有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

数式を枠からはみ出さずに表示するためには, 画面を横に傾けてください.

累乗和の公式

累乗和の公式

定理《累乗和の公式》

 すべての正の整数 $n$ に対して, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk &= \frac{1}{2}n(n+1) \quad \cdots [1], \\ \sum_{k = 1}^nk^2 &= \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \quad \cdots [2], \\ \sum_{k = 1}^nk^3 &= \frac{1}{4}n^2(n+1)^2 \quad \cdots [3] \end{aligned}\] が成り立つ.

証明 1

\[ 2x = (x+1)^2-x^2-1\] に $x = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} 2\sum_{k = 1}^nk &= (n+1)^2-1^2-n \\ &= (n+1)^2-(n+1) \\ &= n(n+1) \end{aligned}\] となるから, $[1]$ が成り立つ. \[ 3x^2 = (x+1)^3-x^3-1-3x\] に $x = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} 3\sum_{k = 1}^nk^2 &= (n+1)^3-1^3-n-3\sum_{k = 1}^nk \\ &= (n+1)^3-(n+1)-3\cdot\frac{1}{2}n(n+1) \\ &= \frac{1}{2}(n+1)\{ 2(n+1)^2-2-3n\} \\ &= \frac{1}{2}(n+1)(2n^2+n) \\ &= \frac{1}{2}n(n+1)(2n+1) \end{aligned}\] となるから, $[2]$ が成り立つ. \[ 4x^3 = (x+1)^4-x^4-1-4x-6x^2\] に $x = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} 4\sum_{k = 1}^nk^3 &= (n+1)^4-1^4-n-4\sum_{k = 1}^nk-6\sum_{k = 1}^nk^2 \\ &= (n+1)^4-(n+1) \\ &\qquad -4\cdot\frac{1}{2}n(n+1)-6\cdot\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \\ &= (n+1)^4-(n+1)\\ &\qquad -2n(n+1)-n(n+1)(2n+1) \\ &= (n+1)\{ (n+1)^3-1-2n-n(2n+1)\} \\ &= (n+1)(n^3+n^2) \\ &= n^2(n+1)^2 \end{aligned}\] となるから, $[3]$ が成り立つ.

証明 2

 $\displaystyle\sum_{k = 1}^nk$ は, 初項 $1,$ 公差 $1,$ 項数 $n$ の等差数列の和であるから, \[\displaystyle\sum_{k = 1}^nk = \frac{n}{2}\{ 2\cdot 1+1\cdot (n-1)\} = \frac{1}{2}n(n+1)\] である. また, $c_n = (n-1)n(n+1)$ とおくと, \[ c_{n+1}-c_n = n(n+1)\{ (n+2)-(n-1)\} = 3n(n+1)\] となるから, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk(k+1) &= \frac{1}{3}\sum_{k = 1}^n(c_{k+1}-c_k) \\ \sum_{k = 1}^nk^2+\sum_{k = 1}^nk &= \frac{1}{3}n(n+1)(n+2) \end{aligned}\] であり, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk^2 &= \frac{1}{3}n(n+1)(n+2)-\sum_{k = 1}^nk \\\ &= \frac{1}{3}n(n+1)(n+2)-\frac{1}{2}n(n+1) \\ &= \frac{1}{6}n(n+1)\{ 2(n+2)-3\} \\ &= \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \end{aligned}\] が成り立つ. 同様に, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk(k+1)(k+2) = \frac{1}{4}n(n+1)(n+2)(n+3) \end{aligned}\] であるから, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk^3 &= \frac{1}{4}n(n+1)(n+2)-3\sum_{k = 1}^nk^2-2\sum_{k = 1}^nk \\ &= \frac{1}{4}n(n+1)(n+2)(n+3) \\ &\qquad -3\cdot\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-2\cdot\frac{1}{2}n(n+1) \\ &= \frac{1}{4}n(n+1)\{ (n+2)(n+3)-2(2n+1)-4\} \\ &= \frac{1}{4}n(n+1)(n^2+n) \\ &= \frac{1}{4}n^2(n+1)^2 \end{aligned}\] が成り立つ.

