有名問題・定理から学ぶ数学

Well-Known Problems and Theorems in Mathematics

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解と係数の関係

解と係数の関係

定理《方程式の解と係数の関係》

 a,a, b,b, c,c, dd (a0)(a \neq 0) を複素数とする.
(1)
22 次方程式 ax2+bx+c=0ax^2+bx+c = 022 解が α,\alpha, β\beta であるためには, α+β=ba,αβ=ca\alpha +\beta = -\frac{b}{a}, \quad \alpha\beta = \frac{c}{a} の成り立つことが必要十分である.
(2)
33 次方程式 ax3+bx2+cx+d=0ax^3+bx^2+cx+d = 033 解が α,\alpha, β,\beta, γ\gamma であるためには, α+β+γ=ba, αβ+βγ+γα=ca, αβγ=da\alpha +\beta +\gamma =-\frac{b}{a},\ \alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha = \frac{c}{a},\ \alpha\beta\gamma = -\frac{d}{a} の成り立つことが必要十分である.

証明

 a(xα)(xβ),a(x-\alpha )(x-\beta ), a(xα)(xβ)(xγ)a(x-\alpha )(x-\beta )(x-\gamma ) を展開して係数を比較することによりわかる (解の公式を使う必要はない).

問題《22 次方程式の解の公式》

 22 次方程式 ax2+bx+c=0ax^2+bx+c = 0 (a,a, b,b, cc: 定数, a>0a > 0) の解の公式を, 解と係数の関係を利用して導け.
標準定理2019/12/132019/12/132019/12/132019/12/13

解答例

 22 次方程式 ax2+bx+c=0 []ax^2+bx+c = 0\ \cdots [*]22 解を α,\alpha, β\beta (αβ)(\alpha \geqq \beta ) とおく. 解と係数の関係により, α+β=ba [1],αβ=ca\alpha +\beta = -\frac{b}{a}\ \cdots [1], \quad \alpha\beta = \frac{c}{a} が成り立つ. よって, αβ=(α+β)24αβ=(ba)24ca=b24aca2=b24aca[2]\begin{aligned} \alpha -\beta &= \sqrt{(\alpha +\beta )^2-4\alpha\beta} \\ &= \sqrt{\left( -\frac{b}{a}\right) ^2-4\cdot\frac{c}{a}} = \sqrt{\frac{b^2-4ac}{a^2}} \\ &= \frac{\sqrt{b^2-4ac}}{a} \quad \cdots [2] \end{aligned} であるので, ([1]+[2])÷2,([1]+[2])\div 2, ([1][2])÷2([1]-[2])\div 2 から, α=b+b24ac2a,β=bb24ac2a\alpha = \frac{-b+\sqrt{b^2-4ac}}{2a}, \quad \beta = \frac{-b-\sqrt{b^2-4ac}}{2a} が得られる. よって, [][*] の解は x=b±b24ac2ax = \dfrac{-b\pm\sqrt{b^2-4ac}}{2a} である.

問題《一般リュカ数列の恒等式》

 整数係数 22 次方程式 x2px+q=0x^2-px+q = 0 が実数解 α,\alpha, β\beta (α>β)(\alpha > \beta ) をもつとし, 各正の整数 nn に対して xn=αn+βn,yn=αnβnαβ x_n = \alpha ^n+\beta ^n, \quad y_n = \frac{\alpha ^n-\beta ^n}{\alpha -\beta} と定める. また, D=p24qD = p^2-4q とおく.
(1)
p,p, qq を用いて α+β,\alpha +\beta, αβ,\alpha\beta, αβ\alpha -\beta を表せ.
(2)
等式 x1=p,x2=p22q,xn+2=pxn+1qxny1=1,y2=p,yn+2=pyn+1qyn\begin{aligned} x_1 &= p, & x_2 &= p^2-2q, & x_{n+2} &= px_{n+1}-qx_n \\ y_1 &= 1, & y_2 &= p, & y_{n+2} &= py_{n+1}-qy_n \end{aligned} が成り立つことを示せ.
(3)
等式 xn2Dyn2=4qn x_n{}^2-Dy_n{}^2 = 4q^n が成り立つことを示せ.
標準定理2023/11/152023/11/152023/11/182023/11/18

