有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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いろいろな不定方程式

ピタゴラスの方程式

問題《ピタゴラスの $3$ つ組の性質》

 $3$ 辺の長さが整数である直角三角形について, 次のことを示せ.
(A)
面積は $6$ の倍数である.
(参考: 2006 一橋大)
(B)
少なくとも $1$ つの辺の長さは $5$ の倍数である.

解答例

 直角三角形の $3$ 辺の長さ $a,$ $b,$ $c$ ($a < c,$ $b < c$)が整数であるとする.
(A)
面積 $\dfrac{ab}{2}$ が $6$ の倍数であることを示すには, $ab$ が $12 = 3\cdot 4$ の倍数であることを示せばよいから,
(1)
$a$ または $b$ が $3$ の倍数であること
(2)
$a$ または $b$ が $4$ の倍数であること
を示せばよい.
(1)
$a,$ $b$ が $3$ の倍数でないとして, $a^2+b^2$ が平方数でないことを示せばよい. 各整数 $d$ に対して \[ (3d\pm 1)^2 = 3(3d^2\pm 2d)+1\] を $3$ で割った余りは $1$ であるから, このとき $a^2+b^2$ を $3$ で割った余りは $2$ である. 一方, 平方数を $3$ で割った余りは $0$ または $1$ であるから, $a^2+b^2$ は平方数でない.
(2)
$a,$ $b$ が $4$ の倍数でないとして, $a^2+b^2$ が平方数でないことを示せばよい. 各整数 $d$ に対して, 連続 $2$ 整数の積 $d(d+1)$ は偶数であるから, 奇数の平方 \[ (2d+1)^2 = 4d(d+1)+1\] を $4,$ $8$ で割った余りは $1$ であり, $4$ の倍数でない偶数の平方 \[ (4d+2)^2 = 16d(d+1)+4\] を $8,$ $16$ で割った余りは $4$ である. また, $4$ の倍数の平方 \[ (4d)^2 = 8\cdot 2d^2\] を $8$ で割った余りは $0$ である.
(i)
$a,$ $b$ が奇数のとき. $a^2+b^2$ を $4$ で割った余りは $1+1 = 2$ である. よって, $a^2+b^2$ の素因数分解における $2$ の指数は $1$ であるから, $a^2+b^2$ は平方数でない.
(ii)
$a,$ $b$ のいずれか一方が奇数のとき. $a^2+b^2$ を $8$ で割った余りは $1+4 = 5$ である. 一方, 平方数を $8$ で割った余りは $0,$ $1$ または $4$ であるから, $a^2+b^2$ は平方数でない.
(iii)
$a,$ $b$ が $4$ の倍数でない偶数のとき. $a^2+b^2$ を $16$ で割った余りは $4+4 = 8$ である. よって, $a^2+b^2$ の素因数分解における $2$ の指数は $3$ であるから, $a^2\!+\!b^2$ は平方数でない.
(i)~(iii) から, (2) が示された.
ゆえに, $3$ 辺の長さが整数である直角三角形の面積は $6$ の倍数である.
(B)
$a,$ $b$ が $5$ の倍数でないとして, $a^2+b^2$ が平方数ならば $a^2+b^2$ は $5$ の倍数であることを示せばよい. 各整数 $d$ に対して, \[ (5d\pm 1)^2 = 5(5d^2\pm 2d)+1\] を $5$ で割った余りは $1$ であり, \[ (5d\pm 2)^2 = 5(5d^2\pm 4d)+4\] を $5$ で割った余りは $4$ である. よって, $a^2+b^2$ を $5$ で割った余りは $0,$ $2$ または $3$ である.
一方, 平方数を $5$ で割った余りは $0,$ $1$ または $4$ であるから, $a^2+b^2$ が平方数ならば $a^2+b^2$ は $5$ の倍数である.
ゆえに, $3$ 辺の長さが整数である直角三角形において, 少なくとも $1$ つの辺の長さは $5$ の倍数である.

背景

 三平方の定理に現れる方程式 $a^2+b^2 = c^2$ を「ピタゴラスの方程式」と呼び, その正の整数解 $(a,b,c)$ を「ピタゴラスの $3$ つ組」(Pythagorean triple)と呼ぶ(こちらも参照). これは, $3$ 辺の長さがすべて整数であるような直角三角形の辺の長さの組に他ならない. このような直角三角形は「ピタゴラスの三角形」(Pythagorean triangle)と呼ばれ, 古くから直角の計測に利用されていたと考えられている.