証明 3:「ベルヌーイ多項式」を利用

\[\begin{aligned} &\int_x^{x+1}\left( t-\frac{1}{2}\right) dt = \left[\frac{t^2}{2}-\frac{t}{2}\right] _x^{x+1} = \frac{1}{2}[t(t-1)]_x^{x+1} \\ &= \frac{1}{2}\{ (x+1)x-x(x-1)\} = \frac{1}{2}\cdot 2x = x \end{aligned}\] であるから, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk &= \sum_{k = 1}^n\int_k^{k+1}\left( t-\frac{1}{2}\right) dt = \int_1^{n+1}\left( t-\frac{1}{2}\right) dt \\ &= \frac{1}{2}[t(t-1)]_1^{n+1} = \frac{1}{2}n(n+1) \quad \cdots [1] \end{aligned}\] が成り立つ.
 $[2]$ は, \[\int_x^{x+1}\left( t^2-t+\frac{1}{6}\right) dt = x^2\] を利用して, $[1]$ と同様に証明できる(こちらを参照).
 また, \[\int_x^{x+1}\left( t^3-\frac{3}{2}t^2+\frac{1}{2}t\right) dt = x^3\] (計算は省略)を利用すると, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk^3 &= \sum_{k = 1}^n\int_k^{k+1}\left( t^3-\frac{3}{2}t^2+\frac{1}{2}t\right) dt \\ &= \int_1^{n+1}\left( t^3-\frac{3}{2}t^2+\frac{1}{2}t\right) dt \\ &= \left[\frac{t^4}{4}-\frac{t^3}{2}+\frac{t^2}{4}\right] _1^{n+1} \\ &= \frac{1}{4}[t(t-1)(t^2-t-1)]_1^{n+1} \\ &= \frac{1}{4}(n+1)n\{ (n+1)^2-(n+1)-1\} \\ &= \frac{1}{4}n^2(n+1)^2 \quad \cdots [3] \end{aligned}\] が得られる.

問題《平方三角数とペル方程式》

(1)
図のように, $l$ 行 $l$ 列の正方形の形に並べられていた石を崩した後, $1$ 段目に $1$ 個, $\cdots,$ $k$ 段目に $k$ 個, $\cdots$ と $m$ 段目まで並べていくと, 石を余すことなく正三角形の形に並べられたとする. このとき, $(x,y) = (2m+1,2l)$ は $x^2-2y^2 = 1$ の解であることを示せ.
(2)
$(x,y)$ を $x^2-2y^2 = 1$ の正の整数解とする. このとき, $x$ は $3$ 以上の奇数であり, $y$ は偶数であることを示せ. さらに, $l = \dfrac{y}{2},$ $m = \dfrac{x-1}{2}$ とおくと, 上記のように, $l$ 行 $l$ 列の正方形の形に並べられた石は, $m$ 段の正三角形の形にも並べられることを示せ.
(参考: 津田塾大)

解答例

(1)
石の個数に関する条件から \[ l^2 = \displaystyle\sum_{k = 1}^mk = \frac{1}{2}m(m+1)\] が成り立つので, \[\begin{aligned} &(2m+1)^2-2(2l)^2 = (2m+1)^2-8l^2 \\ &= (2m+1)^2-8\cdot\frac{1}{2}m(m+1) \\ &= (4m^2+4m+1)-(4m^2+4m) = 1 \end{aligned}\] が成り立つ.
(2)
$x^2 = 2y^2+1$ は奇数であるから, $x$ は奇数で, $x = 2m+1$ ($m$: 非負整数)とおける. $x = 1$ とすると, $-2y^2 = 0$ となり, $y = 0$ となってしまうので, $x \geqq 3$ である. また, $y = 2k+1$ ($k$: 非負整数)とすると, $x^2-2y^2 = 4(m^2+m-2k^2-2k)-1$ を $4$ で割った余りが $3 \neq 1$ となってしまうので, $y$ は偶数である. そこで, $y = 2l$ ($l$: 正の整数)とおくと, $(2m+1)^2-8l^2 = 1$ から \[\begin{aligned} l^2 &= \frac{(2m+1)^2-1}{8} = \frac{4m^2+4m}{8} \\ &= \frac{1}{2}m(m+1) = \sum_{k = 1}^mk \end{aligned}\] となるので, $l$ 行 $l$ 列の正方形の形に並べられた石は, $m$ 段の正三角形の形にも並べられる.

