ある実数値連続関数
f(t), g(t) (a≦t≦b)に対して
x=f(t),y=g(t)(a≦t≦b)
で定義される点
(x,y) 全体のなす集合を
平面曲線 (plane curve) または単に
曲線と呼ぶ.
平面曲線
C:x=f(t), y=g(t) (a≦t≦b) に対して,
C 上の任意個の点
Pk(f(tk),g(tk)),a=t0<t1<⋯<tn=b
を順に結ぶ折れ線の長さ
k=1∑nPk−1Pk
の「上限」(どの折れ線の長さよりも大きい実数の最小値) が存在するとき, その値を
C の
長さ (length) と呼ぶ.
- (1)
- 閉区間 [a,b] で連続で開区間 (a,b) で微分可能な実数値関数 f(t), g(t) の導関数が連続であるとき,
平面曲線 x=f(t), y=g(t) (a≦t≦b) の長さ L は
L=∫abf′(t)2+g′(t)2dt
である.
- (2)
- 閉区間 [a,b] で連続で開区間 (a,b) で微分可能な実数値関数 f(x) の導関数が連続であるとき,
f(x) のグラフ y=f(x) (a≦x≦b) の長さ L は
L=∫ab1+f′(x)2dx
である.
- (3)
- 閉区間 [a,b] で連続で開区間 (a,b) で微分可能な実数値関数 r(θ) の導関数が連続であるとき,
極方程式 r=r(θ) (a≦θ≦b) で表された曲線の長さ L は
L=∫abr′(θ)2+r(θ)2dθ
である.
2022/06/23
証明
- (2)
- (1) において f(t), g(t) をそれぞれ t, f(t) に置き換えると, 求める等式が得られる.
- (3)
- x=r(θ)cosθ, y=r(θ)sinθ とおく.
このとき,
dθdxdθdy=r′(θ)cosθ−r(θ)sinθ,=r′(θ)sinθ+r(θ)cosθ
となり,
(dθdx)2+(dθdy)2={r′(θ)cosθ−r(θ)sinθ}2+{r′(θ)sinθ+r(θ)cosθ}2=r′(θ)2(cos2θ+sin2θ)+r(θ)2(cos2θ+sin2θ)=r′(θ)2+r(θ)2
となるから,
L=∫abr′(θ)2+r(θ)2dθ
が成り立つ.
サイクロイド
x=θ−sinθ,y=1−cosθ(0≦θ≦2π)
の長さ
L を求めよ.
標準先例2017/01/162022/06/23
解答例
x=θ−sinθ, y=1−cosθ を
θ で微分すると
dθdx=1−cosθ,dθdy=sinθ
となるから
(dθdx)2+(dθdy)2=(1−cosθ)2+sin2θ=1−2cosθ+cos2θ+sin2θ=2−2cosθ=4sin22θ
であり,
0≦θ≦2π において
sin2θ≧0 である.
ゆえに, 求める長さは,
L=∫02π(dθdx)2+(dθdy)2dθ=∫02π4sin22θdθ=2∫02πsin2θdθ=2[−2cos2θ]02π=2⋅(−2)(−1−1)=8
である.
カージオイド
x=(1+cosθ)cosθ,y=(1+cosθ)sinθ(−π≦θ≦π)
の長さ
L を求めよ.
標準先例2017/01/082022/06/23
解答例
x=(1+cosθ)cosθ, y=(1+cosθ)sinθ を
θ で微分すると
dθdxdθdy=(−sinθ)cosθ+(1+cosθ)(−sinθ)=−2sinθcosθ−sinθ=−sin2θ−sinθ,=(−sinθ)sinθ+(1+cosθ)cosθ=(cos2θ−sin2θ)+cosθ=cos2θ+cosθ
となるから
(dθdx)2+(dθdy)2=(−sin2θ−sinθ)2+(cos2θ+cosθ)2=sin22θ+2sin2θsinθ+sin2θ+cos22θ+2cos2θcosθ+cos2θ=2+2cos(2θ−θ)=2(1+cosθ)=4cos22θ
であり,
−π≦θ≦π において
cos2θ≧0 である.
ゆえに, 求める長さは,
L=∫02π(dθdx)2+(dθdy)2dθ=∫−ππ4cos22θdθ=2∫−ππcos2θdθ=4∫0πcos2θdθ=4[2sin2θ]0π=4⋅2(1−0)=8
である.