問題《ピタゴラスの $4$ つ組の性質》

 正の整数 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ が $a^2+b^2+c^2 = d^2$ を満たすとき, 次のことを示せ.
(A)
$a,$ $b,$ $c$ のうち少なくとも $2$ つは偶数である.
(B)
$a,$ $b,$ $c,$ $d$ のうち少なくとも $1$ つは $3$ の倍数である.
(参考: 1994 一橋大)

解答例

(A)
正の整数 $a,$ $b,$ $c$ のうち少なくとも $2$ つが奇数であるとき, $a^2+b^2+c^2$ が平方数でないことを示せばよい. 整数 $k$ に対して \[ (2k)^2 = 4k^2, \quad (2k-1)^2 = 4k(k-1)+1\] が成り立つから, 平方数を $4$ で割った余りは $0$ か $1$ であることに注意する.
(i)
$a,$ $b,$ $c$ が奇数であるとき. $a^2,$ $b^2,$ $c^2$ を $4$ で割った余りは $1$ であるから, $a^2+b^2+c^2$ を $4$ で割った余りは $3$ である. よって, $a^2+b^2+c^2$ は平方数でない.
(ii)
$a,$ $b,$ $c$ のうち $1$ つが偶数, $2$ つが奇数であるとき. $a^2,$ $b^2,$ $c^2$ を $4$ で割った余りは $0,$ $1,$ $1$ (順不同)であるから, $a^2+b^2+c^2$ を $4$ で割った余りは $2$ である. よって, $a^2+b^2+c^2$ は平方数でない.
(i), (ii) から, 正の整数 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ が $a^2+b^2+c^2 = d^2$ を満たすとき, $a,$ $b,$ $c$ のうち少なくとも $2$ つは偶数である.
(B)
正の整数 $a,$ $b,$ $c,$ $d$ が $a^2+b^2+c^2 = d^2$ を満たすとする. 整数 $k$ に対して \[ (3k\pm 1)^2 = 3(3k^2\pm 2k)+1\] が成り立つから, $3$ の倍数でない整数の平方を $3$ で割った余りは $1$ である. よって, $a,$ $b,$ $c$ が $3$ の倍数でないとき, $a^2+b^2+c^2$ を $3$ で割った余りは $0$ であるから, $d^2$ は $3$ の倍数であり, $d$ は $3$ の倍数である. これは, $a,$ $b,$ $c,$ $d$ のうち少なくとも $1$ つは $3$ の倍数であることを示している.

背景

 $(1,2,2,3)$ のように, $a^2+b^2+c^2 = d^2$ を満たす正の整数の組 $(a,b,c,d)$ を「ピタゴラスの $4$ つ組」(Pythagorean quadruple)と呼ぶ. この $a,$ $b,$ $c,$ $d$ は, 必要に応じて並べ替えれば, 非負整数 $k,$ $l,$ $m,$ $n$ を用いて \[\begin{aligned} a &= k^2+l^2-m^2-n^2, \\ b &= 2(km-ln), \\ c &= 2(kn+lm), \\ d &= k^2+l^2+m^2+n^2 \end{aligned}\] と表されることが知られている(証明は高校の範囲を超えるが, 興味があればこちらを参照).

ペル方程式

問題《ペル方程式の一般解》

(1)
$\alpha = x+y\sqrt 2$ ($x,$ $y$: 整数)の形に表される各実数 $\alpha$ に対して, $\tilde\alpha = x-y\sqrt 2$ と定める. $\alpha = x+y\sqrt 2,$ $\alpha ' = x'+y'\sqrt 2$ ($x,$ $y,$ $x',$ $y'$: 整数)のとき, $\tilde{\alpha\alpha '} = \tilde\alpha\tilde{\alpha '}$ が成り立つことを示せ.
(2)
$x^2-2y^2 = 1$ の正の整数解 $(x,y)$ を用いて $x+y\sqrt 2$ の形に表される実数の最小値を $\varepsilon$ とおく. $\varepsilon$ の値を求めよ.
(3)
$n$ を正の整数とするとき, \[\varepsilon ^n = x_n+y_n\sqrt 2 \quad \cdots [\mathrm A]\] により定まる整数 $x_n,$ $y_n$ について, $(x,y) = (x_n,y_n)$ は $x^2-2y^2 = 1$ の解であることを示せ. さらに, $\varepsilon,$ $\tilde\varepsilon$ と $n$ を用いて $x_n,$ $y_n$ を表せ.
(4)
$(x,y)$ を $x^2-2y^2 = 1$ の正の整数解とする. このとき, $(x,y)$ はある正の整数 $n$ に対して上記の解 $(x_n,y_n)$ に一致することを示せ.
(参考: 1985 東京工業大)