背景

  • 正三角形の形に点を並べたときの点の総数を「三角数」と呼び, 平方数でも「三角数」でもある整数を「平方三角数」と呼ぶ.
  • 平方数でないある正の整数 $d$ に対して, $x^2-dy^2 = 1$ または $x^2-dy^2 = -1$ の形をした方程式を「ペル方程式」と呼ぶ. 本問で示したように,「平方三角数」と「ペル方程式」$x^2-2y^2 = 1$ の正の整数解は $1$ 対 $1$ に対応している.

問題《$4$ 乗数の和の公式》

 すべての正の整数 $n$ に対して \[\sum_{k = 1}^nk^4 = \frac{1}{30}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)\] が成り立つことを示せ.

解答例

\[ 5x^4 = (x+1)^5-x^5-1-5x-10x^2-10x^3\] に $x = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} 5\sum_{k = 1}^nk^4 &= (n+1)^5-1^5-n-5\!\sum_{k = 1}^n\!k-10\!\sum_{k = 1}^n\!k^2-10\!\sum_{k = 1}^n\!k^3 \\ &= (n+1)^5-(n+1)-5\cdot\frac{1}{2}n(n+1) \\ &\qquad -10\cdot\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)-10\cdot\frac{1}{4}n^2(n+1)^2 \\ &= \frac{1}{6}(n+1)\{ 6(n+1)^4-6-15n \\ &\qquad -10n(2n+1)-15n^2(n+1)\} \\ &= \frac{1}{6}(n+1)(6n^4+9n^3+n^2-n) \\ &= \frac{1}{6}n(n+1)(6n^3+9n^2+n-1) \\ &= \frac{1}{6}n(n+1)\left( n+\frac{1}{2}\right) (6n^2+6n-2) \\ &= \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1) \end{aligned}\] となるから, 両辺を $5$ で割ると \[\sum_{k = 1}^nk^4 = \frac{1}{30}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)\] が得られる.

参考

\[\int_x^{x+1}\left( t^4-2t^3+t^2-\frac{1}{30}\right) dt = x^4\] (計算は省略)を利用すると, \[\begin{aligned} \sum_{k = 1}^nk^4 &= \sum_{k = 1}^n\int_k^{k+1}\left( t^4-2t^3+t^2-\frac{1}{30}\right) dt \\ &= \int_1^{n+1}\left( t^4-2t^3+t^2-\frac{1}{30}\right) dt \\ &= \left[\frac{t^5}{5}-\frac{t^4}{2}+\frac{t^3}{3}-\frac{t}{30}\right] _1^{n+1} \\ &= \frac{1}{30}[t(t-1)(2t-1)(3t^2-3t-1)]_1^{n+1} \\ &= \frac{1}{30}(n+1)n(2n+1)\{ 3(n+1)^2-3(n+1)-1\} \\ &= \frac{1}{30}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1) \end{aligned}\] が得られる.

問題《格子に含まれる正方形の面積の平均値》

 $n$ を $1$ より大きい整数とする. $1$ 辺の長さが $n$ の正方形において, 各辺を $n$ 等分する点をとり, 向かい合う $2$ 辺の等分点を通って辺に平行な直線 $2(n-1)$ 本を引く. もとの正方形の辺やこれらの直線が囲む正方形について,
(1)
個数を求めよ.
(2)
面積の総和(のべ面積)を求めよ. ただし, \[\sum_{k = 1}^nk^4 = \frac{1}{30}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1)\] が成り立つこと(こちらを参照)は, 証明なしに使ってよい.
(3)
面積の平均値を求めよ.

