有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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期待値

期待値

問題《じゃんけんの勝者数の期待値》

 $n$ を $2$ 以上の整数とする. $n$ 人で $1$ 回だけじゃんけんをするとき, 勝者の数を $X_n$ とおく.
(1)
$1 \leqq k \leqq n-1$ なる各整数 $k$ に対して, $X_n = k$ となる確率 $P(X_n = k)$ を求めよ.
(2)
$X_n$ の期待値 $E(X_n)$ を求めよ. $1 \leqq k \leqq n$ なる各整数 $k$ に対して二項係数の「くくり出し公式」$k\,{}_n\mathrm C_k = n\,{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}$ が成り立つこと (こちらを参照)は, 証明なしに使ってよい.
(3)
$n \geqq 2$ において, $E(X_n)$ の最大値を求めよ. (ヒント: $E(X_n),$ $E(X_{n+1})$ の比をとり, $E(X_n) > E(X_{n+1})$ となる条件を考える.)
(参考: $2011$ 千葉大)
実戦素朴$2021/09/22$$2022/05/09$

解答例

(1)
$n$ 人のじゃんけんで, 全員の手の出し方は $3^n$ 通りある. 勝者が $k$ 人であるとき, 勝者と敗者を分ける方法が ${}_n\mathrm C_k$ 通りあり, そのおのおのに対して勝者と敗者の手の組合せが ${}_3\mathrm C_2$ 通りあるから, $X_n = k$ となる確率は \[ P(X_n = k) = \frac{{}_n\mathrm C_k\cdot {}_3\mathrm C_2}{3^n} = \frac{{}_n\mathrm C_k}{3^{n-1}}\] である.
(2)
$X_n$ は $0$ 以上 $n-1$ 以下の整数の値をとるから, (1) の結果により, $X_n$ の期待値は \[\begin{aligned} E(X_n) &= \sum_{k = 0}^{n-1}kP(X_n = k) \\ &= \sum_{k = 1}^{n-1}kP(X_n = k) \quad (\because 0\cdot P(X_n = 0) = 0) \\ &= \sum_{k = 1}^{n-1}k\cdot\frac{{}_n\mathrm C_k}{3^{n-1}} \quad (\because (1)) \\ &= \sum_{k = 1}^{n-1}n\cdot\frac{{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}}{3^{n-1}} \quad (\because k\,{}_n\mathrm C_k = n\,{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}) \\ &= \frac{n}{3^{n-1}}\sum_{k = 1}^{n-1}{}_{n-1}\mathrm C_{k-1} \\ &= \frac{n}{3^{n-1}}\{ (1+1)^{n-1}-{}_{n-1}\mathrm C_{n-1}\} \\ &= \frac{n(2^{n-1}-1)}{3^{n-1}} \end{aligned}\] である. 最後から $2$ つめの等号では二項定理を使った.
(3)
\[\begin{aligned} \frac{E(X_{n+1})}{E(X_n)} &= \frac{(n+1)(2^n-1)}{3^n}\cdot\frac{3^{n-1}}{n(2^{n-1}-1)} \\ &= \frac{(2n+2)(2^n-1)}{3n(2^n-2)} \end{aligned}\] であるから, $n \geqq 3$ のとき \[\begin{aligned} &E(X_n) > E(X_{n+1}) \iff \frac{E(X_{n+1})}{E(X_n)} < 1 \\ &\iff \frac{(2n+2)(2^n-1)}{3n(2^n-2)} < 1 \\ &\iff (2n+2)(2^n-1) < 3n(2^n-2) \\ &\iff 4n-2 < (n-2)2^n \\ &\iff \frac{4n-2}{n-2} < 2^n \iff 4+\frac{6}{n-2} < 2^n \\ &\iff n \geqq 4 \quad \left(\because 4+\frac{6}{n-2} \leqq 10\right) \end{aligned}\] が成り立つ. また, \[ E(X_2) = \frac{2}{3}, \quad E(X_3) = 1, \quad E(X_4) = \frac{28}{27}\] である. よって, \[ E(X_2) < E(X_3) < E(X_4) > E(X_5) > E(X_6) > \cdots\] であるから, $E(X_n)$ は $n = 4$ のとき最大値 $\dfrac{28}{27}$ をとる.