解答例

(1)
$\alpha\alpha ' = (xx'+2yy')+(xy'+x'y)\sqrt 2$ から, \[\begin{aligned} \tilde\alpha\tilde{\alpha '} &= (x-y\sqrt 2)(x'-y'\sqrt 2) \\ &= (xx'+2yy')-(xy'+x'y)\sqrt 2 = \widetilde{\alpha\alpha '} \end{aligned}\] が成り立つ.
(2)
$x+y\sqrt 2$ は $x,$ $y$ に関してそれぞれ単調増加であり, \[\begin{aligned} 1^2-2\cdot 1^2 &\neq 1, \quad 1^2-2\cdot 2^2 \neq 1, \\ 2^2-2\cdot 1^2 &\neq 1, \quad 2^2-2\cdot 2^2 \neq 1, \\ 3^2-2\cdot 1^2 &\neq 1, \quad 3^2-2\cdot 2^2 = 1 \end{aligned}\] であるから, $\varepsilon = 3+2\sqrt 2$ である.
(3)
$[\mathrm A]$ から, \[ x_n-y_n\sqrt 2 = \widetilde{\varepsilon ^n} \quad \cdots [\mathrm B]\] が成り立つ. よって, $[\mathrm A],$ $[\mathrm B]$ の辺々を掛け合わせると, (1) の結果から, \[\begin{aligned} x_n{}^2-2y_n{}^2 &= (x_n+y_n\sqrt 2)(x_n-y_n\sqrt 2) \\ &= \varepsilon ^n\widetilde{\varepsilon ^n} = \varepsilon ^n(\tilde\varepsilon ) ^n = (\varepsilon\tilde\varepsilon )^n \\ &= \{ (3+2\sqrt 2)(3-2\sqrt 2)\} ^n = 1^n = 1 \end{aligned}\] となる. さらに, $[\mathrm A],$ $[\mathrm B]$ から, \[ x_n = \frac{\varepsilon ^n+(\tilde\varepsilon )^n}{2}, \quad y_n = \frac{\varepsilon ^n-(\tilde\varepsilon )^n}{2\sqrt 2}\] が得られる.
(4)
$x+y\sqrt 2 \geqq \varepsilon > 1$ であるから, \[\varepsilon ^n \leqq x+y\sqrt 2 < \varepsilon ^{n+1}\] を満たす正の整数 $n$ が存在する. 両辺を $\varepsilon ^n$ で割ると, \[ 1 \leqq (x+y\sqrt 2)\varepsilon ^{-n} < \varepsilon\] となる. $\varepsilon\tilde\varepsilon = 1$ から $\varepsilon ^{-n} = (\varepsilon ^{-1})^n = (\tilde\varepsilon )^n = \widetilde{\varepsilon ^n} = x_n-y_n\sqrt 2$ であるので, \[\begin{aligned} (x+y\sqrt 2)\varepsilon ^{-n} &= (x+y\sqrt 2)(x_n-y_n\sqrt 2) \\ &= (xx_n-yy_n)+(-xy_n+x_ny)\sqrt 2 \end{aligned}\] が成り立つ. そこで, $x' = xx_n-yy_n,$ $y' = -xy_n+x_ny$ とおく. このとき, \[\begin{aligned} x'+y'\sqrt 2 &= (x+y\sqrt 2)\varepsilon ^{-n}, \\ x'-y'\sqrt 2 &= (x-y\sqrt 2)\varepsilon ^n \end{aligned}\] となるから, 辺々を掛け合わせると \[ x'^2-2y'^2 = (x^2-2y^2)\varepsilon ^{-n}\varepsilon ^n = 1\] となる. これと $\varepsilon$ の最小性により $x'+y'\sqrt 2 = 1$ が成り立つので, \[ x+y\sqrt 2 = \varepsilon ^n = x_n+y_n\sqrt 2\] が得られる. よって, \[ (y-y_n)\sqrt 2 = x_n-x\] となるが, $x_n-x$ と $y-y_n$ は整数で, $\sqrt 2$ は無理数であるから, $y-y_n = 0$ でなければならない. ゆえに, $(x,y) = (x_n,y_n)$ が成り立つ.

