inequality)と呼ぶ.
 相加・相乗平均の不等式の別証明については, こちらを参照されたい.

問題《円に内接する $n$ 角形の面積の最大値》

(1)
$n$ を $2$ 以上の整数とし, $t_1,$ $\cdots,$ $t_n \geqq 0,$ $t_1+\cdots +t_n = 1$ とする. $x_1,$ $\cdots,$ $x_n \in (0,\pi )$ のとき, \[\sin\left(\sum_{k = 1}^nt_kx_k\right) \geqq \sum_{k = 1}^nt_k\sin x_k\] が成り立つことを示せ. また, 等号成立は $x_1 = \cdots = x_n$ の場合に限ることを示せ.
(2)
$3$ 以上の整数 $n$ に対して, 単位円に内接する $n$ 角形のうち面積 $S$ が最大になるものは正 $n$ 角形であることを示せ.

解答例

(1)
(i)
$n = 2$ のとき. $x_2$ を定数とみなして, $x_1$ の関数 \[\begin{aligned} f(x_1) &= \sin (t_1x_1+t_2x_2) \\ &\qquad -t_1\sin x_1-t_2\sin x_2\ (0 < x_1 < \pi ) \end{aligned}\] を考える. \[ f'(x_1) = t_1\cos (t_1x_1+t_2x_2)-t_1\cos x_1\] であり, $\cos x$ ($0 < x < \pi $)は単調減少であるから, $t_1x_1+t_2x_2 \leqq x_1$ つまり $x_1 \geqq x_2$ のとき $f'(x_1) \geqq 0$ であり, $t_1x_1+t_2x_2 \geqq x_1$ つまり $x_1 \leqq x_2$ のとき $f'(x_1) \leqq 0$ である. よって, $f(x_1) \geqq f(x_2) = 0$ であるから, \[\begin{aligned} &\sin (t_1x_1+t_2x_2) \\ &\qquad \geqq t_1\sin x_1+t_2\sin x_2\ (0 < x_1 < \pi ) \end{aligned}\] が成り立ち, 等号成立は $x_1 = x_2$ の場合に限る.
(ii)
$n = m$ ($m$: $2$ 以上の整数)のとき, 不等式と等号成立条件が成り立つとする. $n = m+1$ の場合に, $s = t_1+\cdots +t_m$ とおく. $s = 0$ のとき, $t_1 = \cdots = t_m = 0$ であるから, 不等式の両辺は等しい. $s > 0$ のとき, \[ u_k = \frac{t_k}{s} \quad (1 \leqq k \leqq m)\] とおくと, (i) の結果と帰納法の仮定から \[\begin{aligned} &\sin\left(\sum_{k = 1}^{m+1}t_kx_k\right) \\ &= \sin\left(\sum_{k = 1}^mt_kx_k+t_{m+1}x_{m+1}\right) \\ &= \sin\left( s\sum_{k = 1}^mu_kx_k+t_{m+1}x_{m+1}\right) \\ &\geqq s\sin\left(\sum_{k = 1}^mu_kx_k\right) +t_{m+1}\sin x_{m+1} \\ &\geqq s\sum_{k = 1}^mu_k\sin x_k+t_{m+1}\sin x_{m+1} \\ &= \sum_{k = 1}^mt_k\sin x_k+t_{m+1}\sin x_{m+1} \\ &= \sum_{k = 1}^{m+1}t_k\sin x_k \end{aligned}\] となる. よって, $n = m+1$ のとき不等式が成り立ち, 等号成立は, $\sum\limits_{k = 1}^mu_kx_k = x_{m+1},$ $x_1 = \cdots = x_m,$ つまり $x_1 = \cdots = x_m = x_{m+1}$ の場合に限る.
(i), (ii) から, $2$ 以上のすべての整数 $n$ に対して不等式, 等号成立条件が成り立つ.
(2)
$n$ 角形 $\mathrm P_1\cdots\mathrm P_n$ が単位円 $\mathrm O$ に内接するとする. このとき, $\mathrm P_{n+1} = \mathrm P_1$ として, $\theta _k = \angle\mathrm P_k\mathrm{OP}_{k+1}$ とおくと, \[\begin{aligned} S &= \sum_{k = 1}^n\triangle\mathrm{OP}_k\mathrm P_{k+1} \\ &= \sum_{k = 1}^n\frac{1}{2}\sin\theta _k \\ &= \frac{n}{2}\sum_{k = 1}^n\frac{\sin\theta _k}{n} \\ &\leqq \frac{n}{2}\sin\left(\sum_{k = 1}^n\frac{\theta _k}{n}\right) \end{aligned}\] となる. 等号成立は $\theta _1 = \cdots = \theta _n$ である場合に限るから, 単位円に内接する $n$ 角形のうち面積 $S$ が最大になるものは正 $n$ 角形である.