参考

  • $n$ が小さいときの $E(X_n)$ の近似値は, 次の表の通りである.
    $n$$2$$3$$4$$5$
    $E(X_n)$$0.666\cdots$$1$$1.037\cdots$$0.925\cdots$
    $6$$7$$8$$9$$10$
    $0.765\cdots$$0.604\cdots$$0.464\cdots$$0.349\cdots$$0.259\cdots$
  • 極限値 $\lim\limits_{n \to \infty}E(X_n)$ については, こちらを参照されたい.

問題《袋から取り出される白玉の個数の期待値》

 $a,$ $b,$ $r$ $(a \geqq r,\ b \geqq r)$ を正の整数とする. $a$ 個の白玉, $b$ 個の黒玉が入った袋から無作為に $r$ 個の玉を取り出すときに取り出される白玉の個数 $X$ の期待値を求めよ. ただし, 非負整数 $m,$ $n,$ $k$ に対して
  • $k\,{}_n\mathrm C_k = n\,{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}$ $(0 < k \leqq n)$ $\quad \cdots [1]$
  • $\displaystyle\sum_{i = 0}^k{}_m\mathrm C_i\cdot {}_n\mathrm C_{r-i} = {}_{m+n}\mathrm C_k$ $(k \leqq m+n)$ $\quad \cdots [2]$
が成り立つことは証明なしに用いてよい.
実戦素朴$2024/02/13$$2024/02/14$

解答例

 $0 \leqq k \leqq r$ なる各整数 $k$ に対して \[ P(X = k) = \frac{{}_a\mathrm C_k\cdot{}_b\mathrm C_{r-k}}{{}_{a+b}\mathrm C_r}\] であるから, 求める期待値は \[\begin{aligned} E(X) &= \sum_{k = 0}^rk\,P(X = k) \\ &= \sum_{k = 1}^rk\,P(X = k) \quad (\because 0\cdot P(X_n = 0) = 0) \\ &= \sum_{k = 1}^rk\cdot\frac{{}_a\mathrm C_k\cdot{}_b\mathrm C_{r-k}}{{}_{a+b}\mathrm C_r} \\ &= \frac{1}{{}_{a+b}\mathrm C_r}\sum_{k = 1}^ra\,{}_{a-1}\mathrm C_{k-1}\cdot{}_b\mathrm C_{r-k} \quad (\because [1]) \\ &= \frac{a}{{}_{a+b}\mathrm C_r}\sum_{i = 0}^{r-1}{}_{a-1}\mathrm C_i\cdot{}_b\mathrm C_{r-1-i} \\ &= \frac{a}{{}_{a+b}\mathrm C_r}\cdot{}_{a+b-1}\mathrm C_{r-1} \quad (\because [2]) \\ &= \frac{ar}{(a+b)\,{}_{a+b-1}\mathrm C_{r-1}}\cdot{}_{a+b-1}\mathrm C_{r-1} \quad (\because [1]) \\ &= \frac{ar}{a+b} \end{aligned}\] である.

参考

 $K$ 個の成功状態をもつ $N$ 個の要素からなる母集団から $n$ 個の要素を非復元抽出するときに $k$ 個の成功状態が含まれている確率を与える離散確率分布を「超幾何分布」(hypergeometric distribution) と呼ぶ. 「超幾何分布」に従う確率変数 $X$ について, \[ P(X = k) = \frac{{}_K\mathrm C_k\cdot{}_{N-K}\mathrm C_{n-k}}{{}_N\mathrm C_n}\] が成り立つ. 例えば, $K$ 個の白玉, $N-K$ 個の黒玉が入った袋から無作為に $n$ 個の玉を非復元抽出するときに取り出される白玉の個数 $X$ は「超幾何分布」に従う.