背景

  • $x^2-dy^2 = \pm 1$ ($d$: 平方数でない正の整数, 定数)の形の方程式を「ペル方程式」(Pell's equation)と呼ぶ.
  • 方程式 $x^2-2y^2 = 1$ の意味づけについては, こちらを参照.

問題《解をもたないペル方程式》

 方程式 $x^2-3y^2 = -1$ は整数解をもたないことを示せ.

解答例

 $x,$ $y$ を整数とする.
(i)
$x = 3d$ ($d$: 整数)のとき. \[ x^2-3y^2 = (3d)^2-3y^2 = 3(3d^2-y^2)\] は $3$ で割り切れるから, $x^2-3y^2 \neq -1$ である.
(ii)
$x = 3d\pm 1$ ($d$: 整数)のとき. \[ x^2-3y^2 = (3d\pm 1)^2-3y^2 = 3(3d^2\pm 2d-y^2)+1\] を $3$ で割った余りは $1$ であり, $-1$ を $3$ で割った余りは $2$ であるから, $x^2-3y^2 \neq -1$ である.
(i), (ii) から, $x^2-3y^2 = -1$ の整数解は存在しない.

背景

 $d$ を平方数でない正の整数とする.
  • $x^2-dy^2 = \pm 1$ の形の方程式を「ペル方程式」(Pell's equation)と呼ぶ.
  • $x^2-dy^2 = 1$ は, $d$ の値によらず無限に多くの整数解をもつことが知られている.
  • 正方形の隊列に $1$ 人を加えて隊列を組み直すとき, 同じ大きさの正方形の隊列が $2$ 個作れることはあるが($1^2+1 = 2\cdot 1^2,$ $7^2+1 = 2\cdot 5^2$ など), 同じ大きさの正方形の隊列が $3$ 個作れることはない($x^2+1 = 3y^2$ は整数解をもたない). つまり, $x^2-dy^2 = -1$ は, $d$ の値によって整数解をもつこともあれば, もたないこともある.

問題《エジプト分数に関する不定方程式》

(A)
\[\frac{1}{x}+\frac{1}{y} = 1\ \cdots [1], \quad 0 < x < y\ \cdots [2]\] の整数解は存在しないことを示せ.
(B)
\[\frac{1}{x}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z} = 1\ \cdots [1], \quad 0 < x < y < z\ \cdots [2]\] の整数解をすべて求めよ.

解答例

(A)
$x > 0,$ $y > 0$ のとき \[\begin{aligned} [1] &\iff y+x = xy \iff xy-x-y+1 = 1 \\ &\iff (x-1)(y-1) = 1 \\ &\iff x-1 = y-1 = 1 \iff x = y = 2 \end{aligned}\] であるから, $[1],$ $[2]$ の整数解は存在しない.
(B)
整数 $x,$ $y,$ $z$ が $[1],$ $[2]$ を満たすとする. $y > 0,$ $z > 0$ から $\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z} > 0$ であるので, $x = 1$ は不適で, $x \geqq 2$ である. また, $[1],$ $[2]$ から \[ 1 = \dfrac{1}{x}+\dfrac{1}{y}+\dfrac{1}{z} < \frac{1}{x}+\frac{1}{x}+\frac{1}{x} = \frac{3}{x}\] であるので, $x < 3$ である. よって, $x = 2$ である. $[2]$ から $0 = x-2 < y-2 < z-2$ であることに注意すると, \[\begin{aligned} [1] &\iff \frac{1}{2}+\frac{1}{y}+\frac{1}{z} = 1 \iff \frac{1}{y}+\frac{1}{z} = \frac{1}{2} \\ &\iff 2z+2y = yz \iff yz-2y-2z+4 = 4 \\ &\iff (y-2)(z-2) = 4 \\ &\iff (y-2,z-2) = (1,4) \iff (y,z) = (3,6) \end{aligned}\] となる. ゆえに, 求める整数解は, $(x,y,z) = (2,3,6)$ である.