解答例

 $1$ 辺の長さが $k$ $(1 \leqq k \leqq n)$ である正方形は $(n-k+1)^2$ 個ある.
(1)
求める個数は, \[\sum_{k = 1}^n(n-k+1)^2 = \sum_{k = 1}^nk^2 = \frac{1}{6}n(n+1)(2n+1)\] である.
(2)
求める面積は, \[\begin{aligned} &\sum_{k = 1}^n(n-k+1)^2k^2 \\ &= \sum_{k = 1}^n\{ (n+1)^2-2(n+1)k+k^2\} k^2 \\ &= \sum_{k = 1}^n\{ (n+1)^2k^2-2(n+1)k^3+k^4\} \\ &= (n+1)^2\sum_{k = 1}^nk^2-2(n+1)\sum_{k = 1}^nk^3+\sum_{k = 1}^nk^4 \\ &= (n+1)^2\cdot\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \\ &\qquad -2(n+1)\cdot\frac{1}{4}n^2(n+1)^2 \\ &\qquad +\frac{1}{30}n(n+1)(2n+1)(3n^2+3n-1) \\ &= \frac{1}{30}n(n+1)\{ 5(n+1)^2(2n+1) \\ &\qquad -15n(n+1)^2+(2n+1)(3n^2+3n-1)\} \\ &= \frac{1}{30}n(n+1)(n^3+4n^2+6n+4) \\ &= \frac{1}{30}n(n+1)(n+2)(n^2+2n+2) \end{aligned}\] である.
(3)
求める面積の平均値は, \[\begin{aligned} &\frac{1}{30}n(n+1)(n+2)(n^2+2n+2)\div\frac{1}{6}n(n+1)(2n+1) \\ &= \frac{(n+2)(n^2+2n+2)}{5(2n+1)} \end{aligned}\] である.

問題《累乗数の和を表す多項式の存在》

 $m$ を正の整数とする. $S_m(0) = 0$ と各正の整数 $n$ に対して \[\sum_{k = 1}^nk^m = S_m(n)\] を満たす $m+1$ 次多項式 $S_m(x)$ が存在することを示せ.

解答例

 $m$ に関する数学的帰納法で示す.
(i)
$m = 1$ のとき. \[ 2x = (x+1)^2-x^2-1\] に $x = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} 2\sum_{k = 1}^nk &= (n+1)^2-1^2-n \\ &= (n+1)^2-(n+1) \\ &= n(n+1) \end{aligned}\] となるから, \[ S_1(x) = \frac{1}{2}x(x+1)\] は \[ S_1(0) = 0, \quad \sum_{k = 1}^nk = S_1(n)\ (n \geqq 1)\] を満たす.
(ii)
$m > 1$ として, 関係式を満たす多項式 $S_1(x),$ $\cdots,$ $S_{m-1}(x)$ の存在を仮定する. 二項定理により \[ (x\!+\!1)^{m+1} = 1\!+\!\sum_{j = 1}^{m-1}{}_{m+1}\mathrm C_jx^j\!+\!(m\!+\!1)x^m\!+\!x^{m+1}\] であるから, \[ (m\!+\!1)x^m \!=\! (x\!+\!1)^{m+1}\!-\!x^{m+1}\!-\!1\!-\!\sum_{j = 1}^{m-1}{}_{m+1}\mathrm C_jx^j\] が成り立つ. このとき, $x = 1,$ $\cdots,$ $n$ を代入して辺々を加えると \[\begin{aligned} &(m+1)\sum_{k = 1}^nk^m \\ &= (n+1)^{m+1}-1^{m+1}-n-\sum_{k = 1}^n\sum_{j = 1}^{m-1}{}_{m+1}\mathrm C_jk^j \\ &= (n+1)^{m+1}-(n+1)-\sum_{j = 1}^{m-1}{}_{m+1}\mathrm C_j\sum_{k = 1}^nk^j \\ &= (n+1)^{m+1}-(n+1)-\sum_{j = 1}^{m-1}{}_{m+1}\mathrm C_jS_j(n) \\ \end{aligned}\] となるから, \[\begin{aligned} S_m(x) &= \frac{1}{m+1}\left\{ (x+1)^{m+1}-(x+1)\right. \\ &\qquad\qquad\qquad\quad \left.-\sum_{j = 1}^{m-1}{}_{m+1}\mathrm C_jS_j(x)\right\} \end{aligned}\] とおくと, 右辺の $(x+1)^{m+1}$ は $m+1$ 次でそれ以外の項は $m$ 次以下であるから $S_m(x)$ は $m+1$ 次になり, \[ S_m(0) = 0, \quad \sum_{k = 1}^nk^m = S_m(n)\ (n \geqq 1)\] となる.
(i), (ii) から, すべての正の整数 $m$ に対して $S_m(x)$ の存在が示された.