問題《バナッハのマッチ箱》

 $2$ つのマッチ箱に $n$ 本ずつマッチ棒が入っている. 無作為にいずれかのマッチ箱を取り出して中のマッチ棒を $1$ 本だけ使うという操作を繰り返す. 空のマッチ箱を初めて取り出した時点で残っているマッチ棒の本数を $X$ とおき, $0 \leqq k \leqq n$ なる各整数 $k$ に対して $X = k$ となる確率を $p_k$ とおく.
(1)
$0 \leqq k \leqq n$ のとき, $p_k$ を求めよ.
(2)
$0 \leqq k \leqq n$ のとき, $\dfrac{p_{k+1}}{p_k}$ を求めよ. ただし, $p_{n+1} = 0$ と定める.
(3)
$X$ の期待値 $E(X)$ を求めよ.
実戦素朴$2021/09/11$$2022/05/09$

解答例

(1)
一方のマッチ箱から $2n-k$ 回の操作で $n$ 本のマッチ棒を使い (確率は ${}_{2n-k}\mathrm C_n\left(\dfrac{1}{2}\right) ^n\left(\dfrac{1}{2}\right) ^{n-k}$), 最後にそのマッチ箱を取り出す (確率は $\dfrac{1}{2}$)と, 操作は終了して, 残りが $k$ 本になる. このマッチ箱の選び方は $2$ 通りあるから, \[ p_k = 2\cdot {}_{2n-k}\mathrm C_n\left(\frac{1}{2}\right) ^n\left(\frac{1}{2}\right) ^{n-k}\cdot\frac{1}{2} = \frac{{}_{2n-k}\mathrm C_n}{2^{2n-k}}\] である.
(2)
$0 \leqq k \leqq n-1$ のとき \[\begin{aligned} \frac{p_{k+1}}{p_k} &= \frac{{}_{2n-k-1}\mathrm C_n}{2^{2n-k-1}}\cdot\frac{2^{2n-k}}{{}_{2n-k}\mathrm C_n} = \frac{{}_{2n-k-1}\mathrm C_n}{{}_{2n-k}\mathrm C_n}\cdot\frac{2^{2n-k}}{2^{2n-k-1}} \\ &= \frac{(2n-k-1)!}{n!(n-k-1)!}\cdot\frac{n!(n-k)!}{(2n-k)!}\cdot 2 = \frac{2(n-k)}{2n-k} \end{aligned}\] である. これは $k = n$ のときも成り立つから, $0 \leqq k \leqq n$ のとき \[\frac{p_{k+1}}{p_k} = \frac{2(n-k)}{2n-k} \quad \cdots [1]\] である.
(3)
$[1]$ から, $0 \leqq k \leqq n$ のとき, \[ (2n-k)p_{k+1} = 2(n-k)p_k\] が成り立つ. 辺々を加えると \[\begin{aligned} \sum_{k = 0}^n(2n-k)p_{k+1} &= \sum_{k = 0}^n2(n-k)p_k \\ \sum_{k = 0}^n\{ (2n+1)-(k+1)\} p_{k+1} &= \sum_{k = 0}^n2(n-k)p_k \\ (2n+1)\sum_{k = 0}^np_{k+1}-\sum_{k = 0}^n(k+1)p_{k+1} &= 2n\sum_{k = 0}^np_k-2\sum_{k = 0}^nkp_k \\ (2n+1)(1-p_0)-E(X) &= 2n-2E(X) \end{aligned}\] $\left(\because\sum_{k = 0}^np_k = 1,\ p_{n+1} = 0,\ 0\cdot p_0 = 0\right)$ となるから, \[\begin{aligned} E(X) &= 2n-(2n+1)(1-p_0) \\ &= 2n-(2n+1)+(2n+1)p_0 \\ &= \frac{(2n+1){}_{2n}\mathrm C_n}{2^{2n}}-1 \quad \left(\because p_0 = \dfrac{{}_{2n}\mathrm C_n}{2^{2n}}\right) \end{aligned}\] である.

参考

 本問は「バナッハのマッチ箱の問題」(Banach's matchbox problem) として知られている.

期待値の線形性

定理《期待値の線形性》

 確率変数 $X,$ $Y,$ 実数 $c$ に対して, \[\begin{aligned} E(cX) &= cE(X), \\ E(X+Y) &= E(X)+E(Y) \end{aligned}\] が成り立つ.