背景

  • 古代エジプトでは, 分数を表すとき, $\dfrac{2}{3}$ を唯一の例外として「単位分数」(分子が $1$ の分数)のみを使った. しかも,「単位分数」,$\dfrac{2}{3}$ 以外の分数は, 相異なる「単位分数」の和として表した. このように表された有理数を「エジプト分数」と呼ぶ. 「エジプト分数」は, ヨーロッパでは中世まで広く使われていたと言われている.
  • 真分数 $\dfrac{m}{n}$ ($m,$ $n$: 互いに素な正の整数, $m < n$)について, $n$ を $m$ で割ったときの商を $q,$ 余りを $r$ とすると \[\frac{m}{n} = \frac{1}{q+1}+\frac{m-r}{n(q+1)}, \quad 0 < m-r < m\] となるので, この操作を高々 $m$ 回繰り返すことにより, $\dfrac{m}{n}$ を「エジプト分数」として表せる.
  • ただし, $\dfrac{5}{6} = \dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{3} = \dfrac{1}{2}+\dfrac{1}{4}+\dfrac{1}{12}$ のように,「エジプト分数」による表し方は一意的でない.
  • 本問では,「エジプト分数」による $1$ の表示で項数が最小のものを決定した.

その他の方程式

問題《円周の方程式の有理数解》

 $x^2+y^2 = 3$ の有理数解は存在しないことを示せ.

解答例

 $x = \dfrac{a}{c},$ $y = \dfrac{b}{c}$ ($a,$ $b,$ $c$: 互いに素な整数, $c > 0$)のとき, \[ x^2+y^2 = 3 \iff a^2+b^2 = 3c^2\ \cdots [1]\] であるから, $[1]$ を満たす互いに素な整数 $a,$ $b,$ $c$ が存在しないことを示せばよい. よって, $[1]$ の整数解が存在しないか, 整数解が存在してもそれらは互いに素でないことを示せばよい.
(i)
$a,$ $b$ の少なくとも一方が $3$ の倍数のとき. $a$ が $3$ の倍数であるとしても一般性を失わない. このとき, $b^2 = 3c^2-a^2$ は $3$ の倍数であるから, $b$ は $3$ の倍数である. よって, $3c^2 = a^2+b^2$ は $9$ の倍数であるから, $c^2$ は $3$ の倍数であり, よって $c$ は $3$ の倍数である. したがって, $[1]$ の整数解は互いに素でない.
(ii)
$a,$ $b$ が $3$ の倍数でないとき. $a = 3d\pm 1,$ $b = 3e\pm 1$ ($d,$ $e$: 整数, 複号任意)とおくと, \[\begin{aligned} a^2+b^2 &= (3d\pm 1)^2+(3e\pm 1)^2 \\ &= 3(3d^2+3e^2\pm 2d\pm 2e)+2 \end{aligned}\] となり, これは $3$ で割り切れない. よって, $[1]$ の整数解は存在しない.
(i), (ii) から, 題意が示された.

背景

 一般に, $ax^2+by^2 = c$ ($a,$ $b,$ $c$: $0$ でない有理数)は無限に多くの有理数解をもつか, まったく有理数解をもたないかのいずれかであることが知られている. これは, $1$ 個でも $ax^2+by^2 = c$ の有理数解 $(x,y) = (x_0,y_0)$ が存在すれば, 点 $(x_0,y_0)$ を通る傾きが有理数の直線と曲線 $ax^2+by^2 = c$ の交点の各座標が有理数となることからわかる.

問題《フェルマー予想の $n = 4$ の場合》

 「$x^4+y^4 = z^4$ を満たす正の整数 $x,$ $y,$ $z$ は存在しない」という定理を証明したい.
(1)
$16a^4+b^4 = c^2$ を満たし, $2a,$ $b,$ $c$ が互いに素であるような正の整数 $a,$ $b,$ $c$ が存在しないことを示せば, 定理が証明されることを示せ.
 以下, 正の整数 $a,$ $b,$ $c$ が $16a^4+b^4 = c^2$ を満たし, $2a,$ $b,$ $c$ は互いに素であるとする.
(2)
$2a,$ $c$ も互いに素であることを示せ.
(3)
$c+4a^2 = m^4,$ $c-4a^2 = n^4$ を満たす互いに素な正の奇数 $m,$ $n$ が存在することを示せ.
(4)
(3) の $m,$ $n$ について, $m+n = 2s,$ $m-n = 2t$ ($s,$ $t$: 整数)とする. $s,$ $t$ を用いて $a^2$ を表せ.
(5)
$a = 2a_1b_1c_1,$ $16a_1{}^4+b_1{}^4 = c_1{}^2$ を満たし, $2a_1,$ $b_1,$ $c_1$ が互いに素であるような正の整数 $a_1,$ $b_1,$ $c_1$ が存在することを示せ.
(6)
(5) までの議論から矛盾を導くことで, 定理の証明を完成せよ.
(参考: 2010 福島県立医科大)