解答例

(1)
解と係数の関係により α+β=p[1],αβ=q[2]\alpha +\beta = p \quad \cdots [1], \qquad \alpha\beta = q \quad \cdots [2] であるから, (αβ)2=(α+β)24αβ=p24q (\alpha -\beta )^2 = (\alpha +\beta )^2-4\alpha\beta = p^2-4q が成り立つ. また, 22 次方程式 x2px+q=0x^2-px+q = 0 が異なる 22 つの実数解をもつことから p24q>0p^2-4q > 0 であるので, αβ=p24q[3]\alpha -\beta = \sqrt{p^2-4q} \quad \cdots [3] が成り立つ.
(2)
定義と [1],[1], [2][2] により x1=α+β=p,x2=α2+β2=(α+β)22αβ=p22q,y1=αβαβ=1,y2=α2β2αβ=α+β=p\begin{aligned} x_1 &= \alpha +\beta = p, \\ x_2 &= \alpha ^2+\beta ^2 = (\alpha +\beta )^2-2\alpha\beta = p^2-2q, \\ y_1 &= \frac{\alpha -\beta}{\alpha -\beta} = 1, \\ y_2 &= \dfrac{\alpha ^2-\beta ^2}{\alpha -\beta} = \alpha +\beta = p \end{aligned} であり, αn+2+βn+2=(αn+1+βn+1)(α+β)αβ(αn+βn),αn+2βn+2=(αn+1βn+1)(α+β)αβ(αnβn)\begin{aligned} \alpha ^{n+2}+\beta ^{n+2} &= (\alpha ^{n+1}+\beta ^{n+1})(\alpha +\beta )-\alpha\beta (\alpha ^n+\beta ^n), \\ \alpha ^{n+2}-\beta ^{n+2} &= (\alpha ^{n+1}-\beta ^{n+1})(\alpha +\beta )-\alpha\beta (\alpha ^n-\beta ^n) \end{aligned} であるから xn+2=pxn+1qxn,yn+2=pyn+1qyn x_{n+2} = px_{n+1}-qx_n, \quad y_{n+2} = py_{n+1}-qy_n が成り立つ.
(3)
[3][3] により ynD=yn(αβ)=αnβny_n\sqrt D = y_n(\alpha -\beta ) = \alpha ^n-\beta ^n であるから, xn2Dyn2=(xn+ynD)(xnynD)={(αn+βn)+(αnβn)}{(αn+βn)(αnβn)}=2αn2βn=4(αβ)n=4qn\begin{aligned} &x_n{}^2-Dy_n{}^2 = (x_n+y_n\sqrt D)(x_n-y_n\sqrt D) \\ &= \{ (\alpha ^n+\beta ^n)+(\alpha ^n-\beta ^n)\}\{ (\alpha ^n+\beta ^n)-(\alpha ^n-\beta ^n)\} \\ &= 2\alpha ^n\cdot 2\beta ^n = 4(\alpha\beta )^n = 4q^n \end{aligned} が成り立つ.

参考

  • 上記のように定まる数列 {xn},\{ x_n\}, {yn}\{ y_n\}「一般リュカ数列」(generalized Lucas sequence) と呼ばれる. (2) の初期値, 漸化式で定義しても同じ数列が得られる.
  • pp が偶数のとき, xnx_n は常に偶数である.
  • p=1,p = 1, q=1q = -1 のとき, {xn}\{ x_n\}「リュカ数列」(Lucas sequence), {yn}\{ y_n\}「フィボナッチ数列」(Fibonacci sequence) として知られている (こちらを参照).
  • p=2,p = 2, q=1q = -1 のとき, {xn}\{ x_n\}「同伴ペル数列」(companion Pell sequence), {yn}\{ y_n\}「ペル数列」(Pell sequence) として知られており, xn28yn2=4(1)nx_n{}^2-8y_n{}^2 = 4(-1)^n が成り立つ. xn=2hnx_n = 2h_n とおくと, hn22yn2=(1)nh_n{}^2-2y_n{}^2 = (-1)^n が成り立つ. つまり, (x,y)=(hn,yn)(x,y) = (h_n,y_n)「ペル方程式」(Pell's equation) x22y2=1|x^2-2y^2| = 1 を満たす (こちらを参照).

問題《掛谷流の 22 次方程式の解の評価》

 a,a, b,b, cca>b>c>0a > b > c > 0 なる実数とし, α\alpha22 次方程式 ax2+bx+c=0ax^2+bx+c = 0 の解とする. このとき, α<1|\alpha | < 1 であることを, 次の場合に分けて示せ.
(i)
α\alpha が実数であるとき.
(ii)
α\alpha が虚数であるとき.
標準先例2018/11/232018/11/232022/05/172022/05/17

解答例

 ax2+bx+c=0ax^2+bx+c = 0 のもう 11 つの解を β\beta とおく. 解と係数の関係により α+β=ba[1],αβ=ca[2]\alpha +\beta = -\frac{b}{a} \quad \cdots [1], \quad \alpha\beta = \frac{c}{a} \quad \cdots [2] が成り立つ.
(i)
α\alpha が実数であるとき. β\beta も実数である. [1],[1], [2][2]a,a, b,b, c>0c > 0 から α+β<0,\alpha+\beta < 0, αβ>0\alpha\beta > 0 であり, よって α,\alpha, β<0\beta < 0 である. したがって, a>ba > b から α<α+β=α+β=ba<1 |\alpha | < |\alpha |+|\beta | = |\alpha +\beta | = \frac{b}{a} < 1 が成り立ち, α<1|\alpha | < 1 が得られる.
(ii)
α\alpha が虚数であるとき. β=αˉ\beta = \bar\alpha であるので, [2][2]a>ca > c から α2=ααˉ=αβ=ca<1 |\alpha |^2 = \alpha\bar\alpha = \alpha\beta = \frac{c}{a} < 1 が成り立ち, α<1|\alpha | < 1 が得られる.
よって, (i), (ii) いずれの場合にも α<1|\alpha | < 1 である.

参考

 一般に, an>>a1>a0>0a_n > \cdots > a_1 > a_0 > 0 のとき, nn 次方程式 anxn++a1x+a0=0a_nx^n+\cdots +a_1x+a_0 = 0 の解 α\alpha の絶対値は 11 未満であることが「エネストレーム=掛谷の定理」(Eneström–Kakeya Theorem) として知られている.