背景

 本問は,「ファウルハーバーの公式」(Faulhaber's formula) \[\sum_{k = 1}^nk^m = \frac{1}{m+1}\sum_{k = 0}^m{}_{m+1}\mathrm C_kB_kn^{m+1-k}\] を背景としている. ここで, $B_0,$ $\cdots,$ $B_m$ は「ベルヌーイ数」(Bernoulli number)と呼ばれる有理数で, \[\sum_{k = 0}^n{}_{n+1}\mathrm C_kB_k = n+1\] という関係式で定まる(こちらも参照).

問題《累乗数の和を表す多項式の性質》

 $m$ を正の整数とする. $S_m(0) = 0$ と各正の整数 $n$ に対して $\displaystyle\sum_{k = 1}^nk^m = S_m(n)$ を満たす $m+1$ 次多項式 $S_m(x)$ (こちらを参照)について, 次のことを示せ.
(1)
多項式 $f(x)$ に対して,
(i)
$f(x) = S_m(x)$ 
(ii)
$f(0) = 0,$ $f(n)-f(n-1) = n^m$ ($n$: 正の整数)
(iii)
$f(0) = 0,$ $f(x)-f(x-1) = x^m$
は同値である.
(2)
$S_m(x) = (-1)^{m-1}S_m(-x-1)$ が成り立つ.
(3)
$y = S_m(x)$ のグラフは, $m$ が偶数のとき点 $\left( -\dfrac{1}{2},0\right)$ に関して対称であり, $m$ が奇数のとき直線 $x = -\dfrac{1}{2}$ に関して対称である.
(4)
$S_m(x)-\dfrac{1}{2}x^m$ は, $m$ が偶数のとき奇関数, $m$ が奇数のとき偶関数である.
(5)
$m \geqq 2$ とする. $S_m(x)$ は, $m$ が偶数のとき $S_2(x)$ で, $m$ が奇数のとき $S_1(x)^2$ で割り切れる.