解答例

(1)
すべての整数 $n$ は $n = 2q$ または $n = 2q+1$ ($q$: 整数)の形に表され, \[ (2q)^2 = 4q^2, \quad (2q+1)^2 = 4(q^2+q)+1\] が成り立つから, $n^2$ を $4$ で割った余りは $0$ または $1$ である(前者は $n$ が偶数の場合, 後者は $n$ が奇数の場合). 正の整数 $x,$ $y,$ $z$ に対して, $x^4,$ $y^4,$ $z^4$ は平方数であるから, $x^4+y^4 = z^4$ が成り立つためには, $x^4,$ $y^4$ を $4$ で割った余りの組合せが $\{ 0,0\}$ または $\{ 0,1\}$ であること, つまり $x,$ $y$ の少なくとも一方が偶数であることが必要である. ここで, $x^4+y^4 = z^4$ の両辺を $x,$ $y,$ $z$ の最大公約数の $4$ 乗で割ると, $x,$ $y,$ $z$ が互いに素である場合に置き換えられる. このとき, $x$ が偶数, $y$ が奇数であるとしても一般性を失わないから, その場合に $a = \dfrac{x}{2},$ $b = y,$ $c = z^2$ とおくと, $16a^4+b^4 = c^2$ を満たし, $2a,$ $b,$ $c$ が互いに素であるような正の整数 $a,$ $b,$ $c$ が得られる. よって, このような正の整数 $a,$ $b,$ $c$ が存在しないことを示せば, 定理が証明される.
(2)
$2a,$ $c$ の共通の素因数 $p$ の存在を仮定する. このとき, $2a = pa',$ $c = pc'$ ($a',$ $c'$: 整数)とすると, \[ b^4 = c^2-16a^4 = (pc')^2-(pa')^4 = p^2(c'^2-p^2a'^4)\] となる. ここで, $b^4$ は $p^2$ の倍数であるから, $b^2$ は $p$ の倍数であり, よって $b$ は $p$ の倍数である. これは $2a,$ $b,$ $c$ が互いに素であることに反する.
よって, $2a,$ $c$ も互いに素である.
(3)
$16a^4+b^4 = c^2$ から, $c^2-16a^4 = b^4,$ つまり \[ (c+4a^2)(c-4a^2) = b^4\] が成り立つ. $c+4a^2,$ $c-4a^2$ の最大公約数を $g$ とおき, $c+4a^2 = gx,$ $c-4a^2 = gy$ ($x,$ $y$: 整数)とする. ここで, $c$ は奇数, $4a^2$ は偶数であるから, $g,$ $x,$ $y$ はすべて奇数である. よって, $x+y,$ $x-y$ は偶数であり, \[ c = g\cdot\frac{x+y}{2}, \quad 4a^2 = g\cdot\frac{x-y}{2}\] は $g$ の倍数である. $2a,$ $c$ が互いに素であることに注意すると, $g = 1$ である. したがって, \[ c+4a^2 = m^4\ \cdots [1], \quad c-4a^2 = n^4\ \cdots [2]\] を満たす互いに素な正の奇数 $m,$ $n$ が存在する.
(4)
$m+n = 2s,$ $m-n = 2t$ から, \[ m = s+t, \quad n = s-t\] である. $[1],$ $[2]$ の辺々を引くと, \[\begin{aligned} 8a^2 &= m^4-n^4 = (m^2+n^2)(m+n)(m-n) \\ &= \{ (s+t)^2+(s-t)^2\}\cdot 2s\cdot 2t \\ &= 8st(s^2+t^2) \end{aligned}\] から \[ a^2 = st(s^2+t^2) \quad \cdots [3]\] が得られる.
(5)
$m = s+t,$ $n = s-t$ が互いに素であることから, $s,$ $t$ は互いに素であり, よって $s,$ $t,$ $s^2+t^2$ のどの $2$ つも互いに素である. さらに, $m = s+t,$ $n = s-t$ は奇数であるから, $s,$ $t$ の一方は偶数, 他方は奇数であり, よって $s^2+t^2$ は奇数である. よって, $[3]$ から, $2a_1,$ $b_1,$ $c_1$ が互いに素であるような正の整数 $a_1,$ $b_1,$ $c_1$ を用いて $\{ s,t\} = \{ (2a_1)^2,b_1{}^2\},$ $s^2+t^2 = c_1{}^2$ とおけて, \[\begin{aligned} &a^2 = (2a_1)^2b_1{}^2c_1{}^2, \quad a = 2a_1b_1c_1, \\ &16a_1{}^4+b_1{}^4 = c_1{}^2 \end{aligned}\] となる.
(6)
$a_1,$ $b_1,$ $c_1$ に (5) の結果を適用すると, $a_1 = 2a_2b_2c_2,$ $16a_2{}^4+b_2{}^4 = c_2{}^2$ を満たし, $2a_2,$ $b_2,$ $c_2$ が互いに素であるような正の整数 $a_2,$ $b_2,$ $c_2$ が得られる. これを続けると, $a > a_1 > \cdots > a_n > \cdots$ を満たす正の整数 $a_1,$ $\cdots,$ $a_n,$ $\cdots$ が得られるが, これは $a$ 未満の正の整数が有限個しかないことに反する. ゆえに, 定理が成り立つ.