問題《22 次体の整数環》

 dd11 以外の平方数で割り切れない整数とする. Q\mathbb Q を有理数全体の集合とし, 集合 KKK={a1+a2da1, a2Q} K = \{ a_1+a_2\sqrt d \mid a_1,\ a_2 \in \mathbb Q\} で定める. α=a1+a2dK\alpha = a_1+a_2\sqrt d \in K (a1, a2Q)(a_1,\ a_2 \in \mathbb Q) のとき, α~=a1a2d,T(α)=α+α~=2a1,N(α)=αα~=a12da22\begin{aligned} \tilde\alpha &= a_1-a_2\sqrt d, \\ T(\alpha ) &= \alpha +\tilde\alpha = 2a_1, \\ N(\alpha ) &= \alpha\tilde\alpha = a_1{}^2-da_2{}^2 \end{aligned} とおく. また, Z\mathbb Z を整数全体の集合とし, 集合 OOKK の要素のうち最高次の係数が 11 である 22 次以下の整数係数方程式の解であるもの全体とする. 次のことを示せ. 偶数, 奇数の 22 乗を 44 で割った余りがそれぞれ 0,0, 11 であること, 有理数 xx に対して dx2ZxZdx^2 \in \mathbb Z \Longrightarrow x \in \mathbb Z が成り立つこと(こちらを参照) は, 証明なしに用いてよい.
(1)
O={αKT(α), N(α)Z}[] O = \{\alpha \in K \mid T(\alpha ),\ N(\alpha ) \in \mathbb Z\} \quad \cdots [\ast ] である.
(2)
d2, 3(mod4)d \equiv 2,\ 3 \pmod 4 のとき, O={a1+a2da1, a2Z}[] O = \{ a_1+a_2\sqrt d \mid a_1,\ a_2 \in \mathbb Z\} \quad \cdots [\ast ]' である.
(3)
d1(mod4)d \equiv 1 \pmod 4 のとき, O={a1+a2d2a1, a2Z, a1a2 (mod 2)}[] O = \left\{\frac{a_1+a_2\sqrt d}{2} \mid a_1,\ a_2 \in \mathbb Z,\ a_1 \equiv a_2\ (\text{mod}\ 2)\right\} \quad \cdots [\ast ]'' である.
発展定理2023/02/042023/02/042023/02/082023/02/08