別解
この曲線は極方程式
r=1+cosθ(−π≦θ≦π)
で表されるから, 求める長さは,
L=∫−ππr2+(dθdr)2dθ=∫−ππ(1+cosθ)2+(−sinθ)2dθ=∫−ππ1+2cosθ+cos2θ+sin2θdθ=∫−ππ2(1+cosθ)dθ=∫−ππ4cos22θdθ=2∫−ππcos2θdθ=4∫0πcos2θdθ=4[2sin2θ]0π=4⋅2(1−0)=8
である.
アストロイド
x=cos3θ,y=sin3θ(0≦θ≦2π)
の長さ
L を求めよ.
標準先例2014/11/262022/06/23
解答例
cos3(2π−θ)=cos3θ,sin3(2π−θ)=−sin3θ
から曲線は
x 軸に関して対称,
cos3(π−θ)=−cos3θ,sin3(π−θ)=sin3θ
から曲線は
y 軸に関して対称である.
よって,
L=4∫02π(dθdx)2+(dθdy)2dθ
である.
x=cos3θ, y=sin3θ を
θ で微分すると
dθdx=−3cos2θsinθ,dθdy=3sin2θcosθ
となるから
(dθdx)2+(dθdy)2=(−3cos2θsinθ)2+(3sin2θcosθ)2=9cos4θsin2θ+9sin4θcos2θ=9sin2θcos2θ(cos2θ+sin2θ)=49(2sinθcosθ)2=49sin22θ
であり,
0≦θ≦2π において
sin2θ≧0 である.
ゆえに, 求める長さは,
L=4∫02π49sin22θdθ=4⋅23∫02πsin2θdθ=6[−2cos2θ]02π=−3(−1−1)=6
である.
一端が原点
O(0, 0) に固定された伸び縮みのしない長さ
2π の細いひもがある.
他端
P が点
A(2π,0) 上にある状態から,
ひもを円周
C:x2+(y−1)2=1 上に反時計回りにたるみなく巻きつける.
- (1)
- 円周 C の中心を B とおき, C 上の点 Q までひもを巻きつけたとき, θ=∠OBQ とおく.
θ を用いて OP を表せ.
- (2)
- 点 P が描く曲線の長さ L を求めよ.
標準素朴2019/07/202022/06/23
解答例
- (1)
- ∠OBQ=θ のとき Q(sinθ,1−cosθ) であるから,
BQ=OQ−OB=(sinθ,1−cosθ)−(0,1)=(sinθ,−cosθ)
で, この単位法線ベクトルは
±(cosθ,sinθ)
である.
QP は n=(cosθ,sinθ) を PQ=OA−OQ⌢=2π−θ 倍に伸ばしたベクトルであるから,
OP=OQ+QP=OQ+(2π−θ)n=(sinθ,1−cosθ)+(2π−θ)(cosθ,sinθ)=(sinθ+(2π−θ)cosθ,1−cosθ+(2π−θ)sinθ)
である.
- (2)
- xy=sinθ+(2π−θ)cosθ,=1−cosθ+(2π−θ)sinθ とおくと,
dθdxdθdy=cosθ−cosθ+(2π−θ)(−sinθ)=−(2π−θ)sinθ,=sinθ−sinθ+(2π−θ)cosθ=(2π−θ)cosθ
となる.
よって, 求める曲線の長さは,
L=∫02π(dθdx)2+(dθdy)2dθ=∫02π(2π−θ)dθ=[2πθ−2θ2]02π=2π2
である.
参考
伸び縮みのしないひもをある図形にたるみなく巻きつけていくとき, またはそれをたるみなくほどいていくとき, ひもの先端が描く軌跡はその図形の「伸開線」または「インボリュート」(involute) と呼ばれる.
- (A)
- (1)
- 実数全体を定義域とする関数 f(x)=log(x+1+x2) について, 導関数 f′(x) を求めよ.
- (2)
- 極方程式 r=θ で定義される曲線の, 0≦θ≦2π の部分の長さ L を求めよ.
- (B)
- 極方程式 r=eθ で定義される曲線の, 0≦θ≦2π の部分の長さ L を求めよ.
実戦先例2014/11/272022/06/23
解答例
- (A)
- (1)
- {logu(x)}′=u(x)u′(x) から,
f′(x)=x+1+x21+21+x22x=x+1+x21+x21+x2+x=1+x21
である.