解答例

(1)
(i) $\Longrightarrow$ (ii) は明らかである.
(ii) $\Longrightarrow$ (i) を示すため, $f(x)$ が (ii) を満たすとする. \[ f(k)-f(k-1) = k^m \quad (1 \leqq k \leqq n)\] の辺々を加えると, \[ f(n) = f(n)-f(0) = \sum_{k = 1}^nk^m\] が得られる. 方程式 $f(x)-S_m(x) = 0$ はすべての正の整数を解にもつから, 多項式の差 $f(x)-S_m(x)$ は $0$ にならざるを得ない($0$ でないとすると, $f(x)-S_m(x) = 0$ の解の個数が有限になってしまう). よって, $f(x) = S_m(x)$ が成り立つ.
(ii) $\Longrightarrow$ (iii) を示すため, $f(x)$ が (ii) を満たすとする. 方程式 $f(x)-f(x-1)-x^m = 0$ はすべての正の整数を解にもつから, 多項式の差 $f(x)-f(x-1)-x^m$ は $0$ にならざるを得ない(上記と同じ理由). よって, $f(x)-f(x-1) = x^m$ が成り立つ.
(iii) $\Longrightarrow$ (ii) は明らかである.
(2)
$f(x) = (-1)^{m-1}S_m(-x-1)$ とおく. \[ S_m(x)-S_m(x-1) = x^m\] に $0$ を代入すると, $S_m(0) = 0,$ $S_m(0)-S_m(-1) = 0$ から $S_m(-1) = 0$ が得られる. よって, \[ f(0) = (-1)^{m-1}S_m(-1) = 0\] が成り立つ. また, \[\begin{aligned} &f(x)-f(x-1) \\ &= (-1)^{m-1}S_m(-x-1)-(-1)^{m-1}S_m(-x) \\ &= -(-1)^{m-1}\{ S_m(-x)-S_m(-x-1)\} \\ &= (-1)^m(-x)^m = x^m \end{aligned}\] が成り立つ. ゆえに, (1) の結果から, $f(x) = S_m(x)$ つまり \[ S_m(x) = (-1)^{m-1}S_m(-x-1) \quad \cdots [1]\] が成り立つ.
(3)
$\dfrac{x+x'}{2} = a$ $\iff$ $x' = -x+2a$ から
  • $y = f(x)$ が点 $(a,0)$ に関して対称 \[\iff f(-x+2a) = -f(x)\]
  • $y = f(x)$ が直線 $x = a$ に関して対称 \[\iff f(-x+2a) = f(x)\]
が成り立つので, $m$ が偶数のとき $S_m(-x-1) = -S_m(x),$ $m$ が奇数のとき $S_m(-x-1) = S_m(x)$ であればよいが, これは $[1]$ つまり \[ S_m(-x-1) = (-1)^{m-1}S_m(x) \quad \cdots [2]\] から従う.
(4)
$S_m(-x)-S_m(-x-1) = (-x)^m$ と $[2]$ から, \[\begin{aligned} S_m(-x)-\frac{1}{2}(-x)^m &= S_m(-x-1)+\frac{1}{2}(-x)^m \\ &= (-1)^{m-1}S_m(x)-(-1)^{m-1}\frac{1}{2}x^m \\ &= (-1)^{m-1}\left\{ S_m(x)-\frac{1}{2}x^m\right\} \end{aligned}\] が成り立つ. よって, $S_m(x)-\dfrac{1}{2}x^m$ は, $m$ が偶数のとき奇関数, $m$ が奇数のとき偶関数である.
(5)
  • $m$ が $2$ 以上の偶数のとき. $S_m(0) = 0$ であり, $y = S_m(x)$ のグラフは点 $\left( -\dfrac{1}{2},0\right)$ に関して対称であるから, $S_m(-1) = 0$ であり, したがって $S_m\left( -\dfrac{1}{2}\right) = 0$ も成り立つ. ゆえに, 因数定理により, $S_m(x)$ は $x,$ $x+1,$ $x+\dfrac{1}{2}$ で割り切れるから, $S_2(x) = \dfrac{1}{6}x(x+1)(2x+1)$ で割り切れる.
  • $m$ が $3$ 以上の奇数のとき. $S_m(0) = 0$ であり, $S_m(x)-\dfrac{1}{2}x^m$ は偶関数であるから, $S_m(x)$ の定数項と $1$ 次の項は $0$ であり, $S_m(x)$ は $x^2$ で割り切れる. よって, $y = S_m(x)$ のグラフは原点で $x$ 軸に接し, 直線 $x = -\dfrac{1}{2}$ に関して対称であるから, 点 $(-1,0)$ でも $x$ 軸に接し, $S_m(x)$ は $(x+1)^2$ で割り切れる. ゆえに, $S_m(x)$ は $S_1(x){}^2 = \dfrac{1}{4}x^2(x+1)^2$ で割り切れる.

参考

\[\begin{aligned} S_3(x) &= S_1(x)^2, \\ S_4(x) &= \dfrac{1}{5}S_2(x)(3x^2+3x-1), \\ S_5(x) &= \dfrac{1}{3}S_1(x)^2(2x^2+2x-1), \\ S_6(x) &= \dfrac{1}{7}S_2(x)(3x^4+6x^3-3x+1) \end{aligned}\] が成り立つ.

問題《平方根の整数部分の和》

 実数 $x$ に対して, $x$ 以下の整数の最大値を $[x]$ で表す. $a_n = [\sqrt n]$ で定まる数列 $\{ a_n\}$ の初項から第 $n$ 項までの和を $S_n$ とおく. $k,$ $m$ を正の整数とする.
(1)
$a_n = k$ を満たす数列 $\{ a_n\}$ の項の個数を求めよ.
(2)
$S_{m^2}$ を $m$ の式で表せ.