解答例

(1)
α=a1+a2dK\alpha = a_1+a_2\sqrt d \in K とする.
(i)
a2=0a_2 = 0 のとき. α\alpha は有理数であり, 11 次方程式 xα=0x-\alpha = 0 の解であるから, αO    αZ    T(α)=2α, N(α)=α2Z\begin{aligned} \alpha \in O &\iff \alpha \in \mathbb Z \\ &\iff T(\alpha ) = 2\alpha,\ N(\alpha ) = \alpha ^2 \in \mathbb Z \end{aligned} が成り立つ.
(ii)
a20a_2 \neq 0 のとき. α\alpha は無理数である. α=a1+a2d\alpha = a_1+a_2\sqrt d を解にもつ有理数係数 22 次方程式は α~=a1a2d\tilde\alpha = a_1-a_2\sqrt d も解にもつから, α\alpha を解にもつ 22 次方程式の 11 つは (xα)(xα~)=0x2(α+α~)x+αα~=0x2T(α)x+N(α)=0\begin{aligned} (x-\alpha )(x-\tilde\alpha ) &= 0 \\ x^2-(\alpha +\tilde\alpha )x+\alpha\tilde\alpha &= 0 \\ x^2-T(\alpha )x+N(\alpha ) &= 0 \end{aligned} である. よって, αO    T(α), N(α)Z\alpha \in O \iff T(\alpha ),\ N(\alpha ) \in \mathbb Z が成り立つ.
(i), (ii) から, [][\ast ] が成り立つ.
(2)
d2, 3(mod4)d \equiv 2,\ 3 \pmod 4 とする. [][\ast ]' の右辺を OO' とおく.
  • OOO' \subset O は, a1,a_1, a2Za_2 \in \mathbb Z のとき T(a1+a2d)=2a1Z,N(a1+a2d)=a12da22Z\begin{aligned} T(a_1+a_2\sqrt d) &= 2a_1 \in \mathbb Z, \\ N(a_1+a_2\sqrt d) &= a_1{}^2-da_2{}^2 \in \mathbb Z \end{aligned} であることから従う.
  • OOO \subset O' を示すため, α=a1+a2dO\alpha = a_1+a_2\sqrt d \in O (a1, a2Q)(a_1,\ a_2 \in \mathbb Q) とする. このとき, (1) により, T(α)=2a1,T(\alpha ) = 2a_1, N(α)=a12da22N(\alpha ) = a_1{}^2-da_2{}^2 は整数である. よって, 4N(α)=(2a1)2d(2a2)2 4N(\alpha ) = (2a_1)^2-d(2a_2)^2 は整数であるから, d(2a2)2d(2a_2)^2 は整数, したがって 2a22a_2 は整数である. そこで, b1=2a1,b_1 = 2a_1, b2=2a2b_2 = 2a_2 とおく. このとき, a12da22=b12db224 a_1{}^2-da_2{}^2 = \frac{b_1{}^2-db_2{}^2}{4} は整数であるから, b12db22b_1{}^2-db_2{}^244 の倍数である.
    (i)
    b1b_1 が偶数, b2b_2 が奇数のとき. b12db22d1, 2≢0(mod4) b_1{}^2-db_2{}^2 \equiv -d \equiv 1,\ 2 \not\equiv 0 \pmod 4 となって矛盾.
    (ii)
    b1b_1 が奇数, b2b_2 が偶数のとき. b12db221≢0(mod4) b_1{}^2-db_2{}^2 \equiv 1 \not\equiv 0 \pmod 4 となって矛盾.
    (iii)
    b1b_1 が奇数, b2b_2 が奇数のとき. b12db221d2, 3≢0(mod4) b_1{}^2-db_2{}^2 \equiv 1-d \equiv 2,\ 3 \not\equiv 0 \pmod 4 となって矛盾.
    よって, b1,b_1, b2b_2 は偶数, したがって a1,a_1, a2a_2 は整数であるから, αO\alpha \in O' である.
以上から, [][\ast ]' が成り立つ.
(3)
d1(mod4)d \equiv 1 \pmod 4 とする. [][\ast ]'' の右辺を OO'' とおく.
  • OOO'' \subset O は, a1,a_1, a2Z,a_2 \in \mathbb Z, a1a2 (mod 2)a_1 \equiv a_2\ (\text{mod}\ 2) のとき T(a1+a2d2)=a1Z,N(a1+a2d2)=a12da224Z\begin{aligned} T\left(\frac{a_1+a_2\sqrt d}{2}\right) &= a_1 \in \mathbb Z, \\ N\left(\frac{a_1+a_2\sqrt d}{2}\right) &= \frac{a_1{}^2-da_2{}^2}{4} \in \mathbb Z \end{aligned} であることから従う. ここで, a12da22a12a22{00(a1a20 (mod 2)),11(a1a21 (mod 2))0(mod4)\begin{aligned} a_1{}^2-da_2{}^2 &\equiv a_1{}^2-a_2{}^2 \equiv \begin{cases} 0-0 & (a_1 \equiv a_2 \equiv 0\ (\text{mod}\ 2)), \\ 1-1 & (a_1 \equiv a_2 \equiv 1\ (\text{mod}\ 2)) \end{cases} \\ &\equiv 0 \pmod 4 \end{aligned} であることに注意する.
  • OOO \subset O'' を示すため, α=x1+x2dO\alpha = x_1+x_2\sqrt d \in O (x1, x2Q)(x_1,\ x_2 \in \mathbb Q) とする. このとき, (1) により, T(α)=2x1,T(\alpha ) = 2x_1, N(α)=x12dx22N(\alpha ) = x_1{}^2-dx_2{}^2 は整数である. よって, 4N(α)=(2x1)2d(2x2)2 4N(\alpha ) = (2x_1)^2-d(2x_2)^2 は整数であるから, d(2x2)2d(2x_2)^2 は整数, したがって 2x22x_2 は整数である. そこで, 2x1=a1,2x_1 = a_1, 2x2=a22x_2 = a_2 とおく. このとき, x12dx22=a12da224 x_1{}^2-dx_2{}^2 = \frac{a_1{}^2-da_2{}^2}{4} は整数であるから, a12da22a_1{}^2-da_2{}^244 の倍数である.
    (i)
    a1a_1 が偶数, a2a_2 が奇数のとき. a12da220113≢0(mod4) a_1{}^2-da_2{}^2 \equiv 0-1\cdot 1 \equiv 3 \not\equiv 0 \pmod 4 となって矛盾.
    (ii)
    a1a_1 が奇数, a2a_2 が偶数のとき. a12da22110=1≢0(mod4) a_1{}^2-da_2{}^2 \equiv 1-1\cdot 0 = 1 \not\equiv 0 \pmod 4 となって矛盾.
    よって, a1a2 (mod 2)a_1 \equiv a_2\ (\text{mod}\ 2) であるから, α=a1+a2d2O\alpha = \dfrac{a_1+a_2\sqrt d}{2} \in O'' である.
以上から, [][\ast ]'' が成り立つ.

参考

  • 四則演算が定義され, 交換法則, 結合法則, 分配法則を満たす数の集合で, 複数の要素をもつものをたい(field) と呼ぶ. 例えば, 有理数全体 Q\mathbb Q は通常の四則演算に関して「体」をなす. これを「有理数体」(field of rational numbers) と呼ぶ. 現代数学において, 方程式論は「体」の理論,「体論」として展開されている.
  • 平方数でない整数 dd に対して, Q\mathbb Qx2=dx^2 = d の解 x=±dx = \pm\sqrt d を含む最小の「体」は K={a1+a2da1,a2Q}K = \{ a_1+a_2\sqrt d \mid a_1,a_2 \in \mathbb Q\} であることが知られている. この形の「体」を22 次体」(quadratic field) と呼ぶ. 関数 T(α),T(\alpha ), N(α)N(\alpha ) (αK)(\alpha \in K) はそれぞれ「トレース写像」(trace map), 「ノルム写像」(norm map) と呼ばれる.
  • 22 次体」のように,「体」KK の要素を係数とする多項式 f(x)f(x) に対して, KK と方程式 f(x)=0f(x) = 0 の解を含む最小の「体」を f(x)f(x)KK 上の「最小分解体」(smallest splitting field) と呼ぶ. ある有理数係数多項式の Q\mathbb Q 上の「最小分解体」を「代数体」(algebraic field) と呼ぶ.
  • 最高次の係数が 11 のある整数係数多項式 f(x)f(x) について, f(x)=0f(x) = 0 の解になる複素数は「代数的整数」(algebraic integer) と呼ばれる. 「代数体」KK に属する「代数的整数」全体は KK「整数環」(ring of integers) と呼ばれる (こちらも参照).