証明

 $X,$ $Y$ が離散型確率変数の場合に示す. $X$ のとり得る値を $x_1,$ $\cdots,$ $x_m,$ $Y$ のとり得る値を $y_1,$ $\cdots,$ $y_n$ とすると, 期待値の定義により \[\begin{aligned} E(cX) &= \sum_{k = 1}^mcx_kP(X = x_k) \\ &= c\sum_{k = 1}^mx_kP(X = x_k) \\ &= cE(X), \\ E(X+Y) &= \sum_{k = 1}^m\sum_{l = 1}^n(x_k+y_l)P(X = x_k,Y = y_l) \\ &= \sum_{k = 1}^m\sum_{l = 1}^nx_kP(X = x_k,Y = y_l) \\ &\quad +\sum_{k = 1}^m\sum_{l = 1}^ny_lP(X = x_k,Y = y_l) \\ &= \sum_{k = 1}^mx_k\sum_{l = 1}^nP(X = x_k,Y = y_l) \\ &\quad +\sum_{l = 1}^ny_l\sum_{k = 1}^mP(X = x_k,Y = y_l) \\ &= \sum_{k = 1}^mx_kP(X = x_k)+\sum_{l = 1}^ny_lP(Y = y_l) \\ &= E(X)+E(Y) \end{aligned}\] が得られる.

問題《二項分布に従う確率変数の期待値》

 $n$ を正の整数, $p$ を $0 \leqq p \leqq 1$ なる実数として, 確率変数 $X$ が二項分布に従う, つまり \[ P(X = k) = {}_n\mathrm C_k\,p^n(1-p)^{n-k} \quad (0 \leqq k \leqq n)\] であるとする. \[ E(X) = np\] であることを示せ. 必要であれば, $1 \leqq k \leqq n$ なる各整数 $k$ に対して二項係数の「くくり出し公式」$k\,{}_n\mathrm C_k = n\,{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}$ が成り立つこと (こちらを参照) は, 証明なしに使ってよい.
標準定理$2022/01/20$$2022/01/21$

解答例

 確率変数 $X$ は \[ P(X_k = 0) = 1-p, \quad P(X_k = 1) = p\] なる確率変数 $X_k$ $(1 \leqq k \leqq n)$ を用いて \[ X = X_1+\cdots +X_n\] と表せる. \[ E(X_k) = 0\cdot (1-p)+1\cdot p = p\] であるから, \[\begin{aligned} E(X) &= E(X_1+\cdots +X_n) = E(X_1)+\cdots +E(X_n) \\ &= p+\cdots +p = np \end{aligned}\] である.

別解

 二項係数の「くくり出し公式」と二項定理により, \[\begin{aligned} E(X) &= \sum_{k = 0}^nkP(X = k) \\ &= \sum_{k = 0}^nk\,{}_n\mathrm C_k\,p^k(1-p)^{n-k} \\ &= \sum_{k = 1}^nk\,{}_n\mathrm C_k\,p^k(1-p)^{n-k} \\ &= \sum_{k = 1}^nn\,{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}\,p^k(1-p)^{n-k} \\ &= np\sum_{k = 1}^n{}_{n-1}\mathrm C_{k-1}\,p^{k-1}(1-p)^{(n-1)-(k-1)} \\ &= np\sum_{l = 0}^n{}_{n-1}\mathrm C_l\,p^l(1-p)^{(n-1)-l} \\ &= np\{ p+(1-p)\} ^{n-1} \\ &= np\cdot 1^{n-1} = np \end{aligned}\] が成り立つ.

問題《夫婦円卓問題》

 $n$ を $2$ 以上の整数とする. $n$ 組の夫婦 $2n$ 人が, 男女交互に, それ以外は無作為に円卓の周りに座る. このとき, 隣どうしに座る夫婦の総数を $X$ とおく. また, 席に $1$ から $2n$ までの番号をつけて, 各番号 $k$ $(1 \leqq k \leqq 2n)$ に対して, 番号 $k$ の席に座る人とその右隣に座る人が夫婦であるとき $X_k = 1,$ そうでないとき $X_k = 0$ と定める.
(1)
$X_k$ の期待値 $E(X_k)$ $(1 \leqq k \leqq 2n)$ を求めよ.
(2)
$X$ の期待値 $E(X)$ を求めよ.
標準素朴$2021/09/08$$2022/05/09$

解答例

(1)
番号 $k$ の席に座る人とその右隣に座る人が夫婦である確率は $\dfrac{1}{n},$ そうでない確率は $\dfrac{n-1}{n}$ であるから, \[ E(X_k) = 0\cdot\frac{n-1}{n}+1\cdot\frac{1}{n} = \frac{1}{n}\] である.
(2)
$n \geqq 2$ に注意すると, 隣どうしに座る夫婦の総数 $X$ は右隣に伴侶が座る人の総数に等しいから, \[ X = X_1+\cdots +X_{2n}\] が成り立つ. よって, \[\begin{aligned} E(X) &= E(X_1+\cdots +X_{2n}) = E(X_1)+\cdots +E(X_{2n}) \\ &= 2n\cdot\frac{1}{n} = 2 \end{aligned}\] である.