解答例

(1)
\[\begin{aligned} a_n = k &\iff [\sqrt n] = k \\ &\iff k \leqq \sqrt n < k+1 \\ &\iff k^2 \leqq n < (k+1)^2 \end{aligned}\] が成り立つから, $a_n = k$ を満たす数列 $\{ a_n\}$ の項の個数は, \[ (k+1)^2-k^2 = 2k+1\] である.
(2)
$n = m^2$ は $a_n = m$ を満たす最小の番号であるので, (1) の結果から, \[\begin{aligned} S_{m^2} &= \sum_{k = 1}^{m-1}(2k+1)k+m \\ &= 2\sum_{k = 1}^{m-1}k^2+\sum_{k = 1}^{m-1}k+m \\ &= 2\cdot\frac{1}{6}(m-1)m(2m-1)+\frac{1}{2}(m-1)m+m \\ &= \frac{1}{6}m\{ 2(m-1)(2m-1)+3(m-1)+6\} \\ &= \frac{1}{6}m(4m^2-3m+5) \end{aligned}\] である.

問題《整数の組と整数の対応》

 すべての正の整数の組 $(k,l)$ を, $k+l$ の値が小さい順に並べ, $k+l$ の値が等しい組については $k$ の値が大きい順に並ぶようにする. このとき, 正の整数の組 $(k,l)$ は何番目に並べられるか.

解答例

 すべての正の整数の組 $(k,l)$ を $n = k+l$ の値が小さい順に並べ, $n$ の値が等しい組については $k$ の値が大きい順に並ぶようにして, $n$ の値ごとに群に分ける. \[ (1,1)|(2,1),(1,2)|(3,1),(2,2),(1,3)|\cdots\] このとき, $k+l = n$ を満たす整数の組が属するのは第 $n-1$ 群で, その群に属する整数の組の個数は $n-1$ 個である. よって, 第 $1$ 群から第 $n-1$ 群までに属する整数の組の個数は, \[\sum_{m = 1}^{n-1}m = \frac{(n-1)n}{2}\] である. $(k,l)$ は第 $n-1$ 群の末尾から $k$ 番目の位置にあるので, $(k,l)$ が並ぶのは,
$\dfrac{(n-1)n}{2}-k+1 = \dfrac{(k+l-1)(k+l)}{2}-k+1$ (番目)
である.

背景

  • 本問の結果から, 正の整数の組と正の整数は, $f(k,l) = \dfrac{(k+l-1)(k+l)}{2}-k+1$ という $2$ 変数関数によって, もれも重複もなく対応していることがわかる. このように, 集合 $X$ の要素 $x$ を集合 $Y$ のある要素 $f(x)$ にそれぞれ対応させる, もれも重複もない対応を, $X$ から $Y$ への「全単射」(bijection)と呼ぶ. $X$ から $Y$ への「全単射」が存在するとき, $X$ は $Y$ に「対等」(equivalent)であるという.
  • 次のことがよく知られている. 正の整数全体の集合を $\mathbb N,$ 実数全体の集合を $\mathbb R$ で表す.
    • 集合 $\{ 1,\cdots,n\}$ は, $\mathbb N$ に「対等」でない.
    • $0$ 以上の整数全体の集合 $X$ と $\mathbb N$ の間には,「全単射」$f(x) = x+1$ $(x \in X)$ があるから, $X$ は $\mathbb N$ に「対等」である.
    • 正の偶数全体の集合 $X$ と $\mathbb N$ の間には,「全単射」$f(x) = \dfrac{x}{2}$ $(x \in X)$ があるから, $X$ は $\mathbb N$ に「対等」である.
    • 整数全体の集合, 有理数全体の集合は, $\mathbb N$ に「対等」である.
    • $0$ 以上 $1$ 以下の実数全体の集合は, $\mathbb R$ に「対等」である.
    • $\mathbb N$ は $\mathbb R$ に「対等」でない(カントール, $1874$ 年).