問題《マルコフの 33 つ組とその類似》

(A)
x,x, y,y, zz の方程式 x2+y2+z2=3xyz(x, yz)[] x^2+y^2+z^2 = 3xyz \quad (x,\ y \leqq z) \quad \cdots [*] について, 次の問いに答えよ.
(1)
[][*] の正の整数解を 11 つ求めよ.
(2)
(x,y,z)=(a,b,c)(x,y,z) = (a,b,c)[][*] の正の整数解とする. このとき, (x,y,z)=(b,c,d)(x,y,z) = (b,c,d)[][*] の正の整数解になるような整数 dd が存在することを示せ.
(3)
[][*] の正の整数解は無限に存在することを示せ.
(参考: 20062006 東京大)
(B)
x,x, y,y, zz の方程式 (x+y)2+(y+z)2+(z+x)2=12xyz(x, yz)[]\begin{aligned} (x+y)^2+(y+z)^2+(z+x)^2 = 12xyz \quad (x,\ y &\leqq z) \\ &\cdots [*] \end{aligned} について, 次の問いに答えよ.
(1)
[][*] の正の整数解を 11 つ求めよ.
(2)
(x,y,z)=(a,b,c)(x,y,z) = (a,b,c)[][*] の正の整数解とする. このとき, (x,y,z)=(b,c,d)(x,y,z) = (b,c,d)[][*] の正の整数解になるような整数 dd が存在することを示せ.
(3)
[][*] の正の整数解は無限に存在することを示せ.
(参考: Y. Gyoda, “Positive integer solutions to
(x+y)2+(y+z)2+(z+x)2=12xyz(x+y)^2+(y+z)^2+(z+x)^2 = 12xyz,” 20212021)
実戦定理2022/01/312022/01/312025/01/272025/01/27

解答例

(A)
(1)
(x,y,z)=(1,1,1)(x,y,z) = (1,1,1)[][*] の正の整数解である.
(2)
xx22 次方程式 x2+b2+c2=3xbc x^2+b^2+c^2 = 3xbc つまり x23bcx+b2+c2=0 x^2-3bcx+b^2+c^2 = 0 は解 x=ax = a をもつ. よって, この 22 次方程式のもう 11 つの解 x=dx = d は, 解と係数の関係により a+d=3bc a+d = 3bc を満たし, d=3bca d = 3bc-a と表される. また, dc=(3bca)c=(3b1)ca2ca(b1)>0(ca)\begin{aligned} d-c &= (3bc-a)-c \\ &= (3b-1)c-a \\ &\geqq 2c-a \quad (\because b \geqq 1)\\ &> 0 \quad (\because c \geqq a) \end{aligned} から 0<bc<d0 < b \leqq c < d であるので, (x,y,z)=(b,c,3bca)(x,y,z) = (b,c,3bc-a)[][*] の正の整数解である.
(3)
数列 {xn},\{ x_n\}, {yn},\{ y_n\}, {zn}\{ z_n\} を初期条件 x1=y1=z1=1x_1 = y_1 = z_1 = 1 と連立漸化式 {xn+1=yn,yn+1=zn,zn+1=3ynznxn\begin{cases} x_{n+1} = y_n, \\ y_{n+1} = z_n, \\ z_{n+1} = 3y_nz_n-x_n \end{cases} で定めると, zn<zn+1z_n < z_{n+1} となるから, 無限に多くの, [][*] の正の整数解 (x,y,z)=(xn,yn,zn)(x,y,z) = (x_n,y_n,z_n) (n1)(n \geqq 1) が得られる.
(B)
(1)
(x,y,z)=(1,1,1)(x,y,z) = (1,1,1)[][*] の正の整数解である.
(2)
xx22 次方程式 (x+b)2+(b+c)2+(c+x)2=12xbc (x+b)^2+(b+c)^2+(c+x)^2 = 12xbc つまり x2(6bcbc)x+b2+bc+c2=0 x^2-(6bc-b-c)x+b^2+bc+c^2 = 0 は解 x=ax = a をもつ. よって, この 22 次方程式のもう 11 つの解 x=dx = d は, 解と係数の関係により a+d=6bcbc a+d = 6bc-b-c を満たし, d=6bcabc d = 6bc-a-b-c と表される. また, dc=(6bcabc)c=(3b1)2cab22scab(b1)=(2ca)+(2cb)>0(ca, b)\begin{aligned} d-c &= (6bc-a-b-c)-c \\ &= (3b-1)2c-a-b \\ &\geqq 2\cdot 2sc-a-b \quad (\because b \geqq 1)\\ &= (2c-a)+(2c-b) \\ &> 0 \quad (\because c \geqq a,\ b) \end{aligned} から 0<bc<d0 < b \leqq c < d であるので, (x,y,z)=(b,c,6bcabc)(x,y,z) = (b,c,6bc-a-b-c)[][*] の正の整数解である.
(3)
数列 {xn},\{ x_n\}, {yn},\{ y_n\}, {zn}\{ z_n\} を初期条件 x1=y1=z1=1x_1 = y_1 = z_1 = 1 と連立漸化式 {xn+1=yn,yn+1=zn,zn+1=6ynznxnynzn\begin{cases} x_{n+1} = y_n, \\ y_{n+1} = z_n, \\ z_{n+1} = 6y_nz_n-x_n-y_n-z_n \end{cases} で定めると, zn<zn+1z_n < z_{n+1} となるから, 無限に多くの, [][*] の正の整数解 (x,y,z)=(xn,yn,zn)(x,y,z) = (x_n,y_n,z_n) (n1)(n \geqq 1) が得られる.

