a, b, c, d (a=0) を複素数とする.
- (1)
- 2 次方程式 ax2+bx+c=0 の 2 解が α, β であるためには,
α+β=−ab,αβ=ac
の成り立つことが必要十分である.
- (2)
- 3 次方程式 ax3+bx2+cx+d=0 の 3 解が α, β, γ であるためには,
α+β+γ=−ab, αβ+βγ+γα=ac, αβγ=−ad
の成り立つことが必要十分である.
証明
a(x−α)(x−β), a(x−α)(x−β)(x−γ) を展開して係数を比較することによりわかる (解の公式を使う必要はない).
2 次方程式
ax2+bx+c=0 (
a, b, c: 定数,
a>0) の解の公式を, 解と係数の関係を利用して導け.
標準定理2019/12/132019/12/13
解答例
2 次方程式
ax2+bx+c=0 ⋯[∗] の
2 解を
α, β (α≧β) とおく.
解と係数の関係により,
α+β=−ab ⋯[1],αβ=ac
が成り立つ.
よって,
α−β=(α+β)2−4αβ=(−ab)2−4⋅ac=a2b2−4ac=ab2−4ac⋯[2]
であるので,
([1]+[2])÷2, ([1]−[2])÷2 から,
α=2a−b+b2−4ac,β=2a−b−b2−4ac
が得られる.
よって,
[∗] の解は
x=2a−b±b2−4ac である.
整数係数
2 次方程式
x2−px+q=0 が実数解
α, β (α>β) をもつとし, 各正の整数
n に対して
xn=αn+βn,yn=α−βαn−βn
と定める.
また,
D=p2−4q とおく.
- (1)
- p, q を用いて α+β, αβ, α−β を表せ.
- (2)
- 等式
x1y1=p,=1,x2y2=p2−2q,=p,xn+2yn+2=pxn+1−qxn=pyn+1−qyn
が成り立つことを示せ.
- (3)
- 等式
xn2−Dyn2=4qn
が成り立つことを示せ.
標準定理2023/11/152023/11/18
解答例
- (1)
- 解と係数の関係により
α+β=p⋯[1],αβ=q⋯[2]
であるから,
(α−β)2=(α+β)2−4αβ=p2−4q
が成り立つ.
また, 2 次方程式 x2−px+q=0 が異なる 2 つの実数解をもつことから p2−4q>0 であるので,
α−β=p2−4q⋯[3]
が成り立つ.
- (2)
- 定義と [1], [2] により
x1x2y1y2=α+β=p,=α2+β2=(α+β)2−2αβ=p2−2q,=α−βα−β=1,=α−βα2−β2=α+β=p
であり,
αn+2+βn+2αn+2−βn+2=(αn+1+βn+1)(α+β)−αβ(αn+βn),=(αn+1−βn+1)(α+β)−αβ(αn−βn)
であるから
xn+2=pxn+1−qxn,yn+2=pyn+1−qyn
が成り立つ.
- (3)
- [3] により ynD=yn(α−β)=αn−βn であるから,
xn2−Dyn2=(xn+ynD)(xn−ynD)={(αn+βn)+(αn−βn)}{(αn+βn)−(αn−βn)}=2αn⋅2βn=4(αβ)n=4qn
が成り立つ.
参考
- 上記のように定まる数列 {xn}, {yn} は「一般リュカ数列」(generalized Lucas sequence) と呼ばれる.
(2) の初期値, 漸化式で定義しても同じ数列が得られる.
- p が偶数のとき, xn は常に偶数である.
- p=1, q=−1 のとき, {xn} は「リュカ数列」(Lucas sequence), {yn} は「フィボナッチ数列」(Fibonacci sequence) として知られている (こちらを参照).
- p=2, q=−1 のとき, {xn} は「同伴ペル数列」(companion Pell sequence), {yn} は「ペル数列」(Pell sequence) として知られており, xn2−8yn2=4(−1)n が成り立つ.
xn=2hn とおくと, hn2−2yn2=(−1)n が成り立つ.