- (2)
- 曲線 r=θ (0≦θ≦2π) について,
x=rcosθ, y=rsinθ とおく.
このとき,
dθdx=cosθ−θsinθ,dθdy=sinθ+θcosθ,(dθdx)2+(dθdy)2=1+θ2
から
L2L=∫02π1+θ2dθ=[θ1+θ2]02π−∫02π1+θ2θ2dθ=2π1+4π2−∫02π1+θ21+θ2−1dθ=2π1+4π2−L+∫02π1+θ2dθ,=2π1+4π2+[log(θ+1+θ2)]02π=2π1+4π2+log(2π+1+4π2)
であるので, 求める長さは
L=π1+4π2+21log(2π+1+4π2)
である.
- (B)
- 曲線 r=eθ (0≦θ≦2π) について,
x=rcosθ, y=rsinθ とおく.
このとき,
dθdx=eθ(cosθ−sinθ),dθdy=eθ(sinθ+cosθ),(dθdx)2+(dθdy)2=e2θ(cosθ−sinθ)2+e2θ(sinθ+cosθ)2=2e2θ
となるので, 求める長さは
L=∫02π2eθdθ=2[eθ]02π=2(e2π−1)
である.
別解
- (A)
- (2)
- 求める曲線の長さは
L=∫02π(dθdr)2+r2dθ=∫02π1+θ2dθ
で, 以下同様である.
- (B)
- 求める曲線の長さは,
L=∫02π(dθdr)2+r2dθ=∫02πe2θ+e2θdθ=2∫02πeθdθ=2[eθ]02π=2(e2π−1)
である.
f(x)=2ex+e−x とおき, 曲線
y=f(x) の点
P(t,f(t)) (t≧0) における接線に点
H(t,0) から下ろした垂線の足を
Q とおく.
次のことを示せ.
- (1)
- 曲線 y=f(x) の点 A(0,f(0)) から P までの弧長 AP⌢ は f′(t) に等しい.
- (2)
- AP⌢=PQ が成り立つ.
(参考: 室蘭工業大)
標準先例2016/07/062022/06/23
解答例
- (1)
- f′(x)=2ex−e−x, f′′(x)=2ex+e−x=f(x)≧0 から
1+f′(x)2=1+(2ex−e−x)2=1+4e2x−2+e−2x=4e2x+2+e−2x=(2ex+e−x)2=f(x)2=f′′(x)2
であるので,
AP⌢=∫0t1+f′(x)2dx=∫0tf′′(x)dx=[f′(x)]0t=f′(t)
が成り立つ.
- (2)
- 直線 QH は点 (t,0) を通り, 接線 PQ に垂直であるから, その方程式は
y=−f′(t)1(x−t) つまり x+f′(t)y−t=0 |
である.
よって, 点 P(t,f(t)) と直線 QH の距離について
PQ=1+f′(t)2∣t+f′(t)f(t)−t∣=f(t)f′(t)f(t)=f′(t)=AP⌢(∵(1))
が成り立つ.
参考
両端を固定して鎖を垂らしたときにできる曲線は,
「懸垂線」または
「カテナリー」(catenary) と呼ばれ,
y=acoshax (a>0) で表される.
ここで,
coshx=2ex+e−x は
「双曲線関数」(hypabolic function) である.
その名の通り,
sinhx=2ex−e−x との間には,
(coshx)2−(sinhx)2=1 という関係がある.
- (1)
- 不定積分 ∫x2+a2dx を求めよ.
(ヒント: t=x+x2+a2 と置換する.)
- (2)
- 不定積分 ∫x2+a2dx を求めよ.
(ヒント: x2+a2=(x)′x2+a2 と考える.)
- (3)
- 放物線 y=x2 (0≦x≦1) の長さ L を求めよ.
実戦先例2020/04/212022/06/24
解答例
- (1)
- t=x+x2+a2 とおくと,
dxdt=1+2x2+a22x=x2+a2t
よって
x2+a21⋅dtdx=t1
となるから, 求める不定積分は
∫x2+a2dx=∫tdt=logt+C=log(x+x2+a2)+C
(C: 積分定数) である.