参考

 本問の類の問題は, しばしば「夫婦円卓問題」と呼ばれる. 特に, E・リュカにより提起された, $n$ 組の夫婦 $2n$ 人が男女交互にどの夫婦も隣どうしにならないように円卓の周りに座る方法は何通りあるかという ménage problem が有名である.

問題《ポリアの壺の中の白玉の個数の期待値》

 最初, 壺の中に白玉が $a$ 個, 黒玉が $b$ 個だけ入っている. 壺の中から無作為に玉を $1$ 個取り出して, その玉と同じ色の玉を $c$ 個だけ壺の中に入れ, 取り出した玉も戻すという試行を繰り返す. $n$ 回目に白玉を取り出す確率は $\dfrac{a}{a+b}$ であることが知られている (こちらを参照). $n$ 回目の試行後に壺に入っている白玉の個数 $X$ の期待値を求めよ.
標準素朴$2024/02/15$$2024/02/17$

解答例

 $k$ 回目 ($1 \leqq k \leqq n$) の試行で取り出される白玉の個数を $X_k$ とおく. このとき, \[ E(X_k) = 0\cdot\left( 1-\frac{a}{a+b}\right) +1\cdot\frac{a}{a+b} = \frac{a}{a+b}\] であり, $n$ 回目の試行後に壺に入っている白玉の個数は \[ X = a+\sum_{k = 1}^ncX_k\] であるから, 求める期待値は \[\begin{aligned} E(X) &= E\left( a+\sum_{k = 1}^ncX_k\right) = a+c\sum_{k = 1}^nE(X_k) \\ &= a+nc\cdot\frac{a}{a+b} = a\left( 1+\frac{cn}{a+b}\right) \end{aligned}\] である.

参考

 最初に色 $1$ の玉が $a_1$ 個, $\cdots,$ 色 $r$ の玉が $a_r$ 個だけ入っていた壺の中から無作為に玉を $1$ 個取り出して, その玉と同じ色の玉を $c$ 個だけ壺の中に入れ, 取り出した玉も戻すという試行を繰り返すとき, $n$ 回目の試行後に壺に入っている色 $i$ の玉の個数の期待値は $a_i\left( 1+\dfrac{cn}{a_1+\cdots +a_r}\right)$ である.

問題《共分散と分散の公式》

 確率変数 $X,$ $Y$ に対して, \[\begin{aligned} \sigma (X,Y) &= E(\{ X-E(X)\}\{ Y-E(Y)\} ), \\ V(X) &= E(\{ X-E(X)\} ^2) \end{aligned}\] と定める. 「期待値の線形性」$E(aX+bY) = aE(X)+bE(Y)$ と $E(c) = c$ ($a,$ $b,$ $c$: 定数) を使って, \[\begin{aligned} \sigma (X,Y) &= E(XY)-E(X)E(Y), \\ V(X) &= E(X^2)-E(X)^2 \end{aligned}\] が成り立つことを示せ.
標準素朴$2022/03/09$$2022/03/10$

解答例

 「期待値の線形性」と $E(c) = c$ ($c$: 定数) により, \[\begin{aligned} &\sigma (X,Y) = E(\{ X-E(X)\}\{ Y-E(Y)\} ) \\ &= E(XY-X\cdot E(Y)-E(X)\cdot Y+E(X)E(Y)) \\ &= E(XY)-E(X)\cdot E(Y)-E(X)\cdot E(Y)+E(X)E(Y) \\ &= E(XY)-E(X)E(Y) \end{aligned}\] が成り立つ. ここで $X = Y$ とすると, \[ V(X) = \sigma (X,X) = E(X^2)-E(X)^2\] が得られる.
問題一覧 (確率)確率の基本 反復試行の確率
条件付き確率 期待値(新課程)