つまり, (x,y)=(hn,yn) は「ペル方程式」(Pell's equation) ∣x2−2y2∣=1 を満たす (こちらを参照).
a, b, c を
a>b>c>0 なる実数とし,
α を
2 次方程式
ax2+bx+c=0 の解とする.
このとき,
∣α∣<1 であることを, 次の場合に分けて示せ.
- (i)
- α が実数であるとき.
- (ii)
- α が虚数であるとき.
標準先例2018/11/232022/05/17
解答例
ax2+bx+c=0 のもう
1 つの解を
β とおく.
解と係数の関係により
α+β=−ab⋯[1],αβ=ac⋯[2]
が成り立つ.
- (i)
- α が実数であるとき.
β も実数である.
[1], [2] と a, b, c>0 から α+β<0, αβ>0 であり, よって α, β<0 である.
したがって, a>b から
∣α∣<∣α∣+∣β∣=∣α+β∣=ab<1
が成り立ち, ∣α∣<1 が得られる.
- (ii)
- α が虚数であるとき.
β=αˉ であるので, [2] と a>c から
∣α∣2=ααˉ=αβ=ac<1
が成り立ち, ∣α∣<1 が得られる.
よって, (i), (ii) いずれの場合にも
∣α∣<1 である.
参考
一般に,
an>⋯>a1>a0>0 のとき,
n 次方程式
anxn+⋯+a1x+a0=0 の解
α の絶対値は
1 未満であることが
「エネストレーム=掛谷の定理」(Eneström–Kakeya Theorem) として知られている.
d を
1 以外の平方数で割り切れない整数とする.
Q を有理数全体の集合とし, 集合
K を
K={a1+a2d∣a1, a2∈Q}
で定める.
α=a1+a2d∈K (a1, a2∈Q) のとき,
α~T(α)N(α)=a1−a2d,=α+α~=2a1,=αα~=a12−da22
とおく.
また,
Z を整数全体の集合とし, 集合
O を
K の要素のうち最高次の係数が
1 である
2 次以下の整数係数方程式の解であるもの全体とする.
次のことを示せ.
偶数, 奇数の
2 乗を
4 で割った余りがそれぞれ
0, 1 であること, 有理数
x に対して
dx2∈Z⟹x∈Z が成り立つこと(
こちらを参照) は, 証明なしに用いてよい.
- (1)
- O={α∈K∣T(α), N(α)∈Z}⋯[∗]
である.
- (2)
- d≡2, 3(mod4) のとき,
O={a1+a2d∣a1, a2∈Z}⋯[∗]′
である.
- (3)
- d≡1(mod4) のとき,
O={2a1+a2d∣a1, a2∈Z, a1≡a2 (mod 2)}⋯[∗]′′
である.
発展定理2023/02/042023/02/08
解答例
- (1)
- α=a1+a2d∈K とする.
- (i)
- a2=0 のとき.
α は有理数であり, 1 次方程式 x−α=0 の解であるから,
α∈O⟺α∈Z⟺T(α)=2α, N(α)=α2∈Z
が成り立つ.
- (ii)
- a2=0 のとき.
α は無理数である.
α=a1+a2d を解にもつ有理数係数 2 次方程式は α~=a1−a2d も解にもつから,
α を解にもつ 2 次方程式の 1 つは
(x−α)(x−α~)x2−(α+α~)x+αα~x2−T(α)x+N(α)=0=0=0
である.
よって,
α∈O⟺T(α), N(α)∈Z
が成り立つ.
(i), (ii) から, [∗] が成り立つ.
- (2)
- d≡2, 3(mod4) とする.
[∗]′ の右辺を O′ とおく.
- O′⊂O は, a1, a2∈Z のとき
T(a1+a2d)N(a1+a2d)=2a1∈Z,=a12−da22∈Z
であることから従う.
- O⊂O′ を示すため, α=a1+a2d∈O (a1, a2∈Q) とする.