- (2)
- ∫x2+a2dx=∫(x)′x2+a2dx=xx2+a2−∫x⋅2x2+a22xdx=xx2+a2−∫x2+a2(x2+a2)−a2dx=xx2+a2−∫x2+a2dx+a2∫x2+a2dx
と (1) の結果により,
∫x2+a2dx=21(xx2+a2+a2∫x2+a2dx)=21{xx2+a2+a2log(x+x2+a2)}+C
(C: 積分定数) である.
- (3)
- (2) の結果から,
L=∫011+(dxdy)2dx=∫011+(2x)2dx=2∫01x2+41dx=2⋅21[xx2+41+41log(x+x2+41)]01=25+41log(1+25)−41log21=25+41log211+25=25+41log(2+5)
である.
別解 0
- (2)
- t=x+x2+a2 とおく.
このとき, t−x=x2+a2 から (t−x)2=x2+a2, t2−2xt=a2, よって
x=21(t−ta2)
となる.
また,
dtdx=21(1+t2a2)
であり,
x2+a2t+ta2t−ta2=41(t−ta2)2+a2=41(t2−2a2+t2a4+4a2)=41(t2+2a2+t2a4)=41(t+ta2)2,=2x2+a2,=2x
であるから, 求める不定積分は
∫x2+a2dx=∫41(t+ta2)2⋅21(1+t2a2)dt=∫21(t+ta2)⋅21(1+t2a2)dt=41∫(t+t2a2+t3a4)dt=41(2t2+2a2logt−2t2a4)+C=81(t2−t2a4)+2a2logt+C=81(t+ta2)(t−ta2)+2a2logt+C=81⋅2x2+a2⋅2x+2a2log(x+x2+a2)+C=21{xx2+a2+a2log(x+x2+a2)}+C
(C: 積分定数) である.
別解 1
- (1)
- x=21(t−ta2) (t>0) とおく.
このとき,
dtdx=21(1+t2a2)
であり,
x2+a2=41(t−ta2)2+a2=41(t2−2a2+t2a4+4a2)=41(t2+2a2+t2a4)=41(t+ta2)2=4t2(1+t2a2)2
である.
また, 2xt=t2−a2 つまり t2−2xt−a2=0 から
t=x+x2+a2
であるので,
求める不定積分は
∫x2+a2dx=∫4t2(1+t2a2)221(1+t2a2)dt=∫tdt=logt+C=log(x+x2+a2)+C
(C: 積分定数) である.
別解 2
- (1)
- u=log(x+x2+a2) とおくと
dxdu=x+x2+a21+2x2+a22x=(x+x2+a2)x2+a2x2+a2+x=x2+a21
から
x2+a21⋅dudx=1
となるので, 求める不定積分は
∫x2+a2dx=∫du=u+C=log(x+x2+a2)+C
(C: 積分定数) である.
別解 3
- (1)
- x=2eu−a2e−u とおく.
このとき,
dudx=2eu+a2e−u
であり,
x2+a2=(2eu−a2e−u)2+a2=4e2u−2a2+a4e−2u+4a2=4e2u+2a2+a4e−2u=4(eu+a2e−u)2
である.
また, 2xeu=e2u−a2 つまり e2u−2xeu−a2=0 から
eu=x+x2+a2,u=log(x+x2+a2)
であるので, 求める不定積分は
∫x2+a2dx=∫4(eu+a2e−u)22eu+a2e−udu=∫du=u+C=log(x+x2+a2)+C
(C: 積分定数) である.
参考
- (1), (2) と同様に,
∫x2−a2dx=log∣x+x2−a2∣+C,∫x2−a2dx=21{xx2−a2−a2log∣x+x2−a2∣}+C
が成り立つ.
- 放物線の弧長のように, 楕円や双曲線の弧長を「初等関数」(多項式関数を係数とする方程式の解, 指数関数, 対数関数, 三角関数, 逆三角関数と, それらの合成関数) で求めることはできない.
0<c<1 のとき, 楕円 y=c1−x2 (0≦x≦t) の長さは, k=1−c2 とおくと
∫0t1+(dxdy)2dx=∫0t1+(21−x2−2cx)2dx=∫0t1−x21−x2+c2x2dx=∫0t1−x21−k2x2dx
という定積分で表せる.
この形の定積分は「第二種楕円積分」(Elliptic integral of the second kind) と呼ばれ,「初等関数」では表せないことが知られている.
※
2022/06/24「初等関数」の定義を修正