背景

  • フェルマーが証明を書くには余白が狭すぎると述べた「$3$ 以上の整数 $n$ に対して $x^n+y^n = z^n$ は正の整数解をもたない」という定理は, 長らく「フェルマー予想」(Fermat conjecture)と呼ばれていたが, $20$ 世紀末にワイルズらによって証明された.
  • (6) のように, 条件を満たすより小さい整数を次々と作って矛盾を導く論法は, 「無限降下法」(infinite descent)と呼ばれる.

問題《カタラン予想に関する方程式》

(A)
$x^2-2^n = 1$ を満たす正の整数 $x,$ $n$ の組をすべて求めよ.
(B)
$3^m-y^3 = 1$ を満たす正の整数 $m,$ $y$ の組をすべて求めよ.
(オリジナル)
(C)
$3^m-2^n = 1$ を満たす正の整数 $m,$ $n$ の組をすべて求めよ.
ヒント: $n > 1$ ならば, $m$ は偶数である.
(参考: 2018 東北大)

解答例

(A)
正の整数 $x,$ $n$ が方程式 $x^2-2^n = 1$ を満たすとする.
これは $x^2 = 2^n+1$ と変形できるので, $x$ は奇数でなければならない.
よって, $x = 2d-1$ ($d$: 正の整数)とおける. このとき, \[ 2^n = (2d-1)^2-1 = 4d(d-1)\] となる. よって, $n \geqq 2$ である.
両辺を $4$ で割って得られる方程式 \[ 2^{n-2} = d(d-1)\] は, $d = 2$ のとき解 $n = 3$ をもつが, $d = 1$ のとき左辺が正であることから解をもたず, $d \geqq 3$ のとき $d(d-1)$ が奇数の素因数をもつことから解をもたない.
(左辺は $2$ の累乗だから右辺の各因数は $2$ の累乗か $1$ でなければならない.)
ゆえに, 求める解は $(x,n) = (3,3)$ である.
(B)
正の整数 $m,$ $y$ が方程式 $3^m-y^3 = 1$ を満たすとする.
これは $y^3 = 3^m-1$ と変形できるので, $y$ を $3$ で割った余りは $2$ である.
実際, $y$ が $3$ の倍数のとき, $y^3$ を $3$ で割った余りは $0$ となり, $y =3d+1$ ($d$: 非負整数)のとき, $y^3 = 3(9d^3+9d^2+3d)+1$ を $3$ で割った余りは $1$ となってしまうからである.
よって, $y = 3d-1$ ($d$: 正の整数)とおける. このとき, \[ 3^m = (3d-1)^3+1 = 9d(3d^2-3d+1)\] となる. よって, $m \geqq 2$ でなければならない.
両辺を $9$ で割って得られる方程式 \[ 3^{m-2} = d(3d^2-3d+1)\] は, $d = 1$ のとき解 $m = 2$ をもつが, $d > 1$ のとき $3d^2-3d+1$ が $3$ で割り切れないことから解をもたない.
(左辺は $3$ の累乗だから右辺の各因数は $3$ の累乗か $1$ でなければならない.)
ゆえに, 求める解は $(m,y) = (2,2)$ である.
(C)
まず, $n > 1$ ならば, $m$ は偶数であることを示す. $n$ は整数であるから, $n > 1$ のとき, $n \geqq 2$ である. このとき, 仮に $m$ が奇数であるとすると, $m = 2k+1$ ($k$: 非負整数)と書けて, \[\begin{aligned} 3^m-2^n &= 3^{2k+1}-2^n = 3\cdot 9^k-4\cdot 2^{n-2} \\ &\equiv 3\cdot 1^k = 3 \pmod 4 \end{aligned}\] となってしまうから, $m$ は偶数である.