このとき, (1) により, T(α)=2a1, N(α)=a12−da22 は整数である.
よって,
4N(α)=(2a1)2−d(2a2)2
は整数であるから, d(2a2)2 は整数, したがって 2a2 は整数である.
そこで, b1=2a1, b2=2a2 とおく.
このとき,
a12−da22=4b12−db22
は整数であるから, b12−db22 は 4 の倍数である.
- (i)
- b1 が偶数, b2 が奇数のとき.
b12−db22≡−d≡1, 2≡0(mod4)
となって矛盾.
- (ii)
- b1 が奇数, b2 が偶数のとき.
b12−db22≡1≡0(mod4)
となって矛盾.
- (iii)
- b1 が奇数, b2 が奇数のとき.
b12−db22≡1−d≡2, 3≡0(mod4)
となって矛盾.
よって, b1, b2 は偶数, したがって a1, a2 は整数であるから, α∈O′ である.
以上から, [∗]′ が成り立つ.
- (3)
- d≡1(mod4) とする.
[∗]′′ の右辺を O′′ とおく.
- O′′⊂O は, a1, a2∈Z, a1≡a2 (mod 2) のとき
T(2a1+a2d)N(2a1+a2d)=a1∈Z,=4a12−da22∈Z
であることから従う.
ここで,
a12−da22≡a12−a22≡{0−01−1(a1≡a2≡0 (mod 2)),(a1≡a2≡1 (mod 2))≡0(mod4)
であることに注意する.
- O⊂O′′ を示すため, α=x1+x2d∈O (x1, x2∈Q) とする.
このとき, (1) により, T(α)=2x1, N(α)=x12−dx22 は整数である.
よって,
4N(α)=(2x1)2−d(2x2)2
は整数であるから, d(2x2)2 は整数, したがって 2x2 は整数である.
そこで, 2x1=a1, 2x2=a2 とおく.
このとき,
x12−dx22=4a12−da22
は整数であるから, a12−da22 は 4 の倍数である.
- (i)
- a1 が偶数, a2 が奇数のとき.
a12−da22≡0−1⋅1≡3≡0(mod4)
となって矛盾.
- (ii)
- a1 が奇数, a2 が偶数のとき.
a12−da22≡1−1⋅0=1≡0(mod4)
となって矛盾.
よって, a1≡a2 (mod 2) であるから, α=2a1+a2d∈O′′ である.
以上から, [∗]′′ が成り立つ.
参考
- 四則演算が定義され, 交換法則, 結合法則, 分配法則を満たす数の集合で, 複数の要素をもつものを「体」(field) と呼ぶ.
例えば, 有理数全体 Q は通常の四則演算に関して「体」をなす.
これを「有理数体」(field of rational numbers) と呼ぶ.
現代数学において, 方程式論は「体」の理論,「体論」として展開されている.
- 平方数でない整数 d に対して, Q と x2=d の解 x=±d を含む最小の「体」は K={a1+a2d∣a1,a2∈Q} であることが知られている.
この形の「体」を「2 次体」(quadratic field) と呼ぶ.
関数 T(α), N(α) (α∈K) はそれぞれ「トレース写像」(trace map), 「ノルム写像」(norm map) と呼ばれる.
- 「2 次体」のように,「体」K の要素を係数とする多項式 f(x) に対して,
K と方程式 f(x)=0 の解を含む最小の「体」を f(x) の K 上の「最小分解体」(smallest splitting field) と呼ぶ.
ある有理数係数多項式の Q 上の「最小分解体」を「代数体」(algebraic field) と呼ぶ.
- 最高次の係数が 1 のある整数係数多項式 f(x) について, f(x)=0 の解になる複素数は「代数的整数」(algebraic integer) と呼ばれる.
「代数体」K に属する「代数的整数」全体は K の「整数環」(ring of integers) と呼ばれる (こちらも参照).