問題《$2$ 次関数と指数関数の比較》

(1)
$\dfrac{1}{2} < \log 2 < 1$ を示せ. $2 < e < 3$ であることは証明なしに用いてよい.
(2)
$x > 4$ において $f(x) = 2^x-x^2$ は単調増加であることを示せ.
(3)
$2^x = x^2$ の整数解をすべて求めよ.
(4)
$2^x = x^2$ は整数でない実数解を $1$ つもつ. その整数部分を求めよ.

解答例

(1)
$\log x$ の単調増加性と $2 < e < 2^2$ から,
$\log 2 < 1 < 2\log 2$ つまり $\dfrac{1}{2} < \log 2 < 1$
が成り立つ.
(2)
$f(x) = 2^x-x^2$ から, \[\begin{aligned} f'(x) &= 2^x\log 2-2x, \\ f''(x) &= 2^x(\log 2)^2-2 \end{aligned}\] である. $2^x$ の単調増加性から, $x > 4$ のとき, \[\begin{aligned} f''(x) &> 2^4(\log 2)^2-2 \\ &> 2^4\left(\frac{1}{2}\right) ^2-2 = 2 \\ &> 0 \end{aligned}\] が成り立つ. よって, $x > 4$ において $f'(x)$ は単調増加で, \[ f'(4) > 2^4\cdot\frac{1}{2}-2\cdot 4 = 0\] であるから, $x > 4$ において $f'(x) > 0$ が成り立つ.
これは, $x > 4$ において $f(x)$ が単調増加であることを意味する.
(3)
(2) の結果と $f(4) = 2^4-4^2 = 0$ から, $x > 4$ において $f(x) > 0$ が成り立つ. また, $x \leqq -1$ において, \[ f(x) \leqq 2^{-1}-(-1)^2 = -\frac{1}{2} < 0\] が成り立つ. さらに, \[ f(0) = 1, \quad f(1) = 1, \quad f(2) = 0, \quad f(3) = -1\] である. 以上から, $f(x) = 0$ つまり $2^x = x^2$ の整数解は $x = 2,$ $4$ に限る.
(4)
$f(x)$ は連続で $f(-1) < 0,$ $f(0) > 0$ であるから, 中間値の定理により $-1 < x < 0$ の範囲に $f(x) = 0$ つまり $2^x = x^2$ の実数解が存在する.
ゆえに, 求める実数解の整数部分は, $-1$ である.

背景

 $2^x = x^2$ の実数解は, $y = xe^x$ $\left( y \geqq -\dfrac{1}{e}\right)$ の「逆対応」として定義される「ランベルト $W$ 関数」(Lambert $W$ function) $W(x)$ $\left( x \geqq -\dfrac{1}{e}\right)$ を用いて \[ x = e^{-W(-\frac{1}{2}\log 2)},-e^{-W(\frac{1}{2}\log 2)}\] と表される. 実際, $x > 0$ のとき \[\begin{aligned} 2^x = x^2 &\iff x\log 2 = 2\log x \\ &\iff \frac{\log x}{x} = \frac{\log 2}{2} \\ &\iff -\log x\cdot e^{-\log x} = -\frac{1}{2}\log 2 \\ &\iff W(-\log x\cdot e^{-\log x}) = W\left( -\frac{1}{2}\log 2\right) \\ &\iff -\log x = W\left( -\frac{1}{2}\log 2\right) \\ &\iff x = e^{-W(-\frac{1}{2}\log 2)} \end{aligned}\] となり, $x < 0$ のとき \[\begin{aligned} 2^x = x^2 &\iff x\log 2 = 2\log (-x) \\ &\iff -\frac{\log (-x)}{-x} = \frac{\log 2}{2} \\ &\iff -\log (-x)\cdot e^{-\log (-x)} = \frac{1}{2}\log 2 \\ &\iff W(-\log (-x)\cdot e^{-\log (-x)}) = W\left(\frac{1}{2}\log 2\right) \\ &\iff -\log (-x) = W\left(\frac{1}{2}\log 2\right) \\ &\iff x = -e^{-W(\frac{1}{2}\log 2)} \end{aligned}\] となるからである. $-\dfrac{1}{e} < x < 0$ のとき $x$ に対応する $W(x)$ の値は $2$ つあるため(こちらを参照), $x = e^{-W(-\frac{1}{2}\log 2)}$ は $2$ つの解 $x = 2,$ $4$ を表している. $y = W(x)$ のように, $1$ つの $x$ の値に $1$ つ以上の $y$ の値が対応しているとき, $y$ を $x$ の「多価関数」(multivalued function)と呼ぶ.
 $2^x = x^2$ の整数解を求める解法については, こちらも参照されたい.