参考

  • (A) の方程式 x2+y2+z2=3xyzx^2+y^2+z^2 = 3xyz「マルコフ方程式」(Markov equation) と呼び, その正の整数解を「マルコフの 33 つ組」(Markov triple) と呼ぶ. すべての「マルコフの 33 つ組」は, (1,1,1)(1,1,1) から, x,y,zx,y,z の置換と (x,y,z)(x,y,z)(y,z,3yzx)(y,z,3yz-x) に対応させる変換の組合せにより構成できることが知られており, xyzx \leqq y \leqq z とすると次のような図にまとめられる. この図を「マルコフ木」(Markov tree) と呼ぶ. ここで, (x,y,z)(x,y,z)(x,z,3xzy)(x,z,3xz-y) または (y,z,3yzx)(y,z,3yz-x) に変換すると zz の値は大きくなり, (3xyz,x,y)(3xy-z,x,y) に変換して必要に応じて並べ替えると zz の値は小さくなる. 「マルコフの 33 つ組」(x,y,z)(x,y,z) (xyz)(x \leqq y \leqq z) において, zz の値はすべて異なるという予想がある.
  • {Fn}\{ F_n\} を「フィボナッチ数列」(こちらを参照), {Pn}\{ P_n\} を「ペル数列」(こちらを参照) とする. すべての正の整数 nn に対して, (1,F2n1,F2n+1),(2,P2n1,P2n+1) (1,F_{2n-1},F_{2n+1}), \quad (2,P_{2n-1},P_{2n+1}) は「マルコフの 33 つ組」である. 実際, (1,F1,F3)=(1,1,2),(2,P1,P3)=(2,1,5) (1,F_1,F_3) = (1,1,2), \quad (2,P_1,P_3) = (2,1,5) は「マルコフの 33 つ組」であり, (x,y,z)=(1,F2n1,F2n+1),(x,y,z) = (1,F_{2n-1},F_{2n+1}), (2,P2n1,P2n+1)(2,P_{2n-1},P_{2n+1}) (nn: 正の整数) が「マルコフの 33 つ組」であるとすると (x,z,3xzy)(x,z,3xz-y) つまり (1,F2n+1,31F2n+1F2n1)=(1,F2n+1,F2n+3),(1,P2n+1,32P2n+1P2n1)=(2,P2n+1,P2n+3)\begin{aligned} (1,F_{2n+1},3\cdot 1\cdot F_{2n+1}-F_{2n-1}) &= (1,F_{2n+1},F_{2n+3}), \\ (1,P_{2n+1},3\cdot 2\cdot P_{2n+1}-P_{2n-1}) &= (2,P_{2n+1},P_{2n+3}) \end{aligned} も「マルコフの 33 つ組」になるから, 数学的帰納法によりこの主張が成り立つ. ここで, 恒等式 F2n+3=3F2n+1F2n1,P2n+3=6P2n+1P2n1 F_{2n+3} = 3F_{2n+1}-F_{2n-1}, \quad P_{2n+3} = 6P_{2n+1}-P_{2n-1} を使った (こちらを参照).
  • 「マルコフの 33 つ組」に現れる整数を「マルコフ数」と呼ぶ. 「マルコフ数」は有理数による実数の近似の問題に現れる: 任意の実数 aa に対して, apq15q2\left| a-\frac{p}{q}\right| \leqq \frac{1}{\sqrt 5q^2} を満たす有理数 pq\dfrac{p}{q} (p,p, qq: 整数, q>0q > 0) が無限に存在する. この近似の精度が最も悪くなるのは,「黄金数」1+52\dfrac{1+\sqrt 5}{2} のように「連分数展開」の「部分商」がすべて 11 の場合である. そのような実数を除くと, 上記の不等式は apq18q2\left| a-\frac{p}{q}\right| \leqq \frac{1}{\sqrt 8q^2} に改めることができる. この近似の精度が最も悪くなるのは, 2\sqrt 2 のように「連分数展開」の「部分商」がすべて 22 の場合である. そのような実数を除くと, 上記の不等式は apq122125q2\left| a-\frac{p}{q}\right| \leqq \frac{1}{\sqrt{\dfrac{221}{25}}q^2} に改めることができる. 同様の改善を続けていくときに現れる定数 5,\sqrt 5, 8,\sqrt 8, 22125,\sqrt{\dfrac{221}{25}}, \cdots「ラグランジュ数」と呼ばれ, 一般に「マルコフ数」mm を用いて 94m2\sqrt{9-\frac{4}{m^2}} と表されることが知られている (参考: J・H・コンウェイ, R・K・ガイ著, 根上生也訳,『数の本』, 丸善出版, 2012).
  • 「マルコフの方程式」は「フルヴィッツの方程式」x12++xn2=cx1xnx_1{}^2+\cdots +x_n{}^2 = cx_1\cdots x_n の特別な場合である. c>nc > n のとき整数解は存在せず, 1cn1 \leqq c \leqq n のときすべての整数解は有限個の整数解から生成されること, 特に c=nc = n のときすべての整数解は (x1,,xn)=(1,,1)(x_1,\cdots,x_n) = (1,\cdots,1) から生成されることが知られている.
  • (B) の方程式 (x+y)2+(y+z)2+(z+x)2=12xyz(x+y)^2+(y+z)^2+(z+x)^2 = 12xyz の正の整数解について, 最近「マルコフ方程式」と類似の定理が発見された (行田康晃, 20212021 年). この方程式のすべての正の整数解は, (1,1,1)(1,1,1) から, x,y,zx,y,z の置換と (x,y,z)(x,y,z)(y,z,6yzxyz)(y,z,6yz-x-y-z) に対応させる変換の組合せにより構成できることが知られており, xyzx \leqq y \leqq z とすると次のような図にまとめられる.