- (A)
- x, y, z の方程式
x2+y2+z2=3xyz(x, y≦z)⋯[∗]
について, 次の問いに答えよ.
- (1)
- [∗] の正の整数解を 1 つ求めよ.
- (2)
- (x,y,z)=(a,b,c) を [∗] の正の整数解とする.
このとき, (x,y,z)=(b,c,d) が [∗] の正の整数解になるような整数 d が存在することを示せ.
- (3)
- [∗] の正の整数解は無限に存在することを示せ.
- (B)
- x, y, z の方程式
(x+y)2+(y+z)2+(z+x)2=12xyz(x, y≦z)⋯[∗]
について, 次の問いに答えよ.
- (1)
- [∗] の正の整数解を 1 つ求めよ.
- (2)
- (x,y,z)=(a,b,c) を [∗] の正の整数解とする.
このとき, (x,y,z)=(b,c,d) が [∗] の正の整数解になるような整数 d が存在することを示せ.
- (3)
- [∗] の正の整数解は無限に存在することを示せ.
(参考: Y. Gyoda, “Positive integer solutions to
(x+y)2+(y+z)2+(z+x)2=12xyz,”
2021)
実戦定理2022/01/312025/01/27
解答例
- (A)
- (1)
- (x,y,z)=(1,1,1) は [∗] の正の整数解である.
- (2)
- x の 2 次方程式
x2+b2+c2=3xbc
つまり
x2−3bcx+b2+c2=0
は解 x=a をもつ.
よって, この 2 次方程式のもう 1 つの解 x=d は, 解と係数の関係により
a+d=3bc
を満たし,
d=3bc−a
と表される.
また,
d−c=(3bc−a)−c=(3b−1)c−a≧2c−a(∵b≧1)>0(∵c≧a)
から 0<b≦c<d であるので, (x,y,z)=(b,c,3bc−a) は [∗] の正の整数解である.
- (3)
- 数列 {xn}, {yn}, {zn} を初期条件 x1=y1=z1=1 と連立漸化式
⎩⎪⎪⎨⎪⎪⎧xn+1=yn,yn+1=zn,zn+1=3ynzn−xn
で定めると, zn<zn+1 となるから, 無限に多くの, [∗] の正の整数解 (x,y,z)=(xn,yn,zn) (n≧1) が得られる.
- (B)
- (1)
- (x,y,z)=(1,1,1) は [∗] の正の整数解である.
- (2)
- x の 2 次方程式
(x+b)2+(b+c)2+(c+x)2=12xbc
つまり
x2−(6bc−b−c)x+b2+bc+c2=0
は解 x=a をもつ.
よって, この 2 次方程式のもう 1 つの解 x=d は, 解と係数の関係により
a+d=6bc−b−c
を満たし,
d=6bc−a−b−c
と表される.
また,
d−c=(6bc−a−b−c)−c=(3b−1)2c−a−b≧2⋅2sc−a−b(∵b≧1)=(2c−a)+(2c−b)>0(∵c≧a, b)
から 0<b≦c<d であるので, (x,y,z)=(b,c,6bc−a−b−c) は [∗] の正の整数解である.
- (3)
- 数列 {xn}, {yn}, {zn} を初期条件 x1=y1=z1=1 と連立漸化式
⎩⎪⎪⎨⎪⎪⎧xn+1=yn,yn+1=zn,zn+1=6ynzn−xn−yn−zn
で定めると, zn<zn+1 となるから, 無限に多くの, [∗] の正の整数解 (x,y,z)=(xn,yn,zn) (n≧1) が得られる.
参考
- (A) の方程式 x2+y2+z2=3xyz を「マルコフ方程式」(Markov equation) と呼び, その正の整数解を「マルコフの 3 つ組」(Markov triple) と呼ぶ.
すべての「マルコフの 3 つ組」は, (1,1,1) から, x,y,z の置換と (x,y,z) を (y,z,3yz−x) に対応させる変換の組合せにより構成できることが知られており, x≦y≦z とすると次のような図にまとめられる.