 これをもとにして, $3^m-2^n = 1$ を満たす正の整数 $m,$ $n$ の組を求める.
(i)
$n = 1$ のとき. $(m,n) = (1,1)$ は $[\ast ]$ を満たす.
(ii)
$n > 1$ のとき. $m$ は偶数であるので, $m = 2k$ ($m$: 正の整数)と書けて \[\begin{aligned} [\ast ] &\iff 3^{2k}-1 = 2^n \\ &\iff (3^k+1)(3^k-1) = 2^n \end{aligned}\] となる. よって, ある非負整数 $i,$ $j$ に対して \[ 3^k+1 = 2^i, \quad 3^k-1 = 2^j, \quad i+j = n\] となり, 第 $1$ 式から第 $2$ 式を引くと \[ 2^i-2^j = (3^k+1)-(3^k-1)\] から \[ 2^j(2^{i-j}-1) = 2\] となるので, $j = i-j = 1$ から $(i,j) = (2,1)$ となる. このとき, $(m,n) = (2,3)$ である.
(i), (ii) から, $[\ast ]$ の整数解は $(m,n) = (1,1),$ $(2,3)$ である.

背景

 「カタラン方程式」と呼ばれる方程式 $x^m-y^n = 1$ の $x,$ $y > 0,$ $m,$ $n > 1$ なる整数解は $(x,m,y,n) = (3,2,2,3)$ に限る, つまり差が $1$ であるような正の累乗数は $9$ と $8$ のみであるというのが有名な「カタラン予想」(Catalan's conjecture)で, 2002 年に P・ミハイレスクによって肯定的に解決された.

問題《指数関数を含む方程式の整数解》

(1)
関数 $f(x) = \dfrac{2^x}{x^2}$ について, $x \geqq 3$ のとき $f(x) < f(x+1)$ が成り立つことを示せ.
(2)
$2^x = x^2$ の整数解をすべて求めよ.

解答例

(1)
$x \geqq 3$ であるとする. このとき, $\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{1}{3}$ から $1+\dfrac{1}{x} \leqq \dfrac{4}{3}$ となり, \[\left( 1+\frac{1}{x}\right) ^2 \leqq \frac{16}{9} < 2\] となる. よって, \[\frac{f(x)}{f(x+1)} = \frac{2^x}{x^2}\cdot\frac{(x+1)^2}{2^{x+1}} = \frac{1}{2}\left( 1+\frac{1}{x}\right) ^2 < 1\] から, $f(x) < f(x+1)$ が成り立つ.
(2)
$x < 0$ のとき, $2^x < 1 \leqq x^2$ から, $2^x \neq x^2$ である.
$x = 0$ のとき, $2^0 = 1 \neq 0 = 0^2$ から, $2^x \neq x^2$ である.
よって, $2^x = x^2$ の整数解は $f(x) = 1$ の正の整数解に限る. \[ f(1) = 2 \neq 1,\ f(2) = 1,\ f(3) = \frac{8}{9} < 1,\ f(4) = 1\] であり, (1) から $n \geqq 5$ のとき $f(n) > f(4) = 1$ となるので, 求める整数解は \[ x = 2,\ 4\] である.
 $2^x = x^2$ の整数解を求める解法については, こちらも参照されたい.