問題《二重根号が外せる条件》

 s,s, pp を正の有理数 (pp: 有理数の平方でない) とし, s+2p\sqrt{s+2\sqrt p}a+b\sqrt a+\sqrt b (a,a, bb: 正の有理数) の形に表されるとする. このとき, s24ps^2-4p は有理数の平方であることを示せ.
標準定理2022/10/282022/10/282022/10/292022/10/29

解答例

a+b=(a+b)2=a+b+2ab\sqrt{a}+\sqrt b = \sqrt{(\sqrt a+\sqrt b)^2} = \sqrt{a+b+2\sqrt{ab}} であるから, s+2p\sqrt{s+2\sqrt p}a+b\sqrt a+\sqrt b の形に表されるとき, ある有理数 a,a, bb の和が s,s, 積が pp になる. このとき, a,a, bb22 次方程式 x2sx+p=0 x^2-sx+p = 0 の有理数解になるから, その判別式 s24ps^2-4p は有理数の平方になる.

参考

  • 正の有理数 s,s, pp (pp: 有理数の平方でない) に対して, s±2p\sqrt{s\pm2\sqrt p}a±b\sqrt a\pm\sqrt b (a,a, bb: 有理数, a>b>0a > b > 0) の形に表されるためには, s24ps^2-4p が有理数の平方であることが必要十分である (こちらも参照).
  • ab=c2ab = c^2 (cc: 正の有理数) であるとき, a±b=a±caa=a±caa=(a±c)2a\sqrt a\pm\sqrt b = \sqrt a\pm\frac{c}{a}\sqrt{a} = \frac{a\pm c}{a}\sqrt a = \sqrt{\frac{(a\pm c)^2}{a}}11 つの有理数の平方根として表される.
  • abab が有理数の平方でないとき, a,\sqrt a, b\sqrt b の少なくとも一方は無理数であり, a±b\sqrt a\pm\sqrt b11 つの有理数の平方根にはまとめられない.

問題《33 次方程式の判別式》

 33 次方程式 x3+3px+2q=0x^3+3px+2q = 0 (p,p, qq: 実数) が解 x=α,x = \alpha, β,\beta, γ\gamma をもつとする.
(1)
p,p, qq を用いて α2+β2+γ2,\alpha ^2+\beta ^2+\gamma ^2, α2β2+β2γ2+γ2α2\alpha ^2\beta ^2+\beta ^2\gamma ^2+\gamma ^2\alpha ^2 を表せ.
(2)
p,p, α\alpha を用いて (γα)(αβ)(\gamma -\alpha )(\alpha -\beta ) を表せ.
(3)
p,p, qq を用いて (αβ)2(βγ)2(γα)2(\alpha -\beta )^2(\beta -\gamma )^2(\gamma -\alpha )^2 を表せ.
実戦定理2021/05/182021/05/182022/05/172022/05/17