この図を「マルコフ木」(Markov tree) と呼ぶ.
ここで, (x,y,z) を (x,z,3xz−y) または (y,z,3yz−x) に変換すると z の値は大きくなり, (3xy−z,x,y) に変換して必要に応じて並べ替えると z の値は小さくなる.
「マルコフの 3 つ組」(x,y,z) (x≦y≦z) において, z の値はすべて異なるという予想がある.
- {Fn} を「フィボナッチ数列」(こちらを参照), {Pn} を「ペル数列」(こちらを参照) とする.
すべての正の整数 n に対して,
(1,F2n−1,F2n+1),(2,P2n−1,P2n+1)
は「マルコフの 3 つ組」である.
実際,
(1,F1,F3)=(1,1,2),(2,P1,P3)=(2,1,5)
は「マルコフの 3 つ組」であり, (x,y,z)=(1,F2n−1,F2n+1), (2,P2n−1,P2n+1) (n: 正の整数) が「マルコフの 3 つ組」であるとすると (x,z,3xz−y) つまり
(1,F2n+1,3⋅1⋅F2n+1−F2n−1)(1,P2n+1,3⋅2⋅P2n+1−P2n−1)=(1,F2n+1,F2n+3),=(2,P2n+1,P2n+3)
も「マルコフの 3 つ組」になるから, 数学的帰納法によりこの主張が成り立つ.
ここで, 恒等式
F2n+3=3F2n+1−F2n−1,P2n+3=6P2n+1−P2n−1
を使った (こちらを参照).
- 「マルコフの 3 つ組」に現れる整数を「マルコフ数」と呼ぶ.
「マルコフ数」は有理数による実数の近似の問題に現れる:
任意の実数 a に対して,
∣∣∣∣∣a−qp∣∣∣∣∣≦5q21
を満たす有理数 qp (p, q: 整数, q>0) が無限に存在する.
この近似の精度が最も悪くなるのは,「黄金数」21+5 のように「連分数展開」の「部分商」がすべて 1 の場合である.
そのような実数を除くと, 上記の不等式は
∣∣∣∣∣a−qp∣∣∣∣∣≦8q21
に改めることができる.
この近似の精度が最も悪くなるのは, 2 のように「連分数展開」の「部分商」がすべて 2 の場合である.
そのような実数を除くと, 上記の不等式は
∣∣∣∣∣a−qp∣∣∣∣∣≦25221q21
に改めることができる.
同様の改善を続けていくときに現れる定数 5, 8, 25221, ⋯ は「ラグランジュ数」と呼ばれ, 一般に「マルコフ数」m を用いて
9−m24
と表されることが知られている (参考: J・H・コンウェイ, R・K・ガイ著, 根上生也訳,『数の本』, 丸善出版, 2012).
- 「マルコフの方程式」は「フルヴィッツの方程式」x12+⋯+xn2=cx1⋯xn の特別な場合である.
c>n のとき整数解は存在せず, 1≦c≦n のときすべての整数解は有限個の整数解から生成されること, 特に c=n のときすべての整数解は (x1,⋯,xn)=(1,⋯,1) から生成されることが知られている.
- (B) の方程式 (x+y)2+(y+z)2+(z+x)2=12xyz の正の整数解について, 最近「マルコフ方程式」と類似の定理が発見された (行田康晃, 2021 年).
この方程式のすべての正の整数解は, (1,1,1) から, x,y,z の置換と (x,y,z) を (y,z,6yz−x−y−z) に対応させる変換の組合せにより構成できることが知られており, x≦y≦z とすると次のような図にまとめられる.
s, p を正の有理数 (
p: 有理数の平方でない) とし,
s+2p が
a+b (
a, b: 正の有理数) の形に表されるとする.
このとき,
s2−4p は有理数の平方であることを示せ.
標準定理2022/10/282022/10/29
解答例
a+b=(a+b)2=a+b+2ab
であるから,
s+2p が
a+b の形に表されるとき, ある有理数
a, b の和が
s, 積が
p になる.
このとき,
a, b は
2 次方程式
x2−sx+p=0
の有理数解になるから, その判別式
s2−4p は有理数の平方になる.
参考
- 正の有理数 s, p (p: 有理数の平方でない) に対して, s±2p が a±b (a, b: 有理数, a>b>0) の形に表されるためには, s2−4p が有理数の平方であることが必要十分である (こちらも参照).
- ab=c2 (c: 正の有理数) であるとき,
a±b=a±aca=aa±ca=a(a±c)2
は 1 つの有理数の平方根として表される.
- ab が有理数の平方でないとき, a, b の少なくとも一方は無理数であり, a±b は 1 つの有理数の平方根にはまとめられない.
3 次方程式
x3+3px+2q=0 (
p, q: 実数) が解
x=α, β, γ をもつとする.
- (1)
- p, q を用いて α2+β2+γ2, α2β2+β2γ2+γ2α2 を表せ.
- (2)
- p, α を用いて (γ−α)(α−β) を表せ.
- (3)
- p, q を用いて (α−β)2(β−γ)2(γ−α)2 を表せ.
実戦定理2021/05/182022/05/17
解答例
- (1)
- 解と係数の関係により
α+β+γαβ+βγ+γααβγ=0⋯[1],=3p⋯[2],=−2q⋯[3]
が成り立つから,
α2+β2+γ2=(α+β+γ)2−2(αβ+βγ+γα)=02−2⋅3p=−6p,α2β2+β2γ2+γ2α2=(αβ+βγ+γα)2−2αβγ(α+β+γ)=(3p)2−2⋅(−2q)⋅0=9p2
である.
- (2)
- [1], [2] から,
(γ−α)(α−β)=−(α−β)(α−γ)=−α2+(β+γ)α−βγ=−α2+(−α)α−{3p−α(β+γ)}=−α2−α2−3p+α(−α)=−3(α2+p)
が成り立つ.
- (3)
- (2) と同様に
(α−β)(β−γ)(β−γ)(γ−α)=−3(β2+p),=−3(γ2+p)
も成り立つから,
(α−β)2(β−γ)2(γ−α)2=(γ−α)(α−β)⋅(α−β)(β−γ)⋅(β−γ)(γ−α)=−27(α2+p)(β2+p)(γ2+p)=−27{(αβγ)2+p(α2β2+β2γ2+γ2α2)+p2(α2+β2+γ2)+p3}=−27{(−2q)2+p⋅9p2+p2⋅(−6p)+p3}=−27(4p3+4q2)=−108(p3+q2)
である.
参考
- 重複度込みで n 個の解 α1, ⋯, αn をもつ n 次方程式 anxn+⋯+a1x+a0=0 の「判別式」(discriminant) D は
D=an2n−21≦k<l≦n∏(αk−αl)2
で定義される.
ここで, 1≦k<l≦n∏(αk−αl)2 は 1≦k<l≦n なるすべての番号の組 (k,l) にわたる (αk−αl)2 の積を意味する.
D=0 ⟺ [∗] が重解をもつ
が成り立つ.
- 3 次方程式 a3x3+a2x2+a1x+a0=0 ⋯[∗] (ak: 複素数) の「判別式」D は
D=18a3a2a1a0−4a3a13−27a32a02+a22a12−4a23a0
である.
実数係数のとき, 次のことが知られている (こちらを参照).
- D>0 のとき, [∗] は 3 個の相異なる実数解をもつ.
- D<0 のとき, [∗] は 1 個の実数解と 1 組の共役な虚数解をもつ.
- 3 次方程式 x3+a2x2+a1x+a0=0 (ak: 実数) は, x=X−3a2 とすると, X3+3pX+2q=0 (p, q: 実数) の形に変形できる.
この変数の置き換えは「カルダーノ変換」(Cardano's transformation) と呼ばれる.