有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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三角関数の合成

三角関数の合成

定理≪三角関数の合成≫

 実数 $a,$ $b$ に対して, $(a,b) \neq (0,0)$ ならば, $\alpha$ を \[\cos\alpha = \frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}, \quad \sin\alpha = \frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\] を満たす角として \[ a\sin\theta +b\cos\theta = \sqrt{a^2+b^2}\sin (\theta +\alpha )\] が成り立つ.

証明

 加法定理により, \begin{align*} &a\sin\theta +b\cos\theta \\ &= \sqrt{a^2+b^2}\left(\sin\theta\cdot\frac{a}{\sqrt{a^2+b^2}}+\cos\theta\cdot\frac{b}{\sqrt{a^2+b^2}}\right) \\ &= \sqrt{a^2+b^2}(\sin\theta\cos\alpha +\cos\theta\sin\alpha ) \\ &= \sqrt{a^2+b^2}\sin (\theta +\alpha ) \end{align*} が成り立つ.

問題≪円周に内接する長方形の周長の最大値≫

 単位円に内接し, 辺が座標軸に平行である長方形について, 第 $1$ 象限上の頂点の座標を $(\cos\theta,\sin\theta )$ $\left( 0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}\right)$ とおき, 周の長さを $L$ とおく. 次の問いに答えよ.
(1)
$L$ を $\theta$ の関数で表せ.
(2)
$L$ の最大値を求めよ.

解答例

(1)
長方形の $4$ つの頂点は $(\pm\cos\theta,\pm\sin\theta )$ (複号任意)であるから, 周の長さ $L$ は \[ L = 4\sin\theta +4\cos\theta\] と表される.
(2)
\begin{align*} L &= 4\sqrt 2\left(\sin\theta\cdot\frac{1}{\sqrt 2}+\cos\theta\cdot\frac{1}{\sqrt 2}\right) \\ &= 4\sqrt 2\sin\left(\theta +\frac{\pi}{4}\right) \end{align*} であり, $0 < \theta < \dfrac{\pi}{2}$ から $\dfrac{\pi}{4} < \theta +\dfrac{\pi}{4} < \dfrac{3}{4}\pi$ であるから, $L$ は $\theta +\dfrac{\pi}{4} = \dfrac{\pi}{2}$ つまり $\theta = \dfrac{\pi}{4}$ のとき(正方形のとき), 最大値 $4\sqrt 2$ をとる.

背景

 単位円周に内接する $n$ 角形 $\mathrm P_1\cdots\mathrm P_n$ のうち, 周の長さ $L$ が最大になるものは正 $n$ 角形である. 実際, $\mathrm P_{n+1} = \mathrm P_1$ として, $\theta _k = \dfrac{1}{2}\angle\mathrm P_k\mathrm O\mathrm P_{k+1}$ とおくと, \begin{align*} L &= \sum_{k = 1}^n\mathrm P_k\mathrm P_{k+1} = \sum_{k = 1}^n2\sin\theta _k = 2n\sum_{k = 1}^n\frac{\sin\theta _k}{n} \\ &\leqq 2n\sin\left(\sum_{k = 1}^n\frac{\theta _k}{n}\right) = 2n\sin\frac{\pi}{n} \end{align*} となる. ここで, 不等号は $\sin\theta$ $(0 < \theta < \pi )$ のグラフが上に凸(数学 III)であることから「イェンゼンの不等式」により成り立ち, 等号成立は $\theta _1 = \cdots = \theta _n$ のとき(正 $n$ 角形のとき)に限る.