解答例

(1)
解と係数の関係により α+β+γ=0[1],αβ+βγ+γα=3p[2],αβγ=2q[3]\begin{aligned} \alpha +\beta +\gamma &= 0 \quad \cdots [1], \\ \alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha &= 3p \quad \cdots [2], \\ \alpha\beta\gamma &= -2q \quad \cdots [3] \end{aligned} が成り立つから, α2+β2+γ2=(α+β+γ)22(αβ+βγ+γα)=0223p=6p,α2β2+β2γ2+γ2α2=(αβ+βγ+γα)22αβγ(α+β+γ)=(3p)22(2q)0=9p2\begin{aligned} &\alpha ^2+\beta ^2+\gamma ^2 \\ &= (\alpha +\beta +\gamma )^2-2(\alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha ) \\ &= 0^2-2\cdot 3p \\ &= -6p, \\ &\alpha ^2\beta ^2+\beta ^2\gamma ^2+\gamma ^2\alpha ^2 \\ &= (\alpha\beta +\beta\gamma +\gamma\alpha )^2-2\alpha\beta\gamma (\alpha +\beta +\gamma ) \\ &= (3p)^2-2\cdot (-2q)\cdot 0 \\ &= 9p^2 \end{aligned} である.
(2)
[1],[1], [2][2] から, (γα)(αβ)=(αβ)(αγ)=α2+(β+γ)αβγ=α2+(α)α{3pα(β+γ)}=α2α23p+α(α)=3(α2+p)\begin{aligned} &(\gamma -\alpha )(\alpha -\beta ) = -(\alpha -\beta )(\alpha -\gamma ) \\ &= -\alpha ^2+(\beta +\gamma )\alpha -\beta\gamma \\ &= -\alpha ^2+(-\alpha )\alpha -\{ 3p-\alpha (\beta +\gamma )\} \\ &= -\alpha ^2-\alpha ^2-3p+\alpha (-\alpha ) \\ &= -3(\alpha ^2+p) \end{aligned} が成り立つ.
(3)
(2) と同様に (αβ)(βγ)=3(β2+p),(βγ)(γα)=3(γ2+p)\begin{aligned} (\alpha -\beta )(\beta -\gamma ) &= -3(\beta ^2+p), \\ (\beta -\gamma )(\gamma -\alpha ) &= -3(\gamma ^2+p) \end{aligned} も成り立つから, (αβ)2(βγ)2(γα)2=(γα)(αβ)(αβ)(βγ)(βγ)(γα)=27(α2+p)(β2+p)(γ2+p)=27{(αβγ)2+p(α2β2+β2γ2+γ2α2)+p2(α2+β2+γ2)+p3}=27{(2q)2+p9p2+p2(6p)+p3}=27(4p3+4q2)=108(p3+q2)\begin{aligned} &(\alpha -\beta )^2(\beta -\gamma )^2(\gamma -\alpha )^2 \\ &= (\gamma -\alpha )(\alpha -\beta )\cdot (\alpha -\beta )(\beta -\gamma )\cdot (\beta -\gamma )(\gamma -\alpha ) \\ &= -27(\alpha ^2+p)(\beta ^2+p)(\gamma ^2+p) \\ &= -27\{ (\alpha\beta\gamma )^2+p(\alpha ^2\beta ^2+\beta ^2\gamma ^2+\gamma ^2\alpha ^2) \\ &\qquad +p^2(\alpha ^2+\beta ^2+\gamma ^2)+p^3\} \\ &= -27\{ (-2q)^2+p\cdot 9p^2+p^2\cdot (-6p)+p^3\} \\ &= -27(4p^3+4q^2) \\ &= -108(p^3+q^2) \end{aligned} である.

参考

  • 重複度込みで nn 個の解 α1,\alpha _1, ,\cdots, αn\alpha _n をもつ nn 次方程式 anxn++a1x+a0=0a_nx^n+\cdots +a_1x+a_0 = 0「判別式」(discriminant) DDD=an2n21k<ln(αkαl)2 D = a_n{}^{2n-2}\prod _{1 \leqq k < l \leqq n}(\alpha _k-\alpha _l)^2 で定義される. ここで, 1k<ln(αkαl)2\displaystyle\prod _{1 \leqq k < l \leqq n}(\alpha _k-\alpha _l)^21k<ln1 \leqq k < l \leqq n なるすべての番号の組 (k,l)(k,l) にわたる (αkαl)2(\alpha _k-\alpha _l)^2 の積を意味する.
    D=0D = 0     \iff [][*] が重解をもつ
    が成り立つ.
  • 33 次方程式 a3x3+a2x2+a1x+a0=0 []a_3x^3+a_2x^2+a_1x+a_0 = 0\ \cdots [*] (aka_k: 複素数) の「判別式」DDD=18a3a2a1a04a3a1327a32a02+a22a124a23a0 D = 18a_3a_2a_1a_0-4a_3a_1{}^3-27a_3{}^2a_0{}^2+a_2{}^2a_1{}^2-4a_2{}^3a_0 である. 実数係数のとき, 次のことが知られている (こちらを参照).
    • D>0D > 0 のとき, [][*]33 個の相異なる実数解をもつ.
    • D<0D < 0 のとき, [][*]11 個の実数解と 11 組の共役な虚数解をもつ.
  • 33 次方程式 x3+a2x2+a1x+a0=0x^3+a_2x^2+a_1x+a_0 = 0 (aka_k: 実数) は, x=Xa23x = X-\dfrac{a_2}{3} とすると, X3+3pX+2q=0X^3+3pX+2q = 0 (p,p, qq: 実数) の形に変形できる. この変数の置き換えは「カルダーノ変換」(Cardano's transformation) と呼ばれる.
問題一覧 (複素数と方程式)複素数 解と係数の関係
剰余の定理・因数定理 高次方程式
最終更新日: 2025 年 1